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乾燥やアレルギーだけではない!体のかゆみを引き起こす病気

2018.05.19

乾燥やアレルギーだけではない!体のかゆみを引き起こす病気


「体がかゆい」ときは、空気の乾燥やアレルギーを疑うことが多いのではないでしょうか。クリームや市販薬を使ってセルフケアしている、という人もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、「かゆみ」の原因はこれだけではありません。なにか別の病気が隠れている可能性もあるのです。今回は「体のかゆみを引き起こす病気」について解説します。

記事監修



松田明子 先生


専門は内科、腎臓内科、泌尿器科、美容皮膚科。東京女子医科大学卒業。東京女子医大病院 腎臓内科、同 泌尿器科を経て、2017年よりサイエンスクリニック院長就任。女医+(じょいぷらす)所属。


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「かゆみ」とは、「かきたい」という衝動(掻破(そうは)衝動といいます)を起こさせる皮膚感覚で、痛覚の一種だと考えられています。多くの場合は皮膚の炎症や乾燥などが原因で起こります。また、以下のような病気が原因でかゆみを起こすこともあります。

■慢性腎不全(まんせいじんふぜん)

「慢性腎不全」は、一定基準以上の腎機能低下が3カ月以上持続するものをさします。


慢性腎不全の症状のひとつに「全身のかゆみ」があります。腎機能の低下により、尿毒素が尿中に排泄できないことで、かゆみを引き起こします。これを「腎性皮膚掻痒(そうよう)症」といいます。


【補足】

慢性腎不全の定義は、慢性と腎不全に分けずに、持続期間のみをさします。一方、急性腎不全は症状が完成するまでの期間によって定義されるので混乱しがちですが、慢性腎不全は、単に腎不全の状態が3カ月以上続いていることを意味します(急激に腎機能が落ちてしまった場合も、3カ月治らなければ慢性腎不全ですし、じわじわ腎機能が落ちた場合も、3カ月以内に治れば急性腎不全になります)。


●慢性腎不全の原因

慢性腎不全とは、腎不全に陥った病因は問わず、腎機能が低下した状態を示す言葉です。「原因として多いのは「糖尿病性腎症」「慢性糸球体腎炎」「腎硬化症」「腎嚢(のう)胞」などです。そのほか、高血圧や脂質異常症といった「生活習慣病」も慢性腎臓病の原因になるとされています。

■慢性肝内胆汁(たんじゅう)うっ滞

肝臓には胆汁を排せつする「胆管」がありますが、この一部が徐々に破壊されて胆汁の流れが悪くなり、胆管内にたまってしまうことで起こります。最終的には「肝硬変」という病気につながります。


●慢性肝内胆汁うっ滞の原因

この病気の原因は、自己免疫反応によるものと考えられています。免疫は本来、外部から侵入した異物を体外に排除するためのものですが、肝臓内の胆管上皮細胞を攻撃してしまうのです。


この結果、肝臓で作られた胆汁の胆管への排泄が滞り、慢性肝内胆汁うっ滞を起こします。


一般に、腎臓・肝臓の病気になると、かゆみを感じるといわれます。これは、腎臓・肝臓の機能が低下すると体内で「β-エンドルフィン」という「かゆみを引き起こす」物質が増えるからです。


β-エンドルフィンは「オピオイド」という「モルヒネ」に似た快楽ホルモンの一種で、通常は「ダイノルフィン」という「かゆみを抑える」物質とバランスを取り合っているため、かゆみを生じることはありません。しかしこのバランスが乱れると、全身にかゆみを感じるようになるのです。

■皮膚惜痒症(ひふそうようしょう)

皮膚に発疹やかぶれなどの異常が見られないのに、かゆみを発症する病気です。かゆみが全身に現れる「全身性皮膚惜痒症」と、体の一部(頭部、外陰部、肛門周辺部など)に現れる「限局性皮膚惜痒症」があります。また、高齢者の場合を「老人性皮膚惜痒症」、妊婦の場合を「妊娠性惜痒症」ともいいます。


●皮膚惜痒症の原因

一般的には環境による皮膚の乾燥や老化が原因で起こりますが、以下のような内臓疾患が原因となって起こることもあります。


・慢性腎不全

・肝疾患

・甲状腺疾患

・血液疾患

痛風

・悪性リンパ腫

・がん

・寄生虫疾患

・精神神経疾患

■疥癬(かいせん)

「ヒゼンダニ(疥癬虫)」というダニが表皮の角質層に寄生して起きる感染症の一種です。ヒゼンダニに寄生されてから1-2カ月すると、腋(わき)の周囲、腹部、陰部などにかゆみを伴う「ぶつぶつ」が現れます。全身が赤くなったり、厚いかさぶたができたりします。


●疥癬の原因

ヒゼンダニは体調0.2-0.4mm程度の小さいダニです。雌成虫が角質部分にトンネルをつくって潜り込み、産卵します。卵が孵(ふ)化するとおよそ2週間で成虫になり、皮膚の中で交尾して繁殖します。


ヒゼンダニは皮膚から離れると短時間で死にますが、感染者との直接の接触、感染者が使用した寝具などとの接触、感染者のかさぶたなどからほかの人に感染することがあります。



かゆみは、体の異常を知らせるサインかもしれません。特に生活習慣病に起因するような場合、放っておくとほかの重い病気につながる可能性もあります。単なる乾燥肌だと思っても、かゆみがひどいときや長く続いているときなどは、病院で検査を受けるようにしましょう。


(藤野晶@dcp)