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体は血管とともに老いる!? 加齢と循環器の関係

2018.07.12

体は血管とともに老いる!? 加齢と循環器の関係


「体は血管と共に老いる」という言葉があります。この言葉を証明するかのように、日本人の死因の第2位は「心疾患」で、第4位は「脳血管疾患」です。加齢とともに、わたしたちは「循環器系をいたわること」が大事なのです。今回は「老いと循環器の関係」を解説します。

記事監修



田嶋美裕 先生


循環器内科医。東京大学医学部卒業、東京大学付属病院勤務。狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患のほか、高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病全般の治療に携わる。

女医+(じょいぷらす)所属。

■「循環器系の疾患」は命に関わる

「循環器系」とは、心臓、全身に張り巡らされた血管、血管を流れる血液などを指します。心臓は1日に約10万回も収縮・拡張を繰り返し、血液を全身に届けています。血液は酸素・栄養を隅々の組織にまで届け、二酸化炭素を受け取って戻る役割をしています。心臓・血管・血液、循環器系が健康でなければ私たちは生きていけません。心臓の鼓動はまさに生きていることの証しです。


日本人の死因の10位までを見てみましょう。

第1位 がん(悪性新生物)……37万2,986人(28.5%)

第2位 心疾患……19万8,006人(15.1%)

第3位 肺炎……11万9,300人(9.1%)

第4位 脳血管疾患……10万9,320人(8.4%)

第5位 老衰……9万2,806人(7.1%)

第6位 不慮の事故……3万8,306人(2.9%)

第7位 腎不全……2万4,612人(1.9%)

第8位 自殺……2万1,017人(1.6%)

第9位 大動脈瘤(りゅう)……1万8,145人(1.4%)

第10位 肝疾患……1万5,773人(1.2%)


⇒データ出典:『厚生労働省』「平成28年(2018)人口動態統計」「第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei16/dl/10_h6.pdf

「心疾患」「脳血管疾患」「大動脈瘤」と三つも循環器系の疾患がランクインしています。このことからも循環器系には十分な注意が必要なことが分かりますね。

■循環器系はどのように老いていく?

では循環器系の老化ではどのような変化が起こるのでしょうか?


●「心臓」の老化による変化

心臓は分厚くタフな筋肉「心筋」でできていますが、心臓に負担がかかり続けると、心臓の壁が厚くなったり(心臓肥大)、心臓が拡張しにくくなったり(拡張障害)することがあります。


また年を取ると不整脈が起こりやすくなります。不整脈には、頻脈(ひんみゃく:脈が速くなること)、徐脈(脈が遅くなること)、また一定リズムで脈が刻めなくなるものがあります。


●「血管」の老化による変化

・動脈

血管の弾力性が失われて硬くなるため、血圧が上がりやすくなります。


・静脈

静脈にこぶができる(静脈瘤)、静脈内部にある弁が閉鎖しにくくなる(静脈弁の閉鎖不全)ことがあります。


●「血液」の老化による変化

血球は骨髄でつくられますが、老化によって骨髄で産生できる血球の量が減ります。また腎臓から分泌されるエリスロポエチンという物質により赤血球の産生が促されますが、老化により腎臓の機能が低下すると、エリスロポエチンの分泌も減ってしまいます。そのため高齢者になると貧血になりやすくなるのです。


また、沖縄科学技術大学院大学と京都大学との共同研究で、高齢者の血液では主に抗酸化物質、筋力に関わる化学物質が減少していることが分かっています。

⇒データ出典:

『沖縄科学技術大学院大学』「健康長寿の秘密を科学的に解明-アンチエイジングの鍵は抗酸化物質を多く含む食物の摂取と適度な運動-」

https://www.oist.jp/sites/default/files/img/OIST_Press%20Release_Japanese_Web_final.pdf

心臓・血管が老化してくると、冠状動脈(心臓に栄養を送る血管)が詰まってしまう「心筋梗塞」、心臓の弁に障害が起きて血液が逆流する「心臓弁膜症」、動脈硬化によって冠動脈が狭くなり心臓に十分な血液を送れなくなる「狭心症」などを発症しやすくなります。また血管の老化で動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞・脳出血)を発症する可能性が高まります。


このような疾患はいずれも死に直結する可能性のあるものです。加齢とともに循環器系は衰えますが、できるだけ衰えさせないこと、できるだけ循環器系の機能を健全に保つことが求められます。

■女性は40代から「高血圧」に注意

また注意すべき点に「高血圧」があります。年齢とともに血圧は上がりやすくなりますが、女性は若いうちは高血圧とはあまり縁がありません。これは女性ホルモン「エストロゲン」の働きによると考えられています。実はエストロゲンには、血管をしなやかに保つ働きがあるのです。


しかし、エストロゲンの分泌が少なくなる40代になると高血圧の女性は約3倍に増えるという調査もあり、閉経を迎えてエストロゲンがほとんど分泌されなくなると女性も安心してはいられません。女性は更年期以降は高血圧に注意が必要なのです。

■循環器系をいたわるためには?

循環器系をいたわるためには以下のような点が重要です。

  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症を予防すること

  • 塩分の取りすぎに注意し、薄味を心がけること

  • 食べ過ぎに注意し、肥満を避けること

  • 喫煙をしないこと

  • 1回30分以上の有酸素運動を定期的に行い、運動不足を避けること

  • 十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送ること

  • ストレスをためないこと、ストレスを避けること

これらは、循環器系疾患を避けることにもつながる重要なポイントです。また「自分に必要な睡眠量を十分に確保する」「必要な水分・ビタミン類・ミネラルを摂取する」「塩分の摂取量を抑える」といった点にも留意してください。



心臓の拍動は生きている証拠ですが、だからこそ心臓、循環器系に何か障害が起こると致命的なことになります。上でご紹介した循環器系をいたわるためのポイントに気を付けて毎日を送るようにしてください。


(高橋モータース@dcp)