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「うつ」は女性に多いって本当?その理由とは?

2018.07.14

「うつ」は女性に多いって本当?その理由とは?


最近では「抑うつ的な気分」に悩まされている人が増えており、「うつ病」に罹患(りかん)する人も増加傾向にあるそう。なかでも、女性のほうがうつ病にかかりやすいといわれます。これは本当なのでしょうか?その理由とは……?今回は「うつ病に女性が多い」といわれる理由についてです。

記事監修



福田敬子 先生


精神科医。都内メンタルクリニック勤務。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。カリフォルニア大学バークレー校留学、金融機関勤務ののち、山口大学医学部卒業。東京都立松沢病院、日本医科大学付属病院精神神経科などを経て、現職。

女医+(じょいぷらす)所属。

■「うつ病に女性が多い」は本当?

「うつ」といわれる精神疾患は、精神医学の診断では「うつ病/大うつ病性障害」(Major Depressive Disorder)という名称になります※1。これは気分障害の一種で、「双極性障害(いわゆる「躁うつ病」)」や「気分変調症」などと同じく、健康的な社会生活を営むのを邪魔する可能性の高い精神疾患(mental disorder)です。


厚生労働省の資料(東京大学医学部・川上憲人先生の2006年の研究を基礎資料とする)によれば、男性・女性を比較すると、

●全てのうつエピソードの「生涯有病率」

男性:3.7%

女性:9.1%

生涯有病率とは

※生涯有病率とは「生涯に一度でもその疾患にかかる人の割合」です。


●全てのうつエピソードの「12カ月有病率」

男性:1.0%

女性:3.0%

※12カ月有病率とは「12カ月間にその疾患に罹る人の割合」です。

となっています。生涯有病率・12カ月有病率の両方で「女性のほうがうつ病を経験することが多い」のは確かで、その割合は男性の「約2.5-3倍」にもなるのです。


生涯有病率は「生涯に一度でもその疾患にかかる人の割合」を意味しますから、「女性の約11人に1人はうつ病を経験する」ことになります。ですので「女性のほうがうつ病になりやすい」は本当であると考えてよいようです。

※1

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』によります。『ICD-10 精神および行動の障害』の分類によればF32「うつ病エピソード」、F33「反復性うつ病性障害」が該当。


⇒データ出典:

『厚生労働省』「自殺・うつ病等の現状と今後のメンタルヘルス対策 平成23年2月24日」p.24

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000032833.pdf

■なぜ女性のほうが「うつ病」になりやすいのか?

では、なぜ女性のほうがうつ病になりやすいのでしょうか?


明確な答えは実はありません。ただし、女性には「月経」「妊娠」「出産」「子育て」「閉経」「更年期障害」などのイベントがあり、男性に比べて心身ともにストレスのかかる経験が多いことは事実です。それらが抑うつ的な気分を増進するのではないか、という指摘があります。


一方で、そもそも専門医を受診するのは女性のほうが多いため統計上「女性のほうがうつ病にかかりやすく見える」という意見もあります。もしこの指摘が正しいのであれば、男性はうつ病に罹患しても専門医を受診しないで我慢することが多いわけです。


『DSM-5』によれば、

  • 症状

  • 経過

  • 治療反応性

  • 機能的転機

については男女で明確な差はない、とのことです。ただし、女性は男性に比べて「自殺を考える」危険性は高いものの、「自殺に至ること」は少ないとされています(上記『DSM-5』p.166)。



厚生労働省の資料などによれば、女性のほうがうつ病に罹患しやすいことは事実のようです。うつ病は、症状が進行すると社会生活を営むことが難しくなる厄介な精神障害のひとつ。もし抑うつ的な気分に悩まされるようになったら、まず親しい友人や近親者など、あなたのことを親身になって考えてくれる人に相談してみましょう。


(高橋モータース@dcp)