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老後のために必要な金額って?算出方法と貯蓄を始める時期

2018.05.10

老後のために必要な金額って?算出方法と貯蓄を始める時期


老後に年金をいくらもらえるのか、年金だけで暮らしていけるのか心配だという人は多いはず。今のうちから老後に必要な資金を貯えておきたいものですね。しかし、「必要な資金」がいくらなのか、いつから貯め始めれば間に合うのかなど、わからないことだらけ……。そこで今回、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、老後に必要な資金の算出方法や貯め方について教えていただきました。

取材協力・監修



畠中雅子さん


ファイナンシャルプランナー。大学時代よりフリーライターとして活動スタート。マネーライターを経て、長女を出産した翌年の1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後、大学院に進学。修士課程では生命保険会社の会計システムに関する研究を、博士後期課程では金融制度改革に関する研究をおこなう。現在は、新聞、雑誌、インターネットなどに多数の連載を持つ他、セミナー講師、講演、個人相談、金融機関へのアドバイザー業務、金融関連の調査業務、公的機関のアドバイザー業務などをおこなっている。教育資金アドバイスをおこなう「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスをおこなう「高齢期のお金を考える会」、引きこもりなどの働けないお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰。家庭では1女2男の母親。


■FP畠中雅子のときどき日記

http://moneychild.cocolog-nifty.com/blog/

老後に必要な資産の算出方法は、「年間の赤字額×(推定)余命」


―まずは、老後の必要資金の算出方法を教えてください。


畠中さん 老後に必要な金額は、「年間の赤字額×(推定)余命」で算出できます。「年間の赤字額」とは、公的年金では不足する生活費のことで、「ひとつきの赤字額×12カ月分+特別支出=年間の赤字額」となります。「特別支出」とは、固定資産税や自動車税などの各種税金、レジャー費、冠婚葬祭費、住まいの修繕費、家電の買い替え費用など、毎月かかるわけではないけれど、1年間のどこかで発生するお金です。


年金生活においては、「1年間の特別支出」が「ひとつきの赤字額×12カ月分」を上回る家庭が少なくありません。「特別支出」は、定年前であればボーナスでまかなうこともできますが、退職後はそうはいかずそのまま赤字になります。そのため、年金生活者にとっては「特別支出をどこまで抑えられるか」も大きな課題となります。


―老後の生活に十分な資金が足りず、“老後破産”状態の人もいるそうですが、今後、そうした状態に陥る人は増えていくでしょうか?


畠中さん そうですね。すでにリタイアしている方々は、退職から公的年金の受給開始までの「空白期間」が短いですし、まとまった金額の退職金を受け取る方も多く、年金の給付水準もそれほど低くないため年金生活を乗り切れている方が多くなっています。ですが現在は、「空白期間」が長くなりつつありますし、退職金をもらえない方やもらえても少額の方が増えていくはずです。


また、大学や専門学校への進学率が高止まりしていることから、教育費の負担も重いまま。さまざまな要因が重なって貯蓄が底をつき、老後破産に至るケースが増えていくことが予想されます。そうなった場合、生活保護の受給を考えるのが一般的だと思います。

既婚・子ありの場合、老後資産貯蓄は40歳から。未婚または子なしの場合はそれより早めがおすすめ


―老後破産に陥らないようにするためには、いつごろから貯め始めたらいいでしょうか?


畠中さん 既婚者の場合、一般的には40歳が目安になります。そのころまでに出産を終えていたら、お子さんにかかる教育資金の見積もりが取れると同時に、自分の収入の動きも想像しやすくなるからです。しかも、60歳で定年だと仮定すると、貯められる期間が20年ということになるので、このくらいの年齢から本格的に貯め始めたほうがいいでしょう。60歳を過ぎても継続雇用で働く人も増えてはいますが、収入は2分の1から3分の1くらいに減るため、継続雇用の時期に貯金を大きく増やすのは難しいのが現実です。


また、若い時期から老後資金を貯める人も増えていますが、マイホームや車の購入、教育資金などに流れてしまうケースも多いので、ライフプランがある程度固まってくる40歳くらいからのほうが、老後資金を貯め始めるタイミングとしては適切かと思います。


未婚または子どもを持たない選択をされている方は、40歳を待たずに老後資金を貯め始めたほうがいいと思います。なぜかというと、お子さんがいない方は、「身内に介護する人がいない」「後見人の利用で費用がかかる」といったことが想定されるため、老後資金を多めに準備しておくことが望ましいからです。また、お子さんがいない方は高齢者施設などを利用する可能性が高いので、60代に入ったら実際に施設を見学に行くこともおすすめします。


―40歳から貯め始めたとして、その後はずっと同じくらいのペースで貯蓄していけばよいでしょうか?


畠中さん 50歳未満で受け取る「ねんきん定期便」に記載されている「将来もらえる年金額」は、それまで支払った保険料を基にしたかなり少ない金額ですが、50歳からは、「今のまま働いていたら将来(65歳から)もらえる年金額」として実際の金額に近い額が記載されるようになるので、さらに具体的に年金生活の予算立てができるようになります。


記載されている金額を見て、「今のままの生活を続けていたら老後破産に陥る可能性が高い」とわかったなら、日々の出費を減らして多めに貯蓄に回すなども検討するといいですね。


―ありがとうございました。


計算方法や貯め始めたらいい時期がわかっただけでも、今後の貯蓄計画が立てやすくなりましたね。老後の資産について漠然としたイメージしか持っていなかった人は、まずはおおよその額を算出することから始めてみてはいかが?


(取材・文 松本玲子)