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専門医に聞いた!「いびき」って何?原因と対処法

2017.06.09

専門医に聞いた!「いびき」って何?原因と対処法


パートナーのいびきに悩まされている女性は多いのではないでしょうか。隣でゴーゴーといびきを掛かれたら快眠もおぼつきませんね。また、「自分のいびき」について悩んでいる人も少なくないはず。そこで今回は「いびきの原因と対処法」について専門家に聞いてみました。

■いびきの原因とは?

『慶友銀座クリニック』の大場俊彦院長にお話を伺いました。大場先生は「睡眠時無呼吸症候群」の専門家であり、「いびきの治療」について豊富な経験をお持ちです。

取材協力・監修


大場俊彦院長


1998年慶応義塾大学大学院医学研究科博士課程終了。2005年『慶友銀座クリニック』開院。現『慶友銀座クリニック』院長。睡眠時無呼吸症候群の専門医としてメディア出演も多数。


⇒『慶友銀座クリニック』公式サイト

http://www.ginzaclinic.com/

まず「いびきの原因」ですが、大場先生によれば「呼吸のときの空気が通る道、鼻から喉への上気道が狭められることで起こり、

  • 鼻の詰まりによって発生するいびき

  • 喉(のど)の奥で発生するいびき

のふたつに分けられる」とのことです。


鼻で発生するいびきは、鼻から喉へと空気が通る道に詰まりがあって乱流となり、それが振動を引き起こします。


喉の奥で発生するいびきは、多くの場合、のどちんこ(口蓋垂)とその周りの粘膜が空気に振動して発生します。アジア系の人間は「顎(あご)が小さい」という特徴があり、のどちんこの周りの組織に問題がなくても、気道が相対的に狭いため、いびきをかきやすいそうです。


肥満もいびきの原因になります。太ると、のどちんこや口の中の柔らかい組織、舌の奥のほうに脂肪が付いてしまうのです。これによって気道が狭くなり、いびきをかきやすくなるというわけです。


また気道が狭くなる原因のひとつとして、扁桃腺の肥大があります。口を開けると、舌の付け根の両側にこぶのようなものがありますが、これが扁桃腺です。何らかの原因で扁桃腺が大きくなると気道が狭くなりますので、これもまたいびきを引き起こすのです。

■いびきについての注意点は?

「いびき」について注意しなければならないのは「睡眠時無呼吸症候群」(Sleep Apnea Syndrome:SASと略されます)との関係です。


大場先生は「たかがいびきと考えないほうが良いでしょう。いびきには『睡眠時無呼吸症候群』が隠れていることが多いのです」と指摘していらっしゃいます。


睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気を生じさせることがあり、それによって判断力や集中力が低下します。「睡眠時無呼吸症状群によって起こる眠気」が交通事故を発生させるといったこともあり、「現代の病気」として注目されているのです。


また大場先生によれば「睡眠時無呼吸症候群は、放っておいた場合には高血圧や糖尿病といった生活習慣病につながりやすいといわれます。ですから早いうちに治療しないといけません」とのこと。


若いころは軟組織や筋肉に張りがあり「睡眠時無呼吸症候群」にまで至っていないケースが多いですが、加齢によって軟組織や筋肉がゆるんでくると、睡眠時に舌が下がり気道をふさぐといったことが起こりやすくなるのです。


※睡眠時無呼吸症候群の原因はほかにもあります。


たとえば力士は大きな体をしていて、いびきをかく人もいらっしゃいますが、睡眠時無呼吸症候群と診断されるケースは多くないそうです。上記のとおり、力士の皆さんは若くて組織に張りがあるためだと考えられます。


大場先生の慶友銀座クリニックには、若い女性が1日に3人はいびきが主訴で相談に訪れるそうですが、睡眠時無呼吸症候群はそこまで多くはない、とのことです。ただし、若いからといって油断してはいけません。大場先生が指摘されているとおり「睡眠時無呼吸症候群が隠れていること」も多いのです。

■いびきを治すにはどんな方法がある?

いびきの治療について大場先生に伺ったところ、「上気道が狭くなって起こるものなので、原因を特定し、それをひとつずつ取り除いていくのが治療」とのこと。いびきの治療には、以下のような方法があるそうです。


  • マウスピースによる治療

大場先生のクリニックでは睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は健康保険適用だそうです。


大場先生によると「『顎が後退してしまうことによって起こる軽度ないびき』の場合には、顎を少し前に出すようなマウスピースをはめて寝ていただくことで、いびきを軽減できます」とのことです。


  • 「いびき体操」による治療

喉の奥のエクサイズを行い、筋肉を鍛える方法です。筋肉がゆるんで気道をふさがないようにしていびきを軽減します。


  • 外科手術による治療

次のような外科手術を行って治療します。


・鼻詰まりが原因であれば、レーザー波治療器を使う「鼻腔粘膜焼灼術」や高周波ラジオ波を使う施術で鼻の通りをよくします。どちらも日帰りで行えるそうです。


・睡眠時無呼吸がない場合には、のどちんこ(口蓋垂)を切除、またのどちんこ(口蓋垂)の周囲の組織を切り取って振動を起こさないようにする場合もあります。


・扁桃腺の肥大が原因の場合には扁桃腺を切除する手術を行う場合もあります。


大場先生によれば「アメリカでは睡眠外科という分野があり、外科手術によるいびきの改善が多く行われている」とのこと。これは、アメリカが肥満大国であること、また睡眠時無呼吸症候群に対する意識が高いことがその理由だそうです。

■いびきに悩んでいる人へ先生からアドバイス!

――いびきに悩んでいる人へアドバイスをお願いします。


大場先生 まず、そのいびきの原因が何であるかを明らかにしないといけません。原因によって対症法は違ってきますから。


若い患者さんの場合は睡眠時無呼吸症候群というケースは少ないかもしれませんが、加齢と共に睡眠時無呼吸症候群になることは多いです。先ほど申し上げたとおり、生活習慣病に結びつくと怖いですから、いびきが気になったら睡眠時無呼吸症候群に強い耳鼻咽喉科で受診するのが良いでしょう。


――ありがとうございました。


いびきをかく人は多いですが、「たかがいびき」とは考えないほうが良いようです。睡眠時無呼吸症症候群が隠れている場合もあります。生活習慣病に結びつかないように普段からいびきには気を配っているべきでしょう。



(高橋モータース@dcp)