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「人食いバクテリア」っていったい何? 注意することは?

2018.05.16

「人食いバクテリア」っていったい何? 注意することは?


「人食いバクテリア」の感染者が年々増加しているそう。大変センセーショナルな名前ではありますが、人食いバクテリアがどんなものかご存じでしょうか?これは特に持病がない場合も発症することがあり、感染源がわからないことも多くあるとのこと。今回はこの「人食いバクテリア」について解説します。

記事監修



児玉華子(こだま・かこ)先生


専門は一般内科、膠原病内科、リウマチ科、感染症。北里大学医学部卒業、北里大学病院での研修後、膠原病・感染内科学教室に入局。東京逓信病院、北里研究所病院および北里大学病院勤務を経て現在は、医療法人東山会調布東山病院内科・リウマチ科として勤務。

女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/257

■「人食いバクテリア」とは?

人食いバクテリアという名前で取り上げられますが、疾患名としては「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。これは、突発的に発症して急速に進行する病気で、主に「A群溶血性レンサ球菌」によって引き起こされます。


A群溶血性レンサ球菌は深部の軟部組織、筋膜にまでも感染して毒素を出し、組織を液状化させます。結果、組織の壊死(えし)が時間の単位で急速に進行するため、短時間で多臓器不全、敗血症などを起こし、致死率が30%になるともいわれています。

■「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の発症

このA群溶血性レンサ球菌は、実は一般に存在する菌で、咽頭炎あるいは猩紅熱(しょうこうねつ)を引き起こすことはありますが、普通はそこまで重篤な事態には至りません。


しかし、同じ細菌が時に「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」を引き起こすのです。この違いの原因についてはまだよく分かっていません。ただし、A群溶血性レンサ球菌が突然変異によりヒトの防御機構を壊滅的に破壊する能力が増大したことがわかっており、これにより急速に重症化する高い病原性を獲得したのではないか、といわれています。

■「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の症状と治療

劇症型溶血性レンサ球菌感染症では、まず初期症状として疼痛(とうつう:ずきずきした継続する痛み)が現れます。通常、四肢であることが多いのですが、細菌が侵入し感染した患部で、疼痛とともに変色が現れることもあります。


この疼痛は非常に激しいもので、通常高熱を伴って(ショック状態となり低体温となっていることもあります)、意識がもうろうとしたり錯乱状態となったりすることもあります。


局所の菌量が最大に近づくと菌の増殖は緩やかとなりますが、菌が産生した毒素による組織障害が続き、体の各部で炎症が引き起こされると急速に症状が進行、多臓器不全、敗血症などの重篤な事態に陥ります。


この劇症型溶血性レンサ球菌感染症の特徴は、①見た目から想像できないほどの強い圧痛、②進行がとにかく速い、③皮膚が非常に湿潤でむくんでいる、④周囲の一見正常に見える皮膚の知覚脱失、などの特徴があります。治療としては、集中治療室での抗生物質の投与が効果的です。体にこれらの異常を感じたらすぐに専門医を受診しましょう。


なお、この病気は「5類感染症」(全数報告対象の感染症)ですので、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届けなければなりません。



「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」は致死率が30%ともされる緊急症である上に、普通に存在する細菌が原因という厄介な病気です。なぜか足が腫れて熱が出た、なんて場合にはすぐに病院に行ってください!


(高橋モータース@dcp)