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「公的な社会保険」には5種類ある。医療保険、年金保険、それから…?

2018.07.03

「公的な社会保険」には5種類ある。医療保険、年金保険、それから…?


国民皆保険制度によって日本国民は全員が公的な社会保険に加入しなければなりません。これは国民が互いに経費を負担し合い、助け合う社会インフラのひとつです。読者の皆さんは、公的な社会保険にどのような種類があるのかご存じですか?

記事監修


吹田朝子(すいた・ともこ) 先生


『一般社団法人 円流塾』代表理事。CFPR(R)認定者(ファイナンシャルプランナー)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、健康ファイナンシャルプランナー(R)。

一橋大学卒業後、生保会社の企画調査・主計部門を経て1994年より独立。著書多数。


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■社会保障制度としての「社会保険」

日本国憲法には以下のようにあります。

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。


2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

実際の生活、ライフステージでは、

  • けがや病気に対処する医療

  • 老後や障害状態での生活を維持するための給付

  • 介護が必要になった際のサポート

  • 失職による生活苦をしのぐための給付

  • 突然のけが・病気などで働けなくなったときの保障

が必要になることがあります。これらを提供するのが「社会保障制度」であり、そのために設けられているのが公的な「社会保険」です。つまり、社会保険は「国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するためにあるのです。

■公的な「社会保険」の種類は5つ

公的な社会保険には以下の5つがあります。

  • 医療保険

  • 年金保険

  • 介護保険

  • 雇用保険

  • 労災保険(労働者災害補償保険)

上記のうち「医療保険」「年金保険」「介護保険」の3つを「社会保険」と呼ぶこともあります。「社保」などと略して呼ぶ場合には、特にこの3つを指すことが多いでしょう。


また会社内で「社保」と呼ぶ場合には、

  • 健康保険(公的な医療保険の5種類※の中のひとつ)

  • 厚生年金(公的な年金保険の3種類(後述)の中のひとつ)

  • 介護保険

の3つを指すことが多いようです。ただ、この場合も公的な「医療保険」「年金保険」「介護保険」を指していることに変わりはありません。

ややこしいことに、「健康保険」を「社保」と呼ぶ人もいらっしゃいます。たとえば「社保から国保に換えるタイミングは?」といった使い方です。


こういう言い方があるので一般の人が混乱するのだと思われますが、この「社保」は主にサラリーマンが加入する「健康保険」、「国保」は主に自営業者が加入する「国民健康保険」を指しています。


また、一般に「雇用保険」と「労災保険」をまとめて「労働保険」と呼びます。


それぞれの概要を見てみましょう。

●医療保険

けが、病気、出産、死亡など、国民の健康に関わる負担をできるだけ軽減するためにある公的な保険制度です。けがや病気に対して自己負担額を抑えて治療を受けられるようにする給付、「出産育児一時金」「埋葬料(費)」などの給付が含まれます。


公的な医療保険の種類は以下の5つです。

  • 健康保険

  • 国民健康保険

  • 共済組合

  • 船員保険

  • 後期高齢者医療制度

●年金保険

老後の生活、何らかの障害を受けて日常生活に支障がある、死亡などを保障するための公的な年金保険です。保険料(掛け金)の支払いに応じて老後に年金を受け取れる、障害によって年金を受け取れる、遺族が年金を受け取れる、などの給付が含まれます。


公的な年金保険の種類は以下の3つです。

  • 国民年金

  • 厚生年金保険

  • 共済年金

    (共済年金は2015年(平成27年)10月から厚生年金に統一されています)


⇒データ出典:

『日本年金機構』「公的年金の種類と加入する制度」

http://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/shurui-seido/20140710.html

●介護保険

介護が必要な人が、そのためのサービスを受けられるように設けられた公的な保険制度です。


全ての国民は40歳になった月から強制的に加入し、保険料(掛け金)を支払います。40歳以上の国民から徴収した保険料と「国・都道府県・市区町村」が1:1でお金を出し、併せて財源としています。


この仕組みによって介護を必要とする人は、自己負担を1割または2割でサービスを利用できるようになっています(2018年8月からは2割負担の人は3割負担へ引上げ)。


公的な介護保険によって受けられるサービスには「介護給付」と「予防給付」があります。


・介護給付

介護が必要と認められた人に行われる保険給付


・予防給付

支援が必要と認められた人に行われる保険給付

⇒データ出典:

・『厚生労働省』「介護保険とは」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html


・『厚生労働省』「公的介護保険制度の現状と今後の役割」P.20

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/201602kaigohokenntoha_2.pdf

●雇用保険

労働者の生活や雇用の安定、就職の促進のための給付が行われる保険制度です。


雇用保険の給付は、


・求職者給付

基本手当/技能習得手当/寄宿手当/傷病手当/高齢者求職給付金/特例一時金/日雇労働求職者給付金


・就職促進給付

就業促進手当/移転費/求職活動支援費


・教育訓練給付

教育訓練給付金


・雇用継続給付

高年齢雇用継続給付/育児休業給付/介護休業給付


の4つに分けられます。求職者のための給付がメーンですが、企業に雇用を促進するための助成などもあります。


いわゆる失業手当(求職者給付の中の「基本手当」といいます)のほか、パパ・ママが育児で休職する際に利用できる「育児休業給付」、家族を介護するための介護休業をした際に利用できる「介護休業給付」、一定要件を満たす在職者や離職者向けの「教育訓練給付金」などは、この公的な雇用保険によって行われます。

⇒データ出典:

『ハローワークインターネットサービス』「雇用保険制度の概要」

https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_summary.html

●労災保険(労働者災害補償保険)

仕事に従事している時間内、通勤途中にけがを負ったり、病気になった際の保障を行う保険です。また、被保険者が労働上の事故・災害で死亡した場合には(一定の条件の下で)、遺族は「遺族(補償)給付」が受けられますし、「葬祭料(葬祭給付)」も行われます。この労災保険の給付には主に以下のような種類があります。

  • 療養補償給付

  • 休業補償給付

  • 障害(補償)給付

  • 遺族(補償)給付

  • 傷病補償年金

  • 介護補償給付

  • 葬祭料(葬祭給付)

  • 二次健康診断等給付


公的な社会保険は重要な社会インフラであり、セーフティーネットでもあります。日本人全員が健康的かつ文化的に生きられるように設けられたものですから、その制度について概略だけでも理解しておくのがいいでしょう。


(高橋モータース@dcp)