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ショートスリーパーって本当にいるの?「なる」ことはできる?

2018.06.13

ショートスリーパーって本当にいるの?「なる」ことはできる?


1日に8時間眠るとすると、人生の1/3は寝ていることになります。なかには趣味や仕事のために睡眠時間を削る人もいらっしゃるかもしれませんが、健康にはよくありませんね。ところが、短い睡眠時間でも平気な「ショートスリーパー」なる人がいるという話があります。今回はこの「ショートスリーパー」についてご紹介します。

記事監修



森若奈 先生


精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。

女医+(じょいぷらす)所属。

■「ショートスリーパー」って何?

一般に「ショートスリーパー(short sleeper)」とは、短い時間しか寝なくても健康に影響がない人のことを指し、日本語では「短眠者」ともいわれます。


無理をして睡眠時間を短くしている人をショートスリーパーとは呼びません。あくまでも自然に睡眠時間が短く、それでも健康に暮らせる人のことを指します。


逆が「ロングスリーパー(long sleeper)」で、こちらは長時間眠らないと健康を保てない人のことを指します。成人の1%ほどが「ショートスリーパー」「ロングスリーパー」といわれますが、まだよく分かっていません。

■「ショートスリーパー」は本当にいるのか?

エジソンやナポレオンなどがショートスリーパーだった、などといわれることがありますが、本当にそうだったのかは不明です。業務に忙しくて睡眠時間を削るしかなく、それに慣れてしまったため「短い睡眠時間でも平気」だっただけではないのか、という推測だって成り立ちますからね。


ではショートスリーパーは本当にいるのでしょうか?


2009年『Science』に発表されたカリフォルニア大学のYing-Hui Fu博士らの研究では、1日に6時間の睡眠で過ごせる母娘の遺伝子を検査し「DEC2」という遺伝子に非常にまれな変異を見つけています。


同様に「DEC2」に変異を加えたマウスで調べてみると、ほかのマウスよりも約1.2時間、1日の覚醒時間が伸びました。DEC2遺伝子が哺乳類の概日リズムを制御しているのではないか、というわけです。


さらに、2018年3月には「DEC2 modulates orexin expression and regulates sleep.(DEC2遺伝子はオレキシンの発現を調整し眠りを制御する)」という論文を発表。DEC2遺伝子に変異が生じると「オレキシン」が増加する、と発表しています。


Ying-Hui Fu博士らの研究対象になった「睡眠時間が1晩に6時間でも健康に過ごせる」母娘を「ショートスリーパー」と呼べるのなら、ショートスリーパーは「いる」ことになります。



上記のように、ショートスリーパーが普通の人より短い睡眠時間でも平気なのは、遺伝的な特質によるもののようです。また、その人口比率も非常に低いものであると考えられます。ですから「あなたもショートスリーパーになれる!」なんて話は眉唾だと捉えなければなりません。


必要な睡眠時間は人それぞれ違います。無理をして睡眠時間を削って健康を害することになったら本末転倒です。くれぐれも「ショートスリーパーになろう」なんて話には安易に乗らないようにしてください。

⇒データ出典

・『Science』「The Transcriptional Repressor DEC2 Regulates Sleep Length in Mammals」

http://science.sciencemag.org/content/325/5942/866


・「DEC2 modulates orexin expression and regulates sleep.」

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29531056

(高橋モータース@dcp)