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狂犬病ってそもそも何? イヌ以外が原因になることもある?

2018.05.15

狂犬病ってそもそも何? イヌ以外が原因になることもある?


海外を旅行する際に気を付けなければいけない病気のひとつに「狂犬病」があります。狂犬病は発症すると致死率がほぼ100%という恐ろしい病気です。日本ではあまり聞かなくなったものの、海外ではまだ発症例があります。今回はこの「狂犬病」について解説します。

記事監修

前山美千代 先生


専門は一般内科、漢方医学科。大阪医科大学医学部医学科卒業、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科在籍、みらい病院(一般内科・漢方医学科)勤務。認定内科医・日本抗加齢医学会専門医・日本医師会認定産業医として、気軽に実践できて、健康と美容に役立つ情報を発信しています。

女医+(じょいぷらす)所属。


▼みらい病院

http://eijukai.jp/

■狂犬病とは? イヌ以外にも媒介する動物がいる!?

狂犬病は、肉食動物(イヌ、オオカミ、コウモリ)に感染した「狂犬病ウイルス」を介して感染することで発症します。野犬にかまれ、イヌの唾液から人間の体に狂犬病ウイルスが侵入するといった感染経路がほとんどです。


「狂犬病」という名称ですが、狂犬病ウイルスはイヌだけが保持するわけではありません。ほかに狂犬病を媒介する動物としては、肉食動物の、

・アライグマ

・オオカミ

・キツネ

・コウモリ

・コヨーテ

・ジャッカル

・スカンク

・マングース

などが知られています。狂犬病ウイルスに感染したこれらの動物との接触が感染につながります。

■狂犬病を発病するとどんな症状が現れる?

狂犬病を発病すると1-3カ月の潜伏期間を経て、以下のような段階を経て死に至ります。

前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒(そうよう)感

急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺(まひ)、幻覚、精神錯乱などの神経症状

昏睡期:昏睡(こんすい)(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)


⇒データ引用元:

『厚生労働省』「狂犬病」

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

狂犬病の症状の大きな特徴は、


・水や風を異常に恐れる


ことです。麻痺や幻覚も現れ、精神錯乱状態になるのも珍しくありません。これは狂犬病ウイルスが神経に沿って侵入し、脳や脊髄に炎症を引き起こすためです。


発症後の有効な治療法はありません。症状を抑えるための対症療法を行いますが、発症した患者はほぼ100%死に至ります。

■狂犬病を予防するには?

現在日本では狂犬病の発症例はほとんどありません。1950年(昭和25年)に「狂犬病予防法」が制定され、飼育するイヌに対して「年に1回予防注射を行うこと」などを義務付け、封じ込めに努力したためです。


少し古いデータですが、厚生労働省によれば(上記URL参照)、

・1953年 死亡者:3人/イヌの発症数:176頭

・1954年 死亡者:1人/イヌの発症数:98頭

・1955年 死亡者:0人/イヌの発症数:23頭

・1956年 死亡者:1人/イヌの発症数:6頭

・1970年 死亡者:1人※/イヌの発症数:0頭

・2006年 死亡者:2人※/イヌの発症数:0頭

となっています。※の「1970年」「2006年」の死亡者は、いずれも外国でイヌにかまれ、帰国後に発病しています。ちなみに1970年の死亡者はネパールで、2006年の死亡者はフィリピンでイヌにかまれています。


狂犬病は日本では撲滅された(厚生労働省による)疾患ですが、外国ではまだまだ現役の病気なのです。ですから、野良犬の多い国、また上記のような動物と頻繁に接触する可能性のある国に出掛ける場合には、「狂犬病ワクチン」の接種を受けてから出発することが望ましいとされています。


また、アメリカは先進国だから大丈夫!といった思い込みは危険です。アメリカCDCによると、2011年にはニュージャージー州でイヌにかまれた73歳の女性が狂犬病で死亡しています。発生状況によると、日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除き、2004年の時点で全世界に分布しています。


海外(特に狂犬病の発症例がまだある国)に行くのであれば、野生動物や家畜、またペットにも接触しないほうが無難です。「海外では動物との接触を避ける」のも予防法のひとつなのです。


犬の飼い主一人ひとりが、狂犬病に関して正しい知識を持ち、飼い犬の登録と予防注射を確実に行うことも必要です。毎年4-6月は、狂犬病予防注射月間となっています。狂犬病対策は、人のためでもあり、犬のためでもあります。


繰り返しになりますが、狂犬病ウイルスに感染する可能性のある地域へ旅行し、動物と頻繁に接触する可能性のある場合には、渡航の数カ月前には必ずワクチン接種を受ける準備をしましょう。


(高橋モータース@dcp)