髪のダメージを自分でケアできるとして人気の「洗い流さないトリートメント」を選ぶとき、種類が多くて迷うことはありませんか。オイル、ミルク、ミストなどさまざまなタイプがあり、使い分けかたも検討がつきません。
そこで、ヘアメイクサロン・MINT(ミント・東京都渋谷区)の美容師でヘアケアマイスターでもある磯部幸弘さんに、詳しいお話を聞いてみました。
■洗い流す、流さないでケアの役割が違う
トリートメントを探すと、まず、「洗い流すタイプ」と「洗い流さないタイプ」があります。どのような違いがあるのでしょうか。磯部さんはこう説明します。
「トリートメントには、『髪の内部に栄養分を補ってダメージを修復する』、『髪の水分と油分のバランスを整えて乾燥やうねりをケアする』などの働きがあります。これらが、しなやかでツヤのある美しい髪に導きます。
『洗い流すトリートメント』の場合は、髪が濡れてキューティクルが開いているときに内側から成分を浸透させるので、保湿成分や補修成分の作用でダメージをケアします。
一方、『洗い流さないトリートメント』は、髪の表面をコーティングして、ドライヤーの熱や紫外線、摩擦によるダメージを防ぎます。油分やアミノ酸など、髪に必要な成分が含まれるタイプは、付けた後に洗い流さないので、じっくりと浸透して成分が髪に残ります。また、希望の仕上がりに適した種類を選ぶことができます」
「トリートメントは、髪のダメージや悩みがあるときに使用する」とのイメージがあります。どのぐらいの頻度でこれらをどのように使うといいのでしょうか。
「1~2週間に1度の集中ケアタイプもありますが、紫外線や熱、摩擦などで髪は日々傷んでいます。
髪への働きかけかたが異なるので、洗い流すタイプも洗い流さないタイプも、毎日どちらも使用してダメージを軽減し、健康な髪をキープすることを勧めています」と磯部さん。
■保湿力があるオイル、補修作用があるミルク
次に、洗い流さないトリートメントの3つの種類ごとに、特徴や髪の悩みに合う選びかたについて、磯部さんに挙げてもらいましょう。
(1)オイルタイプ:パサつき、乾燥、激しいヘアダメージに
髪をオイルで包み込んで、ドライヤーやヘアアイロンなどの熱、また、紫外線のダメージから守ります。髪になじみやすく保湿力があるので、パサつきや乾燥を和らげ、指の通りをよくするなどの働きがあります。
ドライヤーやヘアアイロンを使う前に、ショートヘアなら0.5~1プッシュ、ミディアムでは1~2プッシュ、ロングは2~3プッシュの量を目安に塗布してください。傷んでいるからと言ってたくさん塗ると、髪のベタつきや毛穴が詰まる原因になるので適量を使うようにしましょう。
手ぐしでとかすようにつけていき、仕上げに髪全体をなでると、表面のキューティクルが整ってよりツヤ感が出ます。
(2)ミルクタイプ:潤い不足、パサつき、まとまらないときに
水分とオイル分に加えて、保湿成分や美容成分などを配合している製品が多く、髪の保湿や補修の作用が期待できます。パサつきやひろがりを抑えて、潤いやまとまりのある仕上がりに導きます。
オイルタイプよりも油分が少ないので、熱からダメージを守る働きは弱まりますが、使用後はベタつきにくいのが特徴です。ドライヤー後の乾燥した髪や、朝のスタイリング時に使用するといいでしょう。
ショートヘアなら1円玉サイズ程度、ミディアムでは100円玉サイズ程度、ロングは500円玉サイズ程度の量を目安につけましょう。
成分が浸透しやすいので、もみ込むようにつけてください。
(3)ミストタイプ:寝ぐせ直し、潤い不足、手を汚したくないときに
髪に必要な成分が水に溶けているので髪の内側まで届きやすく、浸透力が高いのが特徴です。潤いを与えつつ、軽やかな仕上がりになります。指通りをよくするので寝ぐせ直しにも使用できます。また、出先や外出前など、手を汚したくないときも便利です。
濡れ過ぎない程度に髪の中間から毛先にサッと吹きつけ、その後で手ぐしでとかすと、軽い質感になります。
最後に磯部さんは、塗りかたについて、
「どのトリートメント剤も、髪の中間から毛先に向かってつけてください。根元付近は生えたばかりで健康なことが多いので、つける必要はありません」と、アドバイスを加えます。
洗い流さないトリートメントの各タイプの役割を知っておき、髪の悩みや生活シーンごとにそれぞれ使い分けることがポイントだということです。筆者もさっそく実践したところ、髪をていねいにケアする意識が高まりました。ぜひ参考になさってください。
(取材・文 岩田なつき/ユンブル)