疲れやすい、集中できない、なんだかうつうつとする……。こうした症状は、もしかしたら「副腎の疲労」が影響しているのかもしれません。さて、この「副腎」がどんな臓器なのかをご存じでしょうか? 副腎が疲れるってどういうこと……? 今回は、「副腎疲労症候群」について、予防医療に精通した黒田愛美医師に伺いました。
取材協力・監修
黒田愛美先生
クリントジュネスbyクリントエグゼクリニック
杉山産婦人科 卵子アンチエイジング外来 ドクター
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2014年11月よりクリントエグゼクリニックに勤務。食事やサプリメントなどの分子栄養学やホルモンなどの予防医療を中心とした「内面からのアプローチ」と、レーザー、ヒアルロン酸、ボトックスなどの「外からのアプローチ」の両方を手掛ける医者として活躍している。
▼黒田愛美オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/kurodaaimi131/
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■副腎の働きって?
―まず、副腎とはどんな臓器なのでしょうか?
黒田先生:
副腎は、腎臓の上部についている小さな臓器です。副腎の主な働きは、わたしたちが生きていくのに欠かせない多種類のホルモンを生成すること。
そのため、疲労などが原因で副腎がうまく働かなくなると、ホルモンバランスが崩れ、「副腎疲労症候群」と呼ばれる状態に陥ることがあります。具体的な症状は、疲労感、倦怠感、免疫力低下、朝起きるのがつらい、睡眠障害、肌荒れ、抜け毛、筋力低下、肥満、むくみなどです。
こうした症状があると身体を動かすのがおっくうになり、ますます不健康になる……、という悪循環に陥ってしまうかもしれませんね。
■副腎の疲労度をチェック!
―副腎が疲れているとは自分で気づきにくそうですが、どうすれば自分の副腎疲労度をはかることができますか?
黒田先生:
以下の11の項目のうち、チェックが3つ以上ついた人は副腎が疲れている可能性があります。
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1.朝起きるのがつらい
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2.疲れやすい
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3.なにかしらのアレルギー症状がある
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4.低血圧で、めまいを起こすことがよくある
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5.よくコーヒーを飲む
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6.集中できない
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7.ストレスに対処できない
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8.日常に疲れてしまう
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9.以前に比べてPMS(月経前症候群)が悪化した
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10.無性に塩辛いものが食べたくなる
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11.軽度のうつ症状が認められる
こうした症状が続くと「加齢のせいかな?」とか「うつ病かも?」と思うかもしれませんが、副腎疲労が原因となっている可能性もあります。副腎疲労の主な原因は「ストレス」と「食事」です。まずはこれらを見直すようにしましょう。
■副腎を疲れさせない、回復させるために大切なこと
―副腎を疲れさせない、また疲れた副腎を回復させるにはどうしたらいいのでしょうか?
黒田先生:
健康的な食生活をおくるのはもちろん、カフェインやアルコールの摂取を控えることも大切です。疲れたときは「コーヒーなどのカフェインで目を覚ましたい」と思うかもしれませんが、副腎が疲労する⇒(肉体的に)疲れを感じてコーヒーを飲む⇒副腎が疲労する……、なんて悪循環に陥ってしまうかもしれません。カフェインレスのものを代用するなど、ちょっとずつでも減らすよう意識するといいですね。
積極的に摂取してほしいのは、オメガ3などの良質な脂と、ビタミン、ミネラルが豊富なバランスのとれた食事です。昔から言われている、「まごわやさしい」を意識できるとなおいいですね。
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ま(まめ)=豆類
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ご(ごま)=種実類
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わ(わかめ)=海藻類
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や(やさい)=緑黄色野菜、淡色野菜、根菜
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さ(さかな)=魚介類
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し(しいたけ)=きのこ類
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い(いも)=いも類
サプリメントの力を借りたい場合は、高濃度ビタミンCを内服するのがおすすめ。副腎に一番大切なホルモンであるDHEAの内服もいいですね。
副腎は就寝中に休むので、内服のタイミングは就寝前がいいでしょう。翌朝も、スッキリと起きられるようになりますよ。
―ありがとうございました。
慢性的な疲れ、気分が塞ぎがち、頭がぼーっとして集中できない、などの症状に悩まされている人は、一度副腎の不調を疑ってみては? 少し意識すれば食事は変えられるはず。ぜひ実践してみてくださいね。
(取材・文 松本玲子)