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「寝酒はだめ」といわれるのはどうして? お酒が睡眠に及ぼす影響

2018.06.20

「寝酒はだめ」といわれるのはどうして? お酒が睡眠に及ぼす影響


イライラしたり、不安があったりして眠れないとき、「お酒」に頼ってしまうことはありませんか?たしかに、お酒を飲むと眠くなるような気がします。しかし「寝酒は睡眠の質を低下させる」ともいわれています。これはどうしてなのでしょうか? 今回は「寝酒が睡眠に及ぼす影響」についてご紹介します。

記事監修



堀内和一朗 先生


皮膚科医、抗加齢専門医、国際レーザー専門医、精神科医。

東京医科歯科大学医学部卒業。小張総合病院皮膚科医長、総合クリニックドクターランド船橋皮膚科部長を経て、現在は関東の精神科病院勤務。人間総合科学大学非常勤講師。

医師+(いしぷらす)所属。

「就寝前にお酒を飲むとすぐに眠れる」といって、寝酒を習慣にしている人がいらっしゃいます。しかし、近年は睡眠に関する研究が進んでおり「寝酒はよくない」ことも分かっています。寝酒が睡眠の質を低下させるといわれるのは以下のような理由によります。

●「アセトアルデヒド」が「レム睡眠」を抑制する

肝臓がアルコールを分解すると「アセトアルデヒド」という毒性のある物質が発生します。アセトアルデヒドには「レム睡眠※」を抑制させる働きがあります。これによって寝入ってすぐに訪れるノンレム睡眠が長く続きます。


しかし、その反動でノンレム睡眠から切り替わった後に訪れるレム睡眠も長く続きます。レム睡眠のときは脳が覚醒状態に近く、目が覚めやすくなっています。そのため、お酒を飲んで寝ると夜中に目が覚めやすくなります。


また、アセトアルデヒドには自律神経のうち交感神経を優位にさせる働きがあります。通常、眠っているときには副交感神経が優位になっています。交感神経は日中活動しているときに優位になっているものなので、交感神経が優位になると興奮状態になって目が覚めてしまうのです。

●アルコールが急激に抜けて催眠作用が消える

人間の脳には「GABA(ギャバ)」という神経伝達物質があります。脳内の神経細胞にはGABAが作用するための「GABA-A受容体」があり、GABAがこの受容体に結合すると神経細胞の活動が抑制されて眠くなるのです。実は血液に吸収されたアルコールも「GABA-A受容体」に結合するため、お酒を飲むと眠くなります。


しかし、血液中のアルコールは時間がたてば分解されます。アルコールの量にもよりますが、数時間でGABA-A受容体に結合していたアルコールは消失し、催眠効果も消えてしまうのです。催眠効果がなくなれば、少しの刺激でも目が覚めてしまうでしょう。

●アルコールが抗利尿ホルモンの分泌を抑える

通常、眠っているときには「バソプレシン」という抗利尿ホルモンが働き、腎臓での水を再吸収する量を増やして尿意を抑えるようになっています。しかし、アルコールにはこのバソプレシンの分泌を抑える働きがあります。すると腎臓で水分を再吸収せずにぼうこうに尿がたまり、夜中にトイレに行くために目が覚めてしまいます。


※人間の睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の質の異なるふたつの睡眠を繰り返しています。入眠して最初のノンレム睡眠で深い眠りに入り、これが睡眠の質に関係します。



お酒は適量を飲むぶんには、楽しい気分にさせることもあります。睡眠の質を下げないためには「寝酒」と呼ばれるような就寝直前の飲酒は避け、遅くとも就寝の3-4時間前にはアルコールを取るのを終えるようにしましょう。また、過剰な飲酒は健康を損ねますので、「ほどほど」にしてくださいね。


(藤野晶@dcp)