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【第18回】彼女の「嫌い」なところ:どこからが浮気ですか?

2018.06.16

【第18回】彼女の「嫌い」なところ:どこからが浮気ですか?


大好きな彼氏がいるのですが、他の男の人と内緒でデートをするのがやめられません。でも別に付き合いたいとか、そういう気持ちではないんです。これって浮気ですか? そもそもどこからが浮気なのでしょうか?


どこからが浮気か。この問いは、古より人類が抱きつづけた問いのような気がする。


異性と二人で食事に行ったら?手を繋いだら?キスをしたら?肉体関係があれば?それとも精神的に浮ついたら?


人によって答えは様々だと思うので、あくまでわたしの意見になるけれど、わたしは、「(異性関係において)たとえ恋人に聞かれても、正直に言えないことをしてしまったら」だと思う。なぜ正直に言えないのか?と言えば、「正直に話すと相手が悲しむかもしれないとわかっていることをしてしまったから」なのだろう。それをわかっていながらわざとしたならば、(強い言い方になるけれど)それは“裏切り”とも言えるんじゃないかしら。


何をしたか、どんなことをしたかは、さほど重要ではなく、結局のところ「恋人が悲しむのがわかっていたけれど、自分の欲に抗えなかった」というのが罪なんじゃないか、と思う。わたしがもし浮気をされたとしたら、その行為がどんなものであっても「その瞬間、その欲とわたしを悲しませる可能性を天秤にかけて、それでもなお、欲を選んだのね」というその事実自体が一番悲しいだろうと思うから。


こういうと、「こんなに悲しませるとは思わなかったんです」とか「すごく泣かれてはじめて悪いことをしたなと気付いたんです」という弁明をされそうだけれど、それは本当にわからなかったのではなく、考えようとしなかったのだろうな、と思う。それでも気づけただけ、よかったのかもしれない。次からは二度とすることはないだろう。もし、“次”を与えてもらえたらの話だけれど。


これがわたしの「どこからが浮気か?」の答えだけれど、質問に答えるならば、「それは二人で決めておくことなんじゃないの?」というところだろうか。


何を浮気と思うか、すなわち何をされたら嫌なのかは、二人の間で決めればいい。

わたしは付き合いをはじめるときには、恋人に必ず話すようにしている。何を嫌に思うのかは人によるところが大きいので、話さずにわかってもらうのは難しいと思っているから。相手の価値観も、あらかじめ知っておくことは大事だろう。こんなことで怒られるなんて、ということで、相手をカンカンに怒らせてしまってからでは遅い。

別々に生きてきた二人が価値観を共有して生きなくてはいけないのだから、何がダメで何が許せないのかは、普段から話しておくのが大事じゃないだろうか?



それにしても、どこからが浮気か? というのは実はさほど重要な話ではないと思う。手を繋いだら、キスしたら、というボーダーラインをさぐって、「なぁんだ、やっぱりこれは浮気じゃないよね!」と安心することよりも、もっと本質的に大事なのは「相手をどれほど大事に思っているか」だと思うから。


わたしの友人は、「大事な彼氏がいて、その人としか結婚する気もないのだけれど、セフレとの付き合いをやめられない」のだという。彼氏との“夜の行為”について不満もないのに。そして当然、「セフレとの付き合いが彼氏にバレたら振られると思う」とも言う。なぜわかっていて続けるの? とわたしは思うのだけれど、彼女自身も「わからない」のだそうだ。

もう一人の友人は、「絶対に別れたくない彼女がいるのだけれど浮気をしてしまうし、でも罪悪感さえ芽生えない」らしい。「なぜ罪悪感が芽生えないの?」と聞くと、「本当に好きなのは彼女だけだからかな」とのこと。わたしは頭を抱えてしまう。その行為と、「本当に好きだ」という気持ちは、どうして同居できるのだろう? と。


恋愛はいろいろな形があるので、当然何が良い・悪いではない。先ほど話したような人たちのことを「否定」するつもりもない。でもわたしはやっぱり内心、彼女や彼に“本当に”好きな人ができるといいなと思ってしまった。


大好きで、大事であれば、その人が傷つくようなことは“こっそり”であってもしたくないと思うような気がする。“知らないところで”していたとしても、(もしこれを知ったら)と思うだけで、胸がぎゅっと痛くなり、罪悪感で押しつぶされそうになったり。本当に大事なのだとすれば、“考えてなかった”なんてことはありえない。当然その人が悲しむようなことはしたくないし、その人が辛い気持ちになるようなことはしたくない、と思うものじゃないかと。


と、まあ立派に見えるようなことを言ってしまったけれど、わたしだって欲に流されたことがある。まだ、若かった。当時の彼氏のことはたしかに好きで、たしかに大事だったような気がするけれど、でもそれよりももっと目の前の自分の人生経験や自分の感情のほうが大事な気がしたのだ。どこか、「わたしにはわたしの人生があるのだし、謳歌しなければ」と開き直ったようなことさえ思っていた気がする。


でも今になって思う。自分ばかりが大事で、相手のことなんてちっとも大事に思えていなかった。いや、言い換えれば、わたしが持っていたのは、失ってもいいものばかりだったのかもしれない。


バレたくないのは、ややこしいことになるのを避けたいから。悪者になりたくないから。振られるのは辛いから。一番大切な「その人を失いたくないから」という気持ち自体は、とても薄かったのかもしれない。だから、あんな軽率なことができてしまったのだろう。当時は、そんなことわからなかったけれど。



失ってはいけないものがある。そのためだったら浅はかな欲は我慢できる。

どこからが浮気か云々よりも、そんな風に思えるようになるといいんじゃないかと思う。


一時の気の迷いってあると思うけど、一時の気の迷いで大事なものを失わないように。「失ってから大事さに気づいた」とか、格好悪いことは言わないでよね。



(ライター/さえり 写真/インディ 編集/サカイエヒタ)

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