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健康保険ってそもそも何?「医療費支払い」の流れって?

2018.06.21

健康保険ってそもそも何?「医療費支払い」の流れって?


会社勤務の方は、月々のお給料から「健康保険料」が天引きされているでしょう。これは日本が「国民皆保険制度」で、すべての人が「健康保険」に加入しなければならないためです。さて、そもそもこの健康保険とは、いったい何なのでしょうか?今回は「医療費と健康保険」についてご紹介します。

記事監修


笹倉渉 先生


麻酔科標榜医、麻酔科認定医、麻酔科専門医、日本医師会認定産業医。『公立昭和病院』初期臨床研修医。『東京慈恵会医科大学附属病院』麻酔科・助教。『公益社団法人 北部地区医師会 北部地区医師会病院』麻酔科・科長を経て、現『MYメディカルクリニック』院長。


⇒『MYメディカルクリニック』公式サイト

http://mymc.jp/

■公的医療保険の種類 「保険者」と「被保険者」

国民皆保険制度は、保険の加入者が自己負担分を支払うことで必要な医療を受けられるようにするというもの。加入者負担分を引いた医療費の残りの部分は、その人が加入する公的な医療保険が負担します。


保険の加入者は、保険を被(こうむ)る者という意味で「被保険者」と呼ばれます。「被害者」と同じような言い方ですね。


国民皆保険制度のため、日本国民は全員が何らかの公的な医療保険の被保険者にならなければいけません。公的な医療保険の種類は以下のようになっています。

●健康保険

企業に勤務するサラリーマンが主に加入します


●国民健康保険

自営業者、退職者が加入します

(厚生年金保険など被用者年金に一定期間加入し、老齢年金給付を受けている65歳未満等の人も)


●共済組合

国家公務員・地方公務員、私学教師などが加入します


●船員保険

船舶に勤務する船員が加入します


●後期高齢者医療制度

75歳以上の人、また65-74歳で一定の障害を持つ人が加入します


※未成年者などの家族は「被保険者の扶養者」という立場で加入します(保険による)。

それぞれの医療保険で、その保険を引き受ける「保険者」という組織があります。たとえば、『全国健康保険協会』(協会けんぽ)は中小企業のサラリーマンを中心に約3,830万人の加入者をカバーしています。勤務する企業が協会けんぽを保険者としていれば、どの企業に勤務していても、協会けんぽを保険者とする公的医療保険の「被保険者」ということになります。


大企業では独自に健康保険組合をつくることがありますが、そのような場合にはそこが「保険者」になります。公務員の皆さんの場合には共済組合が「保険者」ですね。

■支払った保険料は「保険者」に集まる 「お金の流れ」は?

サラリーマンの皆さんが月々給料から天引きされている「健康保険料」(掛け金)は「保険者」が徴収しています。保険者は、被保険者から広く掛け金を集めて、医療費の支払い(後述)に備えます。


では、私たちが病院で治療を受けた場合、医療費がどのように流れているのかを見てみましょう。まずは掛け金の支払いから始めます。

1.「被保険者」が健康保険料(掛け金)を「保険者」に支払う

(保険者が被保険者から掛け金を徴収する)


2.「被保険者」が「医療機関」で診療を受ける

 (医療機関による「療養」の給付)


3.「医療機関」は療養の対価(医療費)を計算する

(医療費の金額が決まる)


4.「被保険者」は「医療機関」の窓口で一部負担金を支払う

 (多くは3割負担:後述)


5.「医療機関」は「審査支払機関」※に診療報酬を請求する


6.「審査支払機関」はその診療報酬が適切かを判断する


7.「審査支払機関」は審査した請求書を「保険者」に送付する


8.「保険者」は「審査支払機関」に請求額を支払う


9.「審査支払機関」は「医療機関」に診療報酬を支払う

私たちが診療後に窓口で支払うのは医療費の「一部」です。多くの場合は3割ですが、残りの7割が医療機関に入るまでにけっこう長い道のりがあることが分かりますね。


医療機関はまず診療報酬の請求を審査支払機関に行って、その診療が適切であったのかなどを審査してもらうのです。不適切であれば受理してもらえません。適切と判断された請求は掛け金を徴収している保険者に送られます。その後、保険者から審査支払機関経由で医療機関にお金が支払われるのです。


※審査支払機関には「社会保険診療報酬支払基金」「国民健康保険団体連合会」のふたつがあります。


ちなみに被保険者の医療費の負担割合は、

  • 6歳未満(義務教育就学前):2割

  • 6歳以上70歳未満:3割

  • 70歳以上75歳未満:2割負担(ただし現役並み所得者は3割)

  • 75歳以上:1割負担(ただし現役並み所得者は3割)

となっていますので、読者の皆さんの多くが「3割負担」でしょう。


※ただし、乳幼児・児童については地方自治体の医療費助成があるので、公的な医療保険による治療については無料、またあっても500円などの低い自己負担に抑えることができます(条件・給付の方法などは各自治体によって異なります)。

⇒データ出典:

『厚生労働省』「我が国の医療保険について」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/


日本の国民皆保険制度は、被保険者・保険者・医療機関・審査支払機関という4者によって成り立っているわけです。皆さんの給与から天引きされている健康保険料(掛け金)は「保険者」のところに集められていることなども覚えておくと良いでしょう。

(高橋モータース@dcp)