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年を取ると「脂っこいものが苦手になる」原因って?

2018.07.13

年を取ると「脂っこいものが苦手になる」原因って?


年を取ると「サシの入った肉より赤味の肉」「マグロのトロよりも白身の魚」というふうに食の好みが変わる人が多いのではないでしょうか? 「若い頃は脂っこいものが平気だったのに……」と嘆く人もいらっしゃるかもしれませんね。これは、体の変化が原因かもしれません。今回は「加齢で脂っこいものが苦手になる仕組み」についてご紹介します。

記事監修



工藤孝文 先生


糖尿病内科、ダイエット外来、漢方治療、女性内科 医師。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。2017年よりスマホ診療を導入し全国規模での診療も行っている。

医師+(いしぷらす)所属。


・工藤内科 クリニックホームページ

http://www.kudonaika.com/

・工藤孝文先生のスマホ通院できるダイエット外来

https://ameblo.jp/takafumikudo

■「脂肪」の分解には時間がかかるのです

若い頃は「唐揚げ」「トンカツ」などの脂っこい食事でもどんどん食べられますし、また好きな人が多いでしょう。このような脂っこい食物には「脂肪」が多く含まれています。


実は食物に含まれる脂肪は、ほかの栄養素に比べて消化するのに時間がかかるのです。脂肪の消化過程を見てみましょう。

1.十二指腸で排出される「胆汁」で乳化する

2.膵臓(すいぞう)から分泌されるリパーゼが脂肪を「脂肪酸」「モノグリセリド」「グリセロール」に分解

3.グリセロール(水に溶けやすい)は小腸で吸収

4.脂肪酸とモノグリセリドは胆汁酸(胆汁の成分です)によってさらに乳化

5.乳化した脂肪酸とモノグリセリドを腸管から吸収

6.吸収された乳化物とグリセロールはさらにタンパク質と結合

(結合物をカイロミクロン(あるいはキロミクロン)といいます)

7.カイロミクロンはリンパ管へ入り、リンパ系の流れに乗り全身を巡る

8.最終的に肝臓に運ばれ吸収される

胆汁はもともと肝臓でつくられ、いったん胆嚢(たんのう)で貯蔵された後、十二指腸から排出されるようになっています。「乳化」とは、普通なら混じり合わない「水」と「油」を混ぜ合わせて分離しないようにする働きを指します。


身近なところでは「洗剤」が良い例です。油汚れは水をはじいてしまい、水だけでは容易に落とすことができませんね。しかし、洗剤は油の周囲を取り囲んで油と水の境界面を覆ってしまい、水の中に油が混ざってしまったような状態をつくることができるのです。この働きによって、油汚れを水で流すことができるようになります。


胆汁が行う「乳化」も同様の働きで、水をはじくことなく細かな粒状にして、消化酵素リパーゼがうまく機能するようにするのです。ただし上記のとおり、リパーゼが分解したものをさらに乳化しないと腸管からは吸収できません。


このように乳化作業やリンパ管を巡るなどの手間がかかるため、脂肪の消化吸収には時間がかかります。脂肪分を多く含む食事を取ると「なんだか腹にもたれる感じ」がするのはそのためなのです。

■なぜ年を取ると脂っこいものが苦手になる?

年を取ると脂っこいものが苦手になる主な理由は、加齢によって上記のような面倒な消化吸収の過程に体が耐えられなくなっていくためと考えられます。具体的には消化器官の機能が衰え、消化液の分泌が少なくなるためです。


肝臓でつくられる胆汁が減ってくると乳化が十分にできませんし、リパーゼの分泌が減ると脂肪を脂肪酸などに分解しにくくなります。また、十二指腸にたどりつくまでに歯や胃で(物理的に)十分に細かくなっていないと、そもそも胆汁やリパーゼをうまく混ぜ合わせられません。歯でよく噛むこと、胃の盛んな蠕動(ぜんどう)運動によって、食べたものをペースト状にすることも重要なのです。年とともにこのような働きも徐々に衰えていきます。


脂肪の消化吸収はほかの栄養素と比べて面倒な分、加齢とともに衰えやすいともいえるのです。脂肪の消化吸収が進まず「腹にもたれた感じ」がひどくなれば、やはり人はその食物を避けるようになります。



特に脂肪の消化吸収には手間がかかるので、年を取ると脂っこいものが苦手になると考えられるのです。唐揚げやトンカツなどを食べても平気!というのは若者の特権なのかもしれませんね。


(高橋モータース@dcp)