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医療費も異なる!?「診療所」と「病院」の違いって?

2018.06.06

医療費も異なる!?「診療所」と「病院」の違いって?


たとえば風邪をひいたとき、かかりつけの「病院」や「診療所」に行く方が多いでしょう。さて、この「病院と診療所の違い」を皆さんはご存じでしょうか?もしかしたら、あまり意識せずにまとめて「病院」と呼んでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、これらは明確に法律で分けられているものなのです。今回は「病院と診療所の違い」を解説します。

記事監修


笹倉渉 先生


麻酔科標榜医、麻酔科認定医、麻酔科専門医、日本医師会認定産業医。『公立昭和病院』初期臨床研修医。『東京慈恵会医科大学附属病院』麻酔科・助教。『公益社団法人 北部地区医師会 北部地区医師会病院』麻酔科・科長を経て、現『MYメディカルクリニック』院長。


⇒『MYメディカルクリニック』公式サイト

http://mymc.jp/

■病院は20床以上のベッドがないといけません

「病院」と「診療所」は『医療法』によって、はっきり区別されています。


医療法の第一条の第五項では以下のように定義されています(面倒くさければ、飛ばしてまとめの部分だけ読んでください)。

第一条の五 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。


2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

⇒データ出典:e-GOV『医療法』

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000205&openerCode=1#1

つまり簡単にいえば、


●病院

入院患者20人以上を受け入れることができるように「ベッドが20床以上」ある医療施設


●診療所

入院患者を受け入れられないか、入院患者を19人以下しか受け入れられない「ベッドが19床以下」の医療施設


となります。また上記のとおり「科学的でかつ適正な診療を受けることができる」のが「病院」という区分けですので、「病院」は以下のような人員、施設を備えていなければなりません。


これは医療法の第二十一条に定められています。法律の文面を引用すれば

次に掲げる人員及び施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない

です。

一 当該病院の有する病床の種別に応じ、厚生労働省令で定める員数の医師及び歯科医師のほか、都道府県の条例で定める員数の看護師その他の従業者

二 各科専門の診察室

三 手術室

四 処置室

五 臨床検査施設

六 エックス線装置

七 調剤所

八 給食施設

九 診療に関する諸記録

十 診療科名中に産婦人科又は産科を有する病院にあつては、分べん室及び新生児の入浴施設

十一 療養病床を有する病院にあつては、機能訓練室

十二 その他都道府県の条例で定める施設

(データ引用元は同上記URL『医療法』第二十一条)


というわけですので、法律上の「病院」となるためには、上記の各ファシリティーを置くスペース、規定を満たす装備が必要になるのです。「病院」を開設するのにはお金がかかるわけですね。

■「病院」と「診療所」では医療費も変わる?

日本政府は医療の機能を分けようとしています。簡単にいえば「症状・病気によって医療機関を分けて受診してください」という方針なのです。


2016年(平成28年)4月から診療報酬が改定されました。「初診料・再診料」での大きな変化は、ベッド数が500床以上ある大病院(正確には「特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院」)に「紹介状を持たずに」初診・再診でかかった場合です。

①ほかの医療機関からの紹介状なしに、初診で受診した患者からは選定療養として「5,000円」※1以上が徴収されます。


②ほかの病院(ベッド数500床未満に限る)や診療所を文書で紹介しますという申し出を行ったにもかかわらず、その病院に再診で受診した場合には「2,500円」※2以上が徴収されます。


※1歯科の場合には3,000円

※2歯科の場合には1,500円

要するに「紹介状なしに(ベッド数が500床以上ある)大病院に行くと余計なお金がかかりますよ」「(ベッド数が500床以上ある)大病院の指示どおりの医療機関で治療を受けなさい」というわけです。


ほかにも「特定疾患療養管理料(月2回)」という診療報酬もあります。これは、生活習慣病などの慢性疾患について、かかりつけの医師・診療所・病院が担う「プライマリケア」の部分を評価するために設けられたものです。

診療所:225点(1点=10円なので2,250円)

ベッド数100床未満の病院:147点(同上で1,470円)

ベッド数200床以上200床未満の病院:87点(同上で870円)

医療機関の規模が小さいほど点数が大きくなっているのは、かかりつけ医となることが多い町のお医者さんに、患者の普段からの健康ケアを任せたいという意図からでしょう。

⇒データ出典:

『厚生労働省』「平成30年厚生労働省告示第43号」「医学管理等」

http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=519653&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196288.pdf

このように政府の「医療施設の機能を分ける」という意図によって、診療報酬も変化する時代となっています。その分化には、診療所・病院という区分も関係しているのです。医療費を賢く節約するためにはどこで診察を受けるのかも大事というわけです。


(高橋モータース@dcp)