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「年を取ると早起きになる」のは、生理的な理由があった!?

2018.06.27

「年を取ると早起きになる」のは、生理的な理由があった!?


一般的に「年をとると早起きになる」といいますし、実際に早朝から活動している人も多いですよね。朝に弱い人からすると、けっこう不思議なのではないでしょうか。いったいなぜ、年を取ると「早起き」になるのでしょうか? これには生理的な理由があるのです。

記事監修



森若奈 先生


精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。

女医+(じょいぷらす)所属。

■年を取ると「深い睡眠」が減る! そのため覚醒しやすい

先行する66の研究をメタ解析した「年齢とともに睡眠時間や睡眠の質がどのように変化するか」についての研究(記事内のURLを参照)があります。それによると、

  • トータルの睡眠時間は加齢とともに減る

  • 深い眠りの時間は加齢とともに減る

    (85歳では5歳未満の10分1)

  • 中途覚醒が加齢とともに増加する

    (85歳では5歳未満の約11倍)

となっています。加齢とともに睡眠時間は短くなりますので、これが早起きになる理由のひとつです。


しかし、実は「年を取ると早起きになる」というのは、実際とは少しニュアンスが違います。中高年になると早起きになってきますが、多くの場合、この早起きは「睡眠途中での覚醒が多くなる」ことで始まります。


「不眠症状」の中に数えられる「早朝覚醒」です。つまり「早起き」というポジティブなものではなく、眠れない・起きてしまうという「早起き」なのです。


上記のように、年とともに「深い睡眠」の時間は減っていきます。睡眠が浅いために朝の光などの外界からの刺激(新聞配達の音なども)、また尿意などによって簡単に目が覚めるようになるのです。


この早朝覚醒が習慣付くことによってさらに朝型が強化されることもあります。私たちに備わっている体内時計は、太陽の光を浴びてリセットしリズムを調整するようになっています。


早朝覚醒で太陽の光を浴びて体内時計をリセットし、それが継続されると体は「朝型」に慣れてそのリズムによって行動するようになります。これも高齢者が早起きになる理由と考えられます。

⇒データ出典:「Meta-Analysis of Quantitative Sleep Parameters From Childhood to Old Age in Healthy Individuals: Developing Normative Sleep Values Across the Human Lifespan」

http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.859.7346&rep=rep1&type=pdf

■なぜ年を取ると睡眠時間は短くなる?

では、なぜ年を取ると睡眠時間が短くなるのでしょうか? 理由のひとつは「基礎代謝量」が低下することにあると考えられています。


基礎代謝量というのは、呼吸、体温、心臓の動きなど生命活動を維持するための「必要最低限のエネルギー消費量」です。1日当たりの基礎代謝量は、年齢とともに少なくなっていくのです。


その理由は、筋肉、骨格、内臓といった人間の体を構成する組織(脂肪を除くという意味で「除脂肪組織量」といいます)が加齢によって衰え、軽くなっていくためと考えられています。


組織が衰え痩せてくると、活動に必要となるエネルギー量も減ります。各組織で必要なエネルギー量が減ると、体全体ではかなりの基礎代謝量の低下となります。


基礎代謝量が減るのですから、基礎代謝量の多かった若いときほど体を休める必要はなく、睡眠時間も短くていいというわけです。



年を取ると睡眠時間が短くなるのは、基礎代謝量が減るのが原因なので仕方がありません。しかし「深い睡眠」が減るのは困りますね。この深い睡眠が加齢とともに減っていく理由は、実はまだよく分かっていません。この仕組みが解明されたら、何か良い解消法が見つかるかもしれませんね。


(高橋モータース@dcp)