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「元気」な人にも起こり得る。突然死を招く病気

2018.05.31

「元気」な人にも起こり得る。突然死を招く病気


ちょっと前まで元気だった人が、突然病気で亡くなるということがあります。一般的には「突然死」といいますが、その原因となる病気はさまざまです。特に冬場は急激な寒暖差もあり、突然死を招いてしまうことも多くなるそう。今回は、「突然死を起こし得る病気」について解説します。

記事監修



田嶋美裕 先生


循環器内科医。東京大学医学部卒業、東京大学付属病院勤務。狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患のほか、高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病全般の治療に携わる。

女医+(じょいぷらす)所属。

■突然死の原因は主に心臓、脳の病気

一口に突然死といっても、倒れてすぐに死亡することもあれば、1時間ほど、あるいは数時間と猶予がある場合もあります。「倒れて24時間以内であれば突然死」と定義する説もあり、統一した定義はないのが現状です。しかし、主な原因は心臓、大血管、脳、呼吸器系にあるとされています。突然死を招く恐れのある病気には、以下のようなものがあります。

●心臓性の突然死

心臓にトラブルが起こり、死に至るケースです。


・心筋梗塞

心臓を栄養する冠動脈という血管が突然狭くなったり、閉塞したりすることで心筋に血液が行き届かなくなり、心筋が壊死する病気です。動脈硬化や血栓などに起因すると考えられています。初期症状としては胸が激しく痛んだり、呼吸困難に陥ったりします。一刻を争う危険な事態の恐れがありますので、すぐに救急車を呼んで治療を受けましょう。


・狭心症

冠動脈の内側の一部が細くなると、心筋への血流が悪くなり胸の痛みを感じるようになります。このような状態になることを「狭心症」といいます。主な原因は、血液中のコレステロールが血管内にたまる動脈硬化です。


狭心症のうち、階段を上るなどの運動や興奮することで心臓に負担が掛かったときに痛みが起きるものを「労作性狭心症」といいます。また、安静時に突然狭心症の発作が起きるものを「安静時狭心症」といいます。


狭心症には、発生原因による分類もあります。「冠動脈硬化性狭心症」は、冠動脈が動脈硬化を起こし、運動時などより多くの血液を必要とする時に心臓の負担が増え、その際に胸が痛むものです。また、冠動脈が急にけいれんして細くなることで心筋への血流が不足し、そのために発作が起きるものを「冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症」といいます。


狭心症と診断されると、ニトログリセリンが処方されるようになります。ニトログリセリンは、冠動脈を広げることで、心筋への血流を増やす効果があります。発作を起こした際には、すぐに薬を服用します。予防としては、禁煙、栄養バランスの取れた食事、体に無理のない運動を習慣化させることが挙げられます。


・虚血性心疾患

心筋梗塞や狭心症のことをまとめて「虚血性心疾患」と呼ぶことがあります。「虚血性心疾患」とは、心臓に十分に血液が行き届かない状態を意味します。心筋梗塞や狭心症が疑われる場合、すぐに救急車を呼びましょう。


・致死性不整脈

「不整脈」は心臓の鼓動のリズムが狂った状態のことですが、「致死性不整脈」とは、原因がはっきり特定できないときに付けられる死因です。原因がはっきりしないとはいえ、致死性不整脈が起きて倒れてしまった人は、ほぼ心臓が止まった状態です。急いで心臓マッサージやAEDによる蘇生を試みなければなりません。


・大動脈解離

大動脈の壁に何かのきっかけで亀裂が入り、内膜と外膜に分離されてしまう病気です。胸や背中に激しい痛みがあります。また、大動脈の血流が悪くなるため、手足への血流が悪くなります。そして、手足にも痛みが現れる場合があります。すぐに適切な治療を施さなければ、突然死を招く危険性が高い病気です。循環器系が原因の突然死では、2番目に多い死因だとされています(1番は心筋梗塞です)。

●脳性の突然死

脳は心臓と共に命にとって重要な役割を果たす器官です。脳に酸素と栄養を運ぶ脳血管にトラブルが起きると、突然死の恐れがあります。脳血管の病気は「出血性脳血管疾患」と「虚血性脳血管疾患」の2種類に分けられますが、これらをまとめて「脳卒中」ともいいます。


・出血性脳血管疾患

脳の血管が何かの原因で破れ、脳内で出血することで起こります。血液は「血腫(けっしゅ)」という塊になり、その部分の脳細胞は破壊されてしまいます。脳の奥にある細い血管にできたこぶが破裂し、出血するものを「脳出血」といい、頭蓋骨と脳の間にあり脳の表面を保護する「くも膜」の下で出血するものを「くも膜下出血」といいます。症状として、激しい頭痛のほか、めまいや意識消失、片側の手足の動きが悪くなる、呂律が回らなくなる、片目が見えなくなる、などがあります。命に直結する病気なので、これらの症状がみられたらすぐに救急車を呼びましょう。


・虚血性脳血管疾患

何らかの原因で脳の血管が詰まり血流が悪くなると、脳細胞は必要な栄養も酸素も不足した状態になります。代表的な疾患には「脳梗塞」と「一過性脳虚血発作」があります。これらの疾患の特徴は以下のようになります。


・脳梗塞

脳の血管内に「血栓」という血の塊ができ、血管が詰まってしまうものを「脳血栓」といい、脳以外の血管でできた血栓が血流によって運ばれ、脳内の血管を詰まらせてしまうものを「脳塞栓(のうそくせん)」といいます。完全に血管が詰まり、血流が止まった状態になるため、血液が行き届かなくなった脳細胞は壊死してしまいます。脳梗塞の症状は、めまいや意識消失、片側の手足の動きが悪くなる、呂律が回らなくなる、片目が見えなくなる、などです。これらの症状が起こったらすぐに救急車を呼びましょう。


・一過性脳虚血発作

病名のとおり、血管の詰まりは一時的なものなので、血流はすぐに元に戻ります。症状の持続時間はほとんどが1時間以内で、最長でも24時間とされています。しかし、24時間以内で症状が消えたとしても、その後に脳梗塞へ移行するリスクが高い病気です。主な症状は、脳梗塞と同様に、片側の手足が動かなくなったり、言葉がしゃべれなくなったり、片目が見えなくなったりします。症状が現れた場合、すぐに救急車を呼びましょう。

●呼吸器系性の突然死

呼吸器系に原因がある病気としては「睡眠時無呼吸症候群」があります。医学的には「睡眠中に10秒以上呼吸が停止する無呼吸の状態」や「呼吸が浅くなることによる血中の低酸素状態」が、1時間に5回以上繰り返される状態を指します。


眠っている間に症状が現れるため自覚しにくいのが特徴で、気付かずに放置されているケースも珍しくありません。しかし、これを放置すると症状が悪化し、心筋梗塞、脳梗塞のほか、さまざまな疾患につながるリスクがあります。場合によっては、突然死につながることもある恐ろしい病気です。睡眠時無呼吸症候群の人は、呼吸器科を受診して適切な治療を受けましょう。



突然死の原因の多くは心臓・大血管の疾患、次いで脳の出血によるものです。血圧が高い人やコレステロール値が高い人はこのような疾患のリスクがあると考えられます。定期的な検査を受け、異常があれば医師のアドバイスを受けましょう。


(藤野晶@dcp)