検索
体力が下がる季節に注意。夏に起きやすい食中毒の種類と症状

2018.07.18

体力が下がる季節に注意。夏に起きやすい食中毒の種類と症状


食中毒は年中起こるものですが、「細菌が原因の食中毒」は夏に増える傾向があります。1996年の夏に集団食中毒を起こし話題になったO157も、こうした「細菌」のひとつです。今回は「夏に起きやすい食中毒」として、食中毒の原因となる細菌の種類と、感染によって起こる症状などについてご紹介します。

記事監修



工藤孝文先生


糖尿病内科・ ダイエット外来 ・漢方治療・女性内科


福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。2017年よりスマホ診療を導入し全国規模での診療も行っている。

医師+(いしぷらす)所属。


▼工藤内科 クリニックホームページ

http://www.kudonaika.com/

▼工藤孝文先生のスマホ通院できるダイエット外来

https://ameblo.jp/takafumikudo

食中毒の原因となる細菌

昔から夏は食中毒が起きやすい季節だとされています。食中毒の主な原因には「ウイルス」「細菌」「寄生虫」「自然毒」「化学物質」がありますが、夏は細菌が原因の食中毒が増える時期です。これは、梅雨から夏にかけて気候が高温多湿になり、細菌が繁殖しやすくなるからだと考えられます。


食中毒を起こす主な細菌の特徴について、以下にまとめました。

●腸管出血性大腸菌(O157:オー157)

夏の食中毒で多いのは「腸管出血性大腸菌(以下「O157」)」によるものです。O157は普段はウシやブタなどの大腸におり、これらの糞便から水・食べ物が汚染されて感染します。また、感染した人からほかの人に感染することもあります(経口感染)。


O157は非常に強い感染力を持ち、体内に100個程度入っただけでも食中毒を起こします(ほかの細菌の場合、100万個以上入らなければ食中毒にはならないといわれます)。主な症状は腹痛・下痢(げり)・血便・発熱(一過性のことが多い)です。


O157は酸や低温に強い細菌です。生の肉や内臓(特にレバー)、調理してあっても加熱が十分でないものを食べたときに感染することがあります。一方で熱には弱く、75°Cで1分間加熱すれば死にます。厚みのあるハンバーグなどは火が通りにくいので、気を付けましょう。

●カンピロバクター

「カンピロバクター」は酸素が少しある環境を好む性質がある細菌です。通常の大気中や無酸素の状態では増殖できず、多くの動物や鳥の腸管内にすんでいます。カンピロバクター属17菌種6亜種3生物型(2005年現在)のうち、「カンピロバクター・ジェジュニ」と「カンピロバクター・コリ」が原因となることが多いのです。日本では、鶏肉を生や加熱が十分でない状態で食べたことによる食中毒が多く発生しています。


カンピロバクターは「O157」には及ばないものの強い感染力を持ち、体内に数百個程度入ると食中毒の症状を発症するといわれます。主な症状は腹痛・下痢・嘔吐(おうと)・発熱です。また、手足や顔面神経のまひ・呼吸困難を起こす「ギラン・バレー症候群」を合併することもあります。


カンピロバクターは熱に弱いので、75°Cで1分間以上加熱しましょう。ウシの生レバーを提供することが禁止された現在は、鶏肉による感染が目立っています。鮮度にかかわらず鶏肉を生で食べるのは避けましょう。

●サルモネラ

一般に「サルモネラ」と呼ばれる「サルモネラ属菌」は、家畜・家禽(かきん)の腸内のほか、河川や下水などにも広く生息しています。ウシ・ブタ・ニワトリなどの肉のほか、卵からの感染が知られています。


サルモネラ属菌のうち「サルモネラ・エンテリティデイス(SE)」は非常に感染力が強く、体内に数十個入っただけでも発症するとの報告があります(一般的なサルモネラの発症菌数は10万個程度といわれます)。主な症状は腹痛・下痢・発熱です。


幼児や高齢者、体力が落ちている人は、サルモネラに感染しやすいといわれます。また、サルモネラは乾燥に強く、卵の殻に付着していることがあります。賞味期限内の新鮮なもの以外、生卵を食べるのは避けます。熱には弱いので、75°Cで1分間加熱しましょう。

●黄色ブドウ球菌

「黄色ブドウ球菌」は「ブドウ球菌」の一種で、人間や動物の常在菌でもあります。健康な人の20-30%が黄色ブドウ球菌の保菌者だといわれています。黄色ブドウ球菌は食品に付着し、増殖するときに「エンテロトキシン」という毒素をつくり、これが食中毒の原因になります。エンテロトキシンは100°Cで30分加熱しても無毒化されない、強い毒です。


黄色ブドウ球菌は、調理する人の手から食品に付着するといわれています。特に手が荒れている人、傷があり化膿している人などは素手で食品を触るのは避けましょう。主な症状は腹痛・吐き気・嘔吐です。


黄色ブドウ球菌は、食品を餌にして増殖します。調理した食べ物を常温で放置するのは避け、すぐに食べないときは冷蔵庫に入れるようにしましょう。低温保存は有効だとされています。

●ウエルシュ菌

「ウエルシュ菌」は人間や動物の腸管・土壌・下水などに広く生息する細菌です。偏性嫌気性の細菌で、酸素がないところで増殖して芽胞をつくります。この芽胞は熱に強く、100°C、1-6時間の加熱にも耐えるとされます。汚染された食品と共に腸管に運ばれたウエルシュ菌が芽胞になる際に「エンテロトキシン」を形成し、食中毒を起こします。


ウエルシュ菌による食中毒はカレーやシチューなどの煮込み料理から起こるケースが多く、これは芽胞が加熱調理でも死なずに増殖するためと考えられます。主な症状は下痢・腹痛で、まれに嘔吐や発熱が見られます。


ウエルシュ菌の芽胞は熱に非常に強いのが特徴です。カレーなどの料理を冷まして作り置きするときに、常温でゆっくり冷ますと菌が増殖してしまいます。なるべく早く冷まして10°C以下で保存しましょう。



ひと口に「細菌による食中毒」といっても、原因菌によって発症の仕組みも症状も異なります。基本的な予防法としては、清潔に調理すること、食品を低温で保存すること、しっかり加熱することです。特に生肉を扱うときは手洗いだけでなく、調理器具を清潔にすることも忘れないようにしましょう。


(藤野晶@dcp)