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「シリコン配合シャンプーは頭皮に悪い」って本当?

2018.07.19

「シリコン配合シャンプーは頭皮に悪い」って本当?


「シリコン配合シャンプーは頭皮に悪い」と、聞いたことはありませんか?頭皮のために「ノンシリコン」のシャンプーを選ぶようにしている、なんて方もいらっしゃるでしょう。しかし、果たしてこの話は本当なのでしょうか?今回は「シリコン配合シャンプー」についてです。

記事監修



矢加部文(やかべ・あや)先生


専門は形成外科、乳腺外科、美容外科、美容皮膚科。長崎大学医学部卒業後、長崎大学形成外科入局。長崎大学病院・長崎医療センター・福岡徳洲会病院で形成外科、ナグモクリニック福岡院勤務福岡大学形成外科 レーザー外来・美容医療担当、メディアージュクリニック勤務を経て、2016年形成外科・美容皮膚科 みやびクリニック 開院。


▼みやびクリニック

http://www.miyabiclinic.net/

■「シリコン配合シャンプー」って何?

「シリコンが配合されたシャンプーなんか使ってないよ!」と言う人がいらっしゃるかもしれませんね。


シャンプーのボトルを見ても成分表記に「シリコン」という単語はないでしょう。そもそもシャンプーに配合されているのは、半導体などに使われる「シリコン」ではありませんので、「シリコン配合シャンプー」という言い方がすでにおかしいのです(後述)。


この記事では、半導体のシリコンときちんと区別するため、シャンプーに使われているコーティング剤(後述)としての物質を「シリコーン」と記載します。


「シリコーン」の働きをよく理解するために、まずは「シャンプー」についてみてみましょう。シャンプーは「洗剤」や「せっけん」などと同じく「界面活性剤」が含まれています。


界面活性剤には、水と油といった普通なら混じらないものを混じり合った状態にする働きがあります。油分の周囲を取り囲んで水と油の境界をなくし、油分が水に混じった状態にするのです。


水に混じり合った状態になりますから、油脂分や汚れを水でざーっと流せるわけです。お皿についた油汚れは水で流すだけでは落ちないですが、洗剤を使うときれいに落とせるのはこのような仕組みによります。


せっけんで手を洗って汚れがきれいになるのも、シャンプーで髪の毛を洗ってきれいになるのも、基本はこの界面活性剤の特性によるのです。


界面活性剤の種類としては、ラウリル硫酸ナトリウム、または、ラウレス硫酸ナトリウムといった高級アルコール成分が有名です。洗浄力が非常に強く、泡立ちも良く、価格も安いといった利点がある反面洗浄力は台所洗剤と同じくらい強いため、頭皮や髪の毛にダメージも与えます。シャンプーには、界面活性剤によって汚れを落とすだけではなく、髪の毛の摩擦を減らすため、ダメージを抑えるためにコーティング用の物質(コーティング剤)が含まれています。

■「コーティング剤」が髪をきしませない!

界面活性剤の力が強すぎると、頭皮や毛髪の表面の脂分を余計に洗浄してしまいます。頭皮や毛髪の脂分はそのまま「潤い分」に当たりますので、これをシャンプーによって失うと、毛髪の摩擦が大きくなってきしみ、指どおりが悪くなるなど具合が悪いