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緊張すると手が震えるのはどうして?改善することはできる?

2018.07.02

緊張すると手が震えるのはどうして?改善することはできる?


大事なテストや会議の日……。緊張して、「手が震えてしまった」ことはありませんか?このとき、全身がブルブルと震えるのではなく、なぜ「手」だけが震えてしまうのでしょうか。今回は、「緊張すると手が震える理由」を解説します。

記事監修



今野裕之先生


精神科、心療内科医。日本大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、日本大学医学部附属板橋病院などを経て、現在は美咲クリニック、新宿溝口クリニック勤務(非常勤)。また、2016年よりブレインケアクリニック院長、2018年より日本ブレインケア・認知症予防研究所所長を勤める。

医師+(いしぷらす)所属。


▼ブレインケアクリニック院長ブログ

http://brain-care.jp/blog/

■緊張時に手が震える原因は?

手など、体の一部分がひどく震えてしまう病気として「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」が挙げられます。


症状としては、ペンや箸など何かを持っている手がなぜか震える、頭が細かく震える、声が震える、といったことが起こります。こうした震えは緊張したり、過度のストレスがかかったりしたときにひどくなる傾向があり、特に手の震えや声の震えがひどくなります。


本態性振戦の「本態性」とは「原因が分からない」という意味の言葉で、「振戦」は「震える」という意味です。震えが起こる原因はまだ解明されていませんが、だいたい以下のように考えられています。筋肉を動かそうとする時、筋肉細胞の一つひとつが収縮と伸展を素早く繰り返して細かく震えています。しかし、膨大な数の細胞がまちまちの速さで震えているために、筋肉全体としては震えていないように見えています。しかし、交感神経が過剰に興奮すると、一つひとつの筋肉細胞の収縮と伸展のリズムが揃い、振動の幅が過剰に大きくなって震えが自覚されるようになるということです。


本態性振戦は命にかかわるような重篤な病気ではありません。震えによって日常生活に影響が出ていない限りは、そこまで気にする必要はないでしょう。


中高年に多くみられますが、 若い人に起きることもあります。震え方の特徴としては動作をしている時や特定の姿勢をとった時に出やすく、文字がうまく書けなくなる、声が震えるといった訴えがみられることもあります。一方、震え以外の症状はなく、通常はほとんど進行しません。


本人が震えを気にしなければ積極的に治療する必要はありません。しかし、症状を改善したいという場合は、おもにβ遮断薬という高血圧や狭心症などの治療に使用される薬を使って、症状を抑えたり軽くしたりすることができます。ただし、喘息のある方には使用できません。また、心臓病のある方も医師に相談してお使いください。副作用として比較的多いのは心拍が遅くなる徐脈です。気分が悪くなったり、めまいや立ちくらみが起こった時は薬の使用をやめて医師にそのことを必ず伝えてください。


もちろん、緊張を減らすことで震えが改善することもあります。緊張しないように深呼吸をしたり、何かを発表するときは入念に準備をして自信を持つなど、少しでも緊張を減らす工夫をするといいでしょう。

■社交不安障害が原因の可能性は?

手の震え以外に、顔が赤くなったり、動悸、めまい、多汗などの症状も出ている場合は、「社交不安障害」の可能性があります。


社交不安障害は、たとえば「あがり症」や「対人恐怖症」など、コミュニケーションが困難になる疾患の総称です。その場合、人前で話すなど緊張する場面で手がひどく震えたり、声が震えたりしてしまいます。


こうした症状が起こるのは、緊張によってアドレナリンなどのホルモンが過剰に分泌されることが原因とされています。過剰に分泌されたホルモンが交感神経に強く作用し、手が震えたり動悸を起こしたりしてしまうのです。


社交不安障害の治療方法として一般的な方法が、抗不安薬を用いた薬物療法です。用いられる薬を大きく分けると、作用する時間によって「緊張する場面でのみ症状を抑える薬」と「一日中効果がある薬」の二種類があります。たとえば、普通に日常生活は送れるが、たまにある人前で話す機会を乗り切りたいのなら前者、社交不安障害の症状によって日常生活を送ることも難しいという人は後者となります。


抗不安薬の副作用としては、眠くなる、ぼんやりする、体に力が入りにくくなる、ふらつくといったものがありますので、このような症状を強く感じた場合は医師に相談してください。


ほかにも、薬を用いずに普段の生活を見直すことで改善を促すケア方法があります。例えば、認知行動療法という心理療法を実践すると、不安を感じやすくなる考え方の癖を修正することができます。また、食事の偏りによって栄養の過不足があったり、血糖値の乱高下が激しくなると不安や緊張感が出やすくなりますので、食事の見直しも有効なケースがあります。その人がどんな症状を抱えているのかによって治療のアプローチも大きく変わりますから、社交不安障害が疑われる場合は、まずは専門医に相談することが大切です。



このように、緊張するとひどく手が震えてしまうのは、本態性振戦、または社交不安障害という可能性があります。また、緊張していないのにひどく震える場合はパーキンソン病、甲状腺機能亢進症などの別の病気も考えられるので、気になる場合は医師に相談してみるといいでしょう。


(中田ボンベ@dcp)