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処方薬と市販薬のちがいは?薬の飲み方の疑問に薬剤師が答える!

2018.07.19

処方薬と市販薬のちがいは?薬の飲み方の疑問に薬剤師が答える!


風邪や腹痛、頭痛用などで市販の薬を常備していますが、飲むたびに、病院で処方される薬とはどう違うのか、服用期間や方法は適切なのかなど、疑問が浮かびます。そこで、大阪府薬剤師会理事で薬剤師の近藤直緒美さんに、薬のあれこれについて詳しく教えてもらいました。

取材協力・監修



近藤直緒美氏


薬剤師。大阪府薬剤師会理事。なのはな薬局本店、真上(まかみ)店、ケアプランセンター(ともに大阪府高槻市)を運営する有限会社スターシップ代表取締役。


なのはな薬局:

大阪府高槻市城北町1-4-18

https://www.nanohana-drug.jp/

■処方薬は医師による助言や指導がある

はじめに、市販薬と処方薬の違いについて、近藤さんはこう説明をします。


「市販薬は、薬局やドラッグストアで自分で選んで購入し、自己責任で説明書に記載されている用法と用量を守って服用をします。ひとつの薬にいろいろな成分が入った総合的な薬がほとんどです。


たとえば、頭痛薬なら半分近くは胃薬が混ざっているなど、合併症や副作用が起こらないように安全な成分含有(がんゆう)量でつくられています


一方、処方薬は、医師が患者さんに診察をしてから処方する薬です。医師は、患者さんの既往歴やアレルギーの有無、ほかの病気があるか、年齢や体質、副作用の可能性などを考慮したうえで、どの薬をどのくらいの量でどの程度の期間飲むとよいかなどを判断して処方し、患者さんは医師の助言や指導を守って服用します。


処方薬は、ひとつの薬がひとつの症状に対応するようにつくられているものがほとんどです。頭痛薬は頭痛に対しての薬であり、別に胃薬を処方し、患者さんは両方を飲みます。


どちらが効き目が高いかは、成分含有量によります。一般的に処方薬のほうが成分含有量が高い傾向にありますが、薬の種類はとても多く、一概には言えません。知りたい場合は、個々の薬を比較する必要があるでしょう。気になる場合は薬剤師に相談してみてください」

■処方薬が薬局で買える「スイッチOTC」

従来の処方薬が、薬局で購入できる一般用医薬品・要指導医薬品に転用されたタイプがあると聞きました。


「『スイッチOTC』と呼びます。よく知られている解熱鎮痛剤の『ロキソニンS』、胃腸薬の『ガスター10』、アレルギー専用鼻炎薬の『アレグラFX』などがそれにあたり、処方薬と一般薬は同じ薬になります。区別をするために、一部名称が違うだけです。


ただし、これらの『スイッチOTC』は、薬剤師が店頭で、患者さんの体調や併用して服用している薬をチェックしてから交付することが義務づけられています。ですから、薬剤師が店頭に常駐している時間にのみ購入が可能です」と近藤さん。


医療機関を受診する時間がない、仕事中に必要になったときなど、「スイッチOTC」を利用する方法も覚えておくと便利そうです。

■食後? 家族の薬を飲んでもいい? 水なしでは?

続いて、薬の飲み方に関する疑問を近藤さんに聞いてみました。


Q1.「食後」に服用する薬は、食欲がない場合でも何かを食べてから飲むべきなのでしょうか。


A1.薬の種類によります。胃を荒らす成分が含まれている薬は、食後に服用することが大切です。また、薬によっては飲み忘れを防止するという目的で、「食後」に服用するよう決められているものもあります。体調が悪くてまったく食欲がない場合、また食後に服用することができなかった場合などは、コップ1杯以上など多めの水で飲んでください。


Q2.病院で処方された薬は、同じ症状の家族が飲んでよいのでしょうか。


A2.症状が同じであっても、自分が処方された薬以外は飲んではいけません。薬は体重や年齢に応じて飲む量が決められていること、また、家族によって、アレルギーの有無が違います。


