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「尿素配合」コスメの落とし穴と、有効な使い方

2018.07.06

「尿素配合」コスメの落とし穴と、有効な使い方


「尿素」という成分名は、皆さんも普段からよく耳にすることがあるのではないでしょうか? 特にハンドクリームやボディーローションなどのパッケージに「尿素配合」と表記されているのを見かけますよね。


今回は、そんな化粧品成分としての尿素について、

「そもそもどんな働きがあるの?」

「メリットやデメリットは?」

「ひじやかかとに使うのは正解?」

「常用はしないほうがいいってホント?」etc…

成分の特徴から使い方の注意点まで含めてお話ししていきたいと思います。

そもそも尿素とはどんな成分?

■尿素の「尿」は...

尿素はその名前からもわかる通り「尿」に含まれる成分で、もともと尿から発見されたという歴史があります。別名で「カルバミド」「ユリア」「ウレア」とも呼ばれますが、この英語名「urea」は、「urine=尿」がその名の由来です。


生成方法は、尿から濃縮分離するという方法もありますが、現在では化学的に合成されることが大半のようです。無色~白色の結晶または結晶性の粉末で、無臭であり、冷涼な塩味がする、とされています。


尿に含まれる生体成分のひとつであるだけではなく、皮膚の角層でもNMF(天然保湿因子)として働いているほか、汗にも微量が含まれています。


■医薬品としても活躍!

下の項で成分の働きについては詳しく見ていきますが、化粧品としてだけでなく医薬用外用薬の「尿素軟こう」としても幅広く使われています。特に老人性乾皮症、魚鱗肌、掌蹠角化症、進行性指掌角皮症、アトピー性皮膚炎などへの適応性が評価されています。


■大きくふたつの働きがある

尿素には大別して「保湿する作用」と「肌を軟化する作用」があります。


  • 「保湿する作用」

    上でもお話しした通りNMF(天然保湿因子)として働いているだけのことはあって、尿素には保湿成分としての働きがあります。水となじみやすく、水分を吸着・保持してくれる、というのが尿素の大きな特徴のひとつです。

  • 「肌を軟化する作用」

    また、もうひとつの特徴として角質軟化作用があります。これは分かりやすく言うと、尿素が角層内のケラチンというタンパク質を溶かすことで、硬くなっていた角質をやわらかくする、という原理によるものです。乾燥した角層自体がやわらかくなったり、ターンオーバーが早まり新たな表皮が表面に顔を出すことになったりし、「肌がやわらかく、きめ細やかになった使用感」を得ることができます。


ちなみにこの軟化作用の活用例として、化学の実験でも特定の目的のためにタンパク質を溶解させる際に尿素を用いることがあるのだとか。

使用するのに適した肌は?適さない肌は?

■荒れて、硬くゴワゴワした肌には有効!

優れた「保湿作用」があることはもちろんメリット。そして、硬く折り重なった角層が一気にボロッと剥(は)がれ落ちることを防ぐという目的では、「軟化作用」が効果を発揮します。ケラチンの結合を切って角質をやわらかくすることにより状態が整っていき、正常な肌に戻ることが期待できるのです。


■ひじやかかとの角質肥厚解消にも有効!

「軟化作用」は角質肥厚で分厚くカチカチになったかかとなどにも有効です。ターンオーバーが遅れた表皮に対して、余分な角質の退場を促すことで状態の改善に導いてくれるという効果です。


■使い続けるのは要注意!

一方で、正常な状態の肌に対して使うことは危険が伴います。正常な状態なのにターンオーバーをさらに早めてしまうと、まだNMF(天然保湿因子)を保持している角層が剥がれてしまったり、未成熟な表皮の部分が角化してしまったりして、肌本来のバリア機能が低下してしまう恐れがあるからです。


また、角層がどんどん無理に排出されてしまうことで、身体が「もっと角層を作らなくては!」と感じ、結果として角層自体を厚く硬くしてしまうという弊害も指摘されています。


これらの理由からも、昨今のスキンケア業界では「角層をむやみに取り除かない」というのが定説になりつつあるようです。つまり、最初は荒れた状態の肌に尿素成分を使い始めたとしても、状態が改善されてからも使い続けることは避けたほうがよいと言えそうです。


■使う箇所にも要注意!

これは当然と言えば当然のことですが、炎症などを起こしていたり、乾燥していて敏感になっている肌への使用には注意が必要です。同様に、顔や手の甲など皮膚の薄い部分への使用もリスクがあると考えたほうがよいでしょう。


「尿素は医薬品にも使われているくらいだから、どこに使っても平気だろう」というのは、大きな誤解なのでご注意を!

まとめ!

ここまで見てきた通り、「尿素」という成分にもメリット・デメリットの両方があります。


大きな特徴としては「正常な状態での使用にはあまり適さない」ということ。そういう意味では、冒頭で挙げた「常用はしないほうがいいってホント?」という問いに対する答えとしては、基本的に「YES」と認識しても問題なさそうです。


ここでもうひとつ気を付けなくてはいけないのが、「正常な状態の肌に使ったとしても<肌が柔らかくなる使用感>は得られてしまう」ということ。


化粧品はそもそも人体に劇的な変化を起こしてはいけないものなので、改悪に向かっているようにはなかなか感じられません。そのため、「なんとなく今よりさらに良くなっていきそう!」という勘違いをしてしまい、正常な肌にも使用し続けてしまう恐れがあります。そうすることでトラブルにつながってしまう可能性があることも、しっかり覚えておくようにしましょう。



日頃なんとなく認識していた尿素のイメージとは異なる点もあったのではないでしょうか? これらの特徴を正しく理解して、日々の化粧品選びに生かしていきましょう!

参考文献

『化粧品成分用語事典2012』中央書院

『新しい皮膚科学 第2版』清水宏 著 中山書店

(執筆・監修 高橋信喜/爪肌専門学識委員会 爪肌育成マエストロ)