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「健康保険」という言葉の意味を知っていますか?

2018.05.25

「健康保険」という言葉の意味を知っていますか?


「健康保険に入ってますか?」と聞かれたら、ほとんどの人が「入っている」と答えるのではないでしょうか。公的な医療保険のことを一般に「健康保険」と呼ぶことがありますから、それがややこしいもとなのです。今回は「健康保険」という言葉が指すものについてです。

記事監修


吹田朝子(すいた・ともこ) 先生


『一般社団法人 円流塾』代表理事。CFPR(R)認定者(ファイナンシャルプランナー)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、健康ファイナンシャルプランナー(R)。

一橋大学卒業後、生保会社の企画調査・主計部門を経て1994年より独立。著書多数。


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■「公的な医療保険」を「健康保険」と呼ぶこともありますが……

全ての国民が、病気やけが、高齢化、介護、失業等の「将来起こり得るリスクに対する備え」として、保障を得られるようにつくられた社会保障制度が「社会保険」です。


日本は、法律等によって国民に加入を義務付ける「国民皆保険制度」を導入しているので、日本国民なら誰もが社会保険に加入し、お互いに助け合わなければなりません。


この社会保険は、全国民の加入が強制される公的な制度として、民間の保険会社の商品やサービスとは一線を画しています。


こうした公的な社会保険には、

  • 医療保険

  • 年金保険

  • 介護保険

  • 雇用保険

  • 労災保険

の五種類があります。狭義には「医療保険」「年金保険」「介護保険」の三つを社会保険と呼ぶこともあります。


皆さんが漠然と「健康保険」と言うときには、社会保険の中の「医療保険」(以下、公的な医療保険)全体のことを指していることが多いかもしれません。


この場合は、「健康についての公的保険」ぐらいの意味で使っているわけです。気を付けなければいけないのは、公的な医療保険の中に「健康保険」という保険の種別があるという点です。


この二つの健康保険は明確に分けて考えなければなりません。

■公的な医療保険の種類の中に「健康保険」がある。

日本の公的な医療保険には次の五つがあります。

  • 1.健康保険(『健康保険法』を根拠とする)

    主に企業に勤務するサラリーマンが加入します

    (日雇い労働に従事する人も条件を満たせば、特例被保険者として手続きできます)

  • 2.国民健康保険(『国民健康保険法』等を根拠とする)

    自営業者、退職者など、ほかの医療保険の対象外の方が加入します

    (厚生年金保険など被用者年金に一定期間加入し、老齢年金給付を受けている65歳未満等の人も)

  • 3.共済組合(各『共済組合法』を根拠とする)

    国家公務員・地方公務員、私立学校教職員などが加入します

  • 4.船員保険(『船員保険法』等を根拠とする)

    船長、海員、予備船員として船舶所有者に使用される人が加入します

  • 5.後期高齢者医療制度(『高齢者の医療の確保に関する法律』を根拠とする)

    主に75歳以上の人、また65-74歳で一定の障害があると認定された人が加入します


※保険の種別によって、未成年者などの家族は被保険者の扶養者という立場で医療保険に加入します。

「1」の健康保険は、

  • ①企業、また企業同士が独自につくった「健康保険組合」を保険者※とする保険(「組合健保」)

  • ②『全国健康保険協会』を保険者とする保険(「協会けんぽ」)

  • ③日雇特例健康保険

    『全国健康保険協会』を保険者とし、『健康保険法』の特例として認められている保険

の三つに分かれます。


①は「組合健保」と呼ばれるもので、大企業またはそのグループ会社が中心となって自主的につくられた健康保険です。その企業、グループ会社に勤務する人が被保険者になります。


組合健保の対象となる「健康保険組合」をつくるには、一企業が設立する場合は「被保険者が常時700人以上」、複数の会社が共同で設立する場合は「合計で常時3,000人以上が必要」となります。


『健康保険組合連合会』の集計によれば、2017年(平成29年)4月1日現在で全国に1,398の健康保険組合があります。


②の「協会けんぽ」は中小企業等で働くサラリーマンを被保険者とする健康保険です。もともとは社会保険庁が運営していましたが、現在では2008年10月に設立された『全国健康保険協会』(政府管掌)が運営しています。


③は、日雇い労働に従事する人を被保険者とする健康保険です。この被保険者を「日雇特例被保険者」といいます。


ですので、「健康保険」と一口に言っても、

  • 漠然と「公的な医療保険」のことを指しているのか

  • 公的な医療保険の中の「健康保険」(組合健保・協会けんぽ)を指しているのか

で、その意味は大きく違ってきます。ややこしいですが、これは間違えやすい点ですので、基礎知識としてぜひ覚えておいてください。


(高橋モータース@dcp)

「保険者」とは、契約に基づいて保険料(掛け金)を徴収し、給付を行う義務を負う者のことです。保険に加入し、契約に従って保険料(掛け金)を支払い、給付を受ける人のことを「被保険者」といいます。サラリーマンの皆さんは、「組合健保」か「協会けんぽ」の被保険者になります。


⇒データ出典:

『健康保険組合連合会』「平成29年度健保組合予算早期集計結果の概要」

http://www.kenporen.com/include/press/2017/20170414.pdf