医薬品の中には、卵や牛乳の成分を微量に含む製剤があります。例えば、牛乳アレルギーの原因となる成分のカゼインというタンパク質は、錠剤を形成する添加物としても使われています。ですから、アレルギーがない親に処方された薬を牛乳アレルギーの子どもが飲むと、アレルギーの症状が出る可能性があります。


さらに、別の病気もある人のために処方された薬を違う人が飲むと効き目がない、また副作用が出るなどの危険性も想定されます。処方薬は自分だけのものと考えましょう。


Q3.錠剤やカプセルの薬は、水なしで飲んでも大丈夫でしょうか。


A3. 原則、薬は水で飲んで下さい。水と一緒に飲まなかったとき、薬が胃まで届かずに、食道にくっついてしまう場合があります。多くの薬の一粒には、体全体を巡る量が含まれています。それが食道でとどまってその場で溶け始めると、内臓への刺激が強すぎて潰瘍(かいよう。組織が深部まで損傷する状態)になる可能性があります。


ただ、現在では口腔内崩壊錠といって、水なしで口で溶かす製剤が多くあります。これらは、水で飲んでも大丈夫ですし、なしでも飲めます。


また、カプセルの表面はゼラチンでできていて内臓にくっつきやすいため、のどにはりつかないように、水で一気に流し込んでください。のどがつまった感覚があれば、すぐに水をたくさん飲みましょう。


Q4.市販薬は使用期日が記載されていますが、処方薬にはそれがありません。処方薬の使用期日はどのくらいなのでしょうか。


A4.医師は診察日の症状に応じた薬を処方します。ですから、5日分として処方された薬は原則その期間内に服用しましょう。個々の薬には1~3年の使用期限がありますが、常備薬として保存しておくものではないという意味で、期限は記載されていません。医師の処方の通りに服用しましょう。


Q5.「処方された抗生物質は、症状がよくなっても飲み続けるように」という情報をよく耳にします。本当でしょうか。


A5.そのとおりです。処方された用量を用法どおりに全部飲んでください。自己判断で飲むのをやめると、次に抗生物質を服用する機会に、効かなくなる可能性が高くなるからです。


たとえば、体内に1,000匹の菌がいて、抗生物質が950匹の菌を倒したとします。それで症状がおさまり、もう治ったと思って抗生物質を飲むのをやめた場合、残った50匹の菌はその後強くなり、耐性菌というものになります。そうすると、次の不調時に同じ抗生物質を飲んでも効かなくなるのです。


最近、抗生物質の乱用による耐性菌が世界的な問題となっています。抗生物質と耐性菌のいたちごっこになり、現在の抗生物質では効かない菌ができて大流行を引き起こすのではないかとまで言われています。決められた用法・用量を守ること、また、家に保存しておいて、自己判断で次回に使うといったことは避けて下さい。


Q6. 錠剤を砕いて飲んだり、カプセルから粉末を取り出して飲んだりしてもよいのでしょうか。


A6.いいえ。溶け方に影響をするので、避けてください。薬の効き目が強すぎたり、弱すぎたりし、ときには副作用が出る場合もあります。しかし、錠剤の真ん中に割線(かっせん)と呼ばれる割れ目がある場合は、その線で割って飲んでも薬の作用に問題はありません。線がない錠剤やカプセルは、割ってはいけません。


特別な指示がない限り、勝手にかみ砕いたり、カプセルを外したりして服用してはいけないため、飲みにくい場合は、医師や薬剤師に遠慮なく相談しましょう。


―これからは適切な服用法を心がけようと思います。ありがとうございました。


日ごろ、何も考えずに安易に服用していたことを反省しました。服用法によっては副作用が現れるだけではなく、新たな病気を引き起こしたり、以前より症状が重くなったりと、危険なことになる可能性もあるそうです。薬についての知識を改め、自分の服用法を振り返り、家族と確認し合ってみてはいかがでしょうか。


(取材・文 藤原 椋/ユンブル)