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お悩みスパッと解決塾 13:あきらめきれない大人の恋にはジャズバーが効く…!?

2018.05.27

お悩みスパッと解決塾 13:あきらめきれない大人の恋にはジャズバーが効く…!?


どんな人にもコンプレックスや悩みってありますよね。そしてそんなときにもらう、「こうすればいいよ」なんて正攻法なアドバイスは逆に心に響かないことも……。そこでこの連載では、毎回さまざまなお悩みをあらゆる分野の専門家や著名人に相談し、一風変わった視点からその解決法を探っていきます。



「2年半前に同じ部署になった会社の先輩社員がいます。仕事を教えてもらったり、帰りに一緒に飲みに行って仕事やプライベートの話をしたりするうちに、気づけばその男性を好きになっていました。けれど彼は既婚者。毎日一緒にいられるだけで幸せだと思っていたのですが、先日の辞令で彼が地方に転勤することに……。この先会えなくなる可能性が高いと思うと、自分の気持ちを打ちあけるべきか、このまま胸にしまっておくべきか悩んでいます」(29歳、事務)

「自分の気持ちを伝えるのはいいと思う。けれど、それは感謝の気持ち。相手の環境を配慮するというのも大人の恋なんじゃないかな?」(ジャズカフェ&バー「DUG」店主 中平 塁さん)


考えれば考えるほど悶々としてしまう恋愛の悩み。しかも、芸能人の不倫があれだけ叩かれる風潮の昨今、“既婚者に告白するべきかどうか”という悩みはなかなか堂々と口に出しづらかったりも……。


けれどいっぽうで、人の気持ちは正論や常識ではかることができないものでもあります。そこで今回は作家・村上春樹さんの小説『ノルウェイの森』の作中にも登場し、寺山修司さんや和田誠さんといった文化人からも愛されてきた東京・新宿にあるジャズカフェ&バー「DUG」店主の中平 塁さんにお悩みを相談してみることに!


これまでカウンター越しに数々の大人の恋愛模様に耳を傾けてきて、ご自身も人生の酸いも甘いも経験してきたであろう中平さんだけに、きっと世間の正論や常識だけにとらわれることのない現実味のあるアドバイスがいただけるのではないでしょうか。

■新宿で60年近くの歴史を持つジャズカフェ&バー「DUG」


その発祥は1961年、もともとは「DIG」という名前でオープンしたというジャズカフェ&バー「DUG」。これまで60年近くもの長い年月、老舗ジャズカフェ&バーとして多くの人々を魅了してきました。現在は初代マスターの中平穂積さんの息子さんである塁さんが店主を務めています。


靖国通り沿いにあるお店の雰囲気は、外の喧騒とはかけ離れてとても静か。耳に心地よいジャズが流れ、まさに大人の男女の憩いの場といった風情。こんな場所でなら自分の心をついついさらけ出してしまいそうです。



「そうですね。実際、男女問わずお悩みを相談されることはよくあります。それに対してアドバイスはしますけれど、けっしてその通りにするべきだと押しつけるつもりはなく、お客さんのモチベーションが上がったりするきっかけになればいいなと思っています」と中平さん。


たしかに、人って自分の悩みを口に出して聞いてもらうだけでも心が軽くなったりするもの。友人でも家族でもない“バーのマスター”という距離感は、打ち明けにくい話をこぼすのにもちょうどよいのかもしれません。


というわけで、さっそく今回のお悩みを相談してみました。もしお店に来たお客さんがこのような悩みを抱えていたら、どんなふうに答えますか?

■焦らずタイミングを見て告白すれば、発展するチャンスも……?

「まずひとつの考え方としては、今すぐに気持ちを伝えなくてもいいんじゃないかということ」


――相手が地方に転勤することが決まり今までのように会えなくなるというのは、告白のタイミングとしては大きいと感じますが……。


「今は遠距離でも連絡を取り合う手段がいろいろありますよね。メールやSNSなどでまずは季節のあいさつなどをするなどして様子を見てみるのもアリなのでは?


