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代理母出産とは?日本では「できない」のはどうして?

2018.07.06

代理母出産とは?日本では「できない」のはどうして?


芸能人の有村昆さんと丸岡いずみさん夫妻が選択したことで話題となった「代理母出産」。日本では事実上、「できない」とされているようですが、これはいったいどうしてなのでしょうか?どんなリスクがあるの?今回は「代理母出産」について解説します。

記事監修



高橋しづこ先生


産婦人科専門医。1995年、米国オレゴン州私立Reed Collegeを卒業。1997年、東海大学医学部へ入学。同大卒業後、東京大学医学部大学院より医学博士。その後は日赤医療センターや山王メディカルセンターで非常勤医師。女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/138

■代理母出産には二種類ある!

「代理母出産」は、何らかの理由で自分では子供を産むことができない女性の代わりに、ほかの女性が妊娠して出産することです。「代理出産」「代理懐胎」と呼ぶこともあります。また、代理母出産を行う女性のことを一般に「代理母」と呼びます。


代理母出産には次のような種類があります。


1.サロゲートマザー

夫の精子を妻以外の女性に人工授精して行われる方法です。一般的には、夫の精子と、妻以外の女性(卵子ドナー)の卵子を結合させて受精卵とし、第三者の女性の子宮に移植。受精卵を移植された女性が妊娠・出産する方法です。


この方法では生まれてくる赤ちゃんは、夫とは遺伝的なつながりがありますが、妻とはないことになります。


夫以外の男性(精子ドナー)の精子と妻以外の女性(卵子ドナー)の卵子を結合させて受精卵をつくり、第三者の女性の子宮に移植。第三者の女性が妊娠・出産することもあります。この場合には、生まれてくる赤ちゃんは夫婦どちらとも遺伝的つながりがないことになります。


2.ホストマザー

夫の精子と妻の卵子を結合させて受精卵とし、他の女性の子宮に移植。その女性が妊娠・出産するという方法です。この場合には生まれてくる赤ちゃんは、夫・妻両方と遺伝的つながりがあります。これは「借り腹」ともいわれる方法です。


このような代理母出産を選択する理由はいろいろですが、たとえば何らかの疾患によって妻が子宮を全摘出する手術を受けたといったものが挙げられます。

■日本では「代理母出産」は事実上できない!

代理母出産は原則、「日本ではできません」。


ですが、実は代理母出産を禁止する法律はないのです。たとえ代理母出産で赤ちゃんが生まれたとしても別に法律を破ったことにはなりません。


ただし、日本の民法上は「母子関係は分娩(ぶんべん)の事実によって発生する」としており(1962年の最高裁判決)、そのため「生まれてきた赤ちゃんを実子とする届け出を受理しない」のです(2007年の最高裁判決)。この実子と認めないという判決は、タレントの向井亜紀さん・高田延彦さん夫婦が代理母出産で産まれた双子の子供たちを実子とするために戦った裁判で出されました。


戸籍上の問題に加えて、医療機関が倫理的な観点に立って反対しているという事情もあります。『日本産科婦人科学会』では2003年(平成15年)4月に

代理懐胎の実施は認められない。対価の授受の有無を問わず、本会会員が代理懐胎を望むもののために生殖補助医療を実施したり、その実施に関与してはならない。また代理懐胎の斡旋(あっせん)を行ってはならない

と、代理母出産に対する見解を公表しています。その理由として、

1)生まれてくる子の福祉を最優先するべきである

2)代理懐胎は身体的危険性・精神的負担を伴う

3)家族関係を複雑にする

4)代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない


⇒データ引用元:

『社団法人 日本産科婦人科学会』「代理懐胎に関する見解」

http://www.jsog.or.jp/about_us/view/html/kaikoku/H15_4.html

と4点を挙げているのです。


2008年4月には、日本学術会議「生殖補助医療の在り方検討委員会」が厚生労働大臣・法務大臣に、代理母出産を「原則禁止とすべき」「公的運営機関の厳重管理下での試行的実施は可」※との報告書を提出しています。


これらの禁止表明以降、代理母出産が一般に認知されるに従って世論に変化が起こっているのも確かです。


世論の動向は立法府にも影響を与えており、2016年には、自民党の法務部会と厚生労働部会の合同会議で、第三者の卵子や精子を用いる不妊治療で子供を産んだ際の親子関係を明確にする「民法特例法案」を了承しています。


とはいえ、法的には全く整備されておらず、医療機関による反対があるので事実上「代理母出産はできない」というのが日本の現状なのです。

※『日本学術会議』「代理懐胎を中心とする生殖補助医療の課題-社会的合意に向けて-」

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t56-1.pdf

■「代理母出産」は外国で行う そのためリスクが高い!

日本ではできませんので、もし代理母出産を望むのであれば「外国で行う」ことになります。詳しく調べていただければ分かりますが、代理母出産を仲介する業者はたくさんあります。


代理母出産を希望する人は、このような仲介業者に代理母出産ビジネスを行っている医療機関への仲介を依頼するか、自身で代理母出産が可能な国に行き、直接医療機関へ依頼することになります。


問題はやはり「信用できるか」「治療費は幾らか」「赤ちゃんが流産するリスク」「産まれてきた赤ちゃんを日本へ連れて帰ることは可能か」といった点です。


実際に「お金は取られたが赤ちゃんは流産した」「赤ちゃんを日本へと出国させることができなかった」「報酬について後でもめた」などのトラブルが少なくないのです。



代理母出産は、挙児を希望する夫婦にとってはワラにもすがる気持ちで決断する手段でしょう。しかし、日本では原則できませんし、種々のリスクがあることも知っておくべきなのではないでしょうか。


(高橋モータース@dcp)