加齢とともに肌の張りが衰え、しわやくすみが目立つようになってきます。このような体の変化を予防したり緩和することを「エイジングケア」といいますね。「今から始めるのは遅い」と考える人がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません!今回は、エイジングケアとして「アラフォー女性が気をつけるべき毎日の習慣」を解説します。
記事監修
松田明子 先生
内科認定医、透析専門医、腎臓専門医。
東京女子医科大学卒業。東京女子医大病院 腎臓内科、同 泌尿器科を経て、2017年よりサイエンスクリニック院長就任。
2020年よりBeauty Connection Ginza Clinic に就任。
患者様に寄り添ったカタチの美容医療の提供に努めている。
女医+(じょいぷらす)所属。
▼詳細プロフィール
■エイジングケアはアラフォーからでも遅くはない
実際には、老化は成長期を過ぎると始まります。20代の若いうちから対策していた人と、もう40歳だけれどそれまで何もしてこなかったという人では、同じ年齢でも肌の張りなどが違うはずです。しかし、40代の人でも「もう手遅れ」と諦めずに取り組んでいくことで、実年齢よりも若々しく見えるようになるでしょう。
エイジングケアの方法には以下のようなものがあります。実践の際はどれかひとつだけをするのではなく、生活全体を見直すということを意識すると良いでしょう。
●スキンケア
よく知られているタンパク質の一種「コラーゲン」は、皮膚の真皮に網のように張り巡らされて、細胞をつなぎ止めています。また、「ヒアルロン酸」(これも皮膚組織にあるタンパク質です)には優れた保水性があり、これが肌の潤いに関係しています。若いうちはコラーゲンが活発に生産されており肌の張りを保っていますが、加齢とともに生産量が減ってしまいます。その結果、たるみやしわの原因となるのです。
また、「ターンオーバー※」と呼ばれる肌の新陳代謝も遅くなります。ターンオーバーが乱れると(速ければいいというものでもありません)肌荒れや乾燥肌の原因となります。
40代でのスキンケアでは、肌の保湿をしっかり行うことが重要です。そのためには自分の肌の質に合った基礎化粧品を使います。特に気を付けたいのは洗顔時。クレンジングで皮脂を落とした後は、化粧水、美容液、乳液の順で使用するのが基本です。
洗顔時以外では、紫外線にも要注意です。紫外線というと夏の強い日差しを思い浮かべますが、実は冬や曇っている日でも地上に降り注いでいます。肌を出さないようにするのが良いのですが、難しい場合でも日焼け止めを塗るなどの対策をしましょう。
●食習慣
そもそも「老化」とは、「細胞が酸化すること」だといわれています。鉄がさびたり、切ったリンゴが茶色く変色するのも酸化によるものです。人間は呼吸によって体内に酸素を取り込み、生命維持に役立てています。しかし、取り込んだ酸素の一部はほかの物質と反応しやすい「活性酸素」に変化します。
活性酸素も全てが有害というわけではなく、侵入した異物から体を守ったり、酵素の働きを助けたりといった良い働きもあるのですが、量が多くなると細胞を傷つけるようになります。人間には本来この活性酸素を抑える「抗酸化力」がありますが、これも加齢とともに衰えます。そのため、エイジングケアのためには以下のような抗酸化作用を持つ食品を取るのが良いとされます。
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アボカド
強い抗酸化作用を持つ「ビタミンC」、「ビタミンE」などを含んでいます。
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トマト
トマトも「ビタミンC」「ビタミンE」を含みますが、それに加えてビタミンEより抗酸化作用の強い「リコピン」という成分を含んでいるのがポイントです。
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ダークチョコレート
チョコレートの原料「カカオ」には「カカオポリフェノール」というポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、カカオの比率が高いダークチョコレートは効果が高いでしょう。
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果物
果物にはビタミンやポリフェノールが含まれており、抗酸化作用が強い食品です。イチゴなどのベリー類、レモンなどの柑橘(かんきつ)類、リンゴなどがおすすめです。
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発酵食品
納豆、みそ、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品には、抗酸化作用の強い栄養素が多く含まれています。
もちろんこれらの食品ばかり食べるのではなく、バランスの良い食事を心掛けてください。
●睡眠の質を高める
人間の体は、睡眠中に「成長ホルモン」を分泌しています。これは細胞の成長を促すだけではなく、傷ついた細胞を修復させる働きがあります。睡眠の質を高める方法には、
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自分が必要な睡眠の量を毎日きちんと取ること
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起床・就寝の時刻を一定にすること
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毎朝太陽の光を浴びること
などがあります。
●運動する
適度な運動の習慣は健康にいいといわれますね。もちろん、エイジングケアのためにも日常生活に運動の習慣を取り入れるのは良いことです。最近注目されているのは、スクワットと軽いウオーキングを組み合わせるものです。スクワットは以下の手順で行います。
1.足を肩幅程度に開き、真っすぐ立つ
2.3-4秒かけて膝を曲げる
3.同じように3-4秒かけて伸ばす
4.10回繰り返し
スクワットが終わったらすぐにウオーキングに移ります。速足で歩く必要はなく、普通の速さで構いません。
この運動により「マイオカイン」というホルモンが分泌されます。これは下半身の筋肉から分泌されるホルモンで、さまざまな健康効果があるとして、近年積極的に研究されています。
注意点としては、マイオカインは1日に分泌される量が決まっており、たくさん運動すればいいというものではないということです。また、1週間のうち1日だけ運動するよりも、毎日運動を継続したほうが良いということも分かっています。
「エイジングケア」を意識し、対策を始めるのは早いほうがいいのは確かです。しかし、40代まで何もしていなかったからといって、諦めるべきではないでしょう。紫外線対策などのスキンケア、食習慣の見直しをするだけでも変わってくるはずです。
※「ターンオーバー」とは、肌の代謝の仕組みのことです。表皮の最も深い「基底層(きていそう)」では新しい細胞がつくられ、表面の「角質層」に向かって古い細胞を押し上げていきます。新しい細胞に押し上げられた古い細胞はやがて角質層に到達し、最後はあかとなって剥がれ落ちます。この細胞の誕生から剥がれ落ちるまでのサイクルを「ターンオーバー」といいます。
(藤野晶@dcp)