そうやって自分の意思を尊重しつつ、後悔しないようにタイミングをみて告白する。相手も好意があるなら発展する可能性も。ただし、発展の仕方は2人の考え方次第なので、どんな方向に転ぶかはなんとも……」


――ただ今回、もうひとつ大きなネックとなるのが、相手の男性が既婚者だという点です。


「でも、発展したらしたで、それはもう自己責任なんじゃないかな。相手が既婚者なのはすでにわかっていることなのだから、それなりのリスクは絶対にある。それでもお互いが納得しているのであればよいと考えるのか、やっぱりダメだと考えるのか。自分で判断するしかないよね」

■将来性がない関係なら、ときにはあきらめることも大切

――では相談者さんが望むなら、自分の思いの通りに進むべきということでしょうか?


「ただ、追いかけても将来性がないのならあきらめるべきなのではないかとは思う。相手は既婚者だし、仮につき合ったとしても、結婚を視野に入れると現在の奥さんや家族を不幸にすることになる。そこまでの覚悟があるならよいけれど……どうだろう?」


――現在、相談者の女性は29歳。30代前半までに結婚したいという気持ちもあるそうです。


「もうひとつの考え方としては、自分の将来を考えるなら、新たな恋を見つけるということ。これまで会社帰りに二人で飲みに行き、仕事やプライベートの話をして親しくしているということは、お互い好意があるのだろうとは思う。けれど、相手に変に気を持たせると、ズルズルと抜け出せなくなることも……。ときにはあきらめも肝心かもしれないよね」

■相手の環境に配慮することも“大人の恋”のあり方

――でも、とても好きになった人ですし、発展性がなくても、将来性がなくても、自分の気持ちを伝えたいという相談者さんの気持ちもわかるんですよね。たぶん、女性は一度はこういう経験ってしてると思います!


「気持ちを伝えるのはいいと思うよ。ただ、それは感謝の気持ち。これまでお世話になった、楽しい時間を過ごすことができたことに対してありがとうと伝えるのは、嫌だなんて思う人は誰ひとりいないでしょう。


大人になると、若いころのように自分の好きという気持ちだけで突き進むわけにはいかないと思う。相手の環境にも配慮するということも大人の恋なんじゃないかな」


――相手が既婚者であるということ、同じ会社に勤めていること、新しい土地での慣れない生活が始まることなどを考えれば、「相手の環境にも配慮する」というのはとても大きな意味を持つかもしれません。

■出会いはタイミング。気分転換にジャズバーに出かけてみるのもアリ!

「まあ、最終的には本人が決める事なので、見守るしかないですね。でも、それだけ真面目に恋をしているなら、きっとまた良い出会いが訪れると思いますよ。


出会いってタイミングだから。これまでもね、うちのお店に来るお客さん同士が仲良くなって結婚したなんてこともありましたよ。お店の女性スタッフとお客さんが結婚したなんてパターンも(笑)」


――お店でお願いすれば、そのときの気分に合ったカクテルなども作ってもらえますか?


「できますよ。その人の気分や好みをカウンセリングしながら作れるので、どうぞ相談してください」


――お酒だけでなく、ジャズの曲もかけてくれたり……?


「はい、選曲も顔色を見ながらですね。今回のお悩みだと、しっとりした曲だと余計に落ち込んじゃうかもしれないので、逆にノリの良い曲にしちゃうかも。いずれにせよ、こちらとしては、あのとき相談してよかったな、お店に行ってよかったなって思ってもらえれば幸いですね」



以上、ジャズカフェ&バー「DUG」店主 中平 塁さんにお話をうかがいました。特注品のアンプを使っているというこだわりの音響設備で、店内に流れるジャズの音色は本当に美しく、疲れやストレスを癒してくれます。ジャズに詳しくなくても、コーヒーやお酒を飲みながら音楽に耳を傾けているだけで心が落ち着くはず。今回の相談者さんはもちろんのこと、皆さんもお店に足を運んでみてはいかが?


★今回のアドバイザー


中平 塁さん


1972年東京都豊島区生まれ。新宿の老舗ジャズカフェ&バー「DUG」の店長。村上春樹の小説『ノルウェイの森』に唯一実名で登場した店として、日本のみならず海外からも多くのハルキストが訪れるそう。いっぽうでは寺山修司、和田誠、山下洋輔といった多くの文化人などが足繁く通ったことでも有名。


http://www.dug.co.jp/index.html

(取材・執筆/鷺ノ宮やよい 編集/ヒャクマンボルト)

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