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不妊・不育症治療の「助成金」にはどんなものがある?

2018.06.14

不妊・不育症治療の「助成金」にはどんなものがある?


妊活や不妊治療には多額のお金が必要になりますね。そんなとき助けになるのが、国・地方自治体から支給される「助成金」です。さて、これを受け取るにはどのような申請が必要で、どれくらいの額が支給されるのでしょうか?妊活・不妊治療専門FPの宮野真弓さんに、「不妊・不育症治療の助成金」について教えてもらいました。

取材協力・監修



ファイナンシャル・プランナー 宮野真弓さん


不妊治療(体外受精)を経て3人の息子を出産した、妊活・不妊治療のお金の専門家、ファイナンシャル・プランナー。FPオフィスみのりあ代表。大学卒業後、証券会社、銀行を経て独立系FP会社に入社。個別相談、家計簿診断、執筆、セミナー講師、資格講座講師などを数多く担当する。不妊治療に専念するため同社を退社し、長男出産後、開業。「妊活、妊娠、出産、育児をハンデにしない社会の実現」を目指し、子どもを望む家庭やファミリー世帯に向けたセミナー、執筆、個別相談に注力している。また、転職、起業、不妊治療といった自身のさまざまな経験を活かし、ママの起業や再就職など、女性の夢の実現も応援している。


■FPオフィスみのりあ

https://fpoffice-minoria.jimdo.com/

■宮野さんブログ「妊活、不妊治療、育児、起業にまつわるお金の話」

https://ameblo.jp/fp-minoria/

■不妊治療・不育症治療の助成金制度って?

―不妊治療・不育症治療の助成金制度ってどんなものなのでしょうか。


宮野さん:

不妊治療を対象とした助成金制度としては、「特定不妊治療費助成制度」があります。この制度は、国の施策に基づいて自治体が実施・運営をおこなっています。対象者となる条件は、「特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦」「治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦」のふたつを満たしていること。対象となる治療は、体外受精および顕微授精です。

助成内容:

不妊に悩む夫婦への支援について |厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html

この制度の利用には、「夫婦の前年所得の合計額が730万円未満であること」という所得制限が設けられていますが、この金額を年収と勘違いして申請を諦めてしまっている夫婦が結構いらっしゃいます。


所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。会社員などの給与所得者の場合、給与の額面金額から「給与所得控除額」を引いた金額が「所得」です。給与所得控除額の計算方法は収入に応じて決まっています。また、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で確認することができます。

【収入ごとの給与所得控除額の計算方法】

180万円以下:収入金額×40%、65万円に満たない場合には65万円

180万円超360万円以下:収入金額×30%+18万円

360万円超660万円以下:収入金額×20%+54万円

660万円超1000万円以下:収入金額×10%+120万円

1000万円超1500万円以下:収入金額×5%+170万円

1200万円超:230万円(上限)

自営業者の場合は、総収入金額から必要経費を差し引いた金額です。市民税・県民税特別徴収税額決定通知書の「総所得金額」、確定申告書の「所得金額」の「合計」で確認することができます。


そして、特定不妊治療費助成の対象となるかどうかは、その所得からさらに社会保険料等相当額のほか、医療費控除、雑損控除、小規模企業共済等掛金控除などの控除額を差し引いた金額で判定します。なお、社会保険料等相当額は一律8万円で計算することになっています。

【たとえば、夫の給与収入が600万円、妻の給与収入が450万円の場合】

夫の所得=600万円-(600万円×20%+54万円)=426万円

妻の所得=450万円-(450万円×20%+54万円)=306万円

そこからそれぞれ社会保険料等相当額として8万円ずつ差し引けるので、

(426万円-8万円)+(306万円-8万円)=716万円


となり、助成を受けることができます。

■不妊治療・不育症治療の助成金を受け取るには?

―不妊治療・不育症治療の助成金をもらう方法を教えてください。


宮野さん:

必要書類は、申請書、受診等証明書、住民票の写し、戸籍謄本、夫婦それぞれの所得を証明する書類、指定医療機関発行の領収書などですが、自治体によって異なります。郵送での申請が可能な自治体もありますが、多くの自治体では来所して申請します。申請期限も自治体によって異なりますので、事前に確認する必要があります。


自治体によっては、助成金額や助成回数を上乗せしているところ(秋田県、八王子市、久留米市など)や、少数ですが所得制限の撤廃をおこなっているところ(静岡市、高槻市など)もありますし、不妊症検査や一般不妊治療、[不育症に対する助成をおこなっているところ](https://fuikushou.jimdo.com/%E5%8A%A9%E6%88%90%E9%87%91%E6%83%85%E5%A0%B1/)もあります。


なお、住所地以外の自治体から助成金を受けることはできません。引っ越しをした場合には、引っ越し前の住所地で助成金を受け取ったかどうかの確認もされます。


―ありがとうございました。



特定不妊治療費助成制度の内容や、特定不妊治療費助成制度以外の助成制度の有無は住んでいる自治体によって異なりますが、助成金を必要とする人や周囲の声に応えて新たに導入するところも増えてきているようです。もしもお金の問題で治療をためらっているのなら、まずは役所に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか?


(取材・文 松本玲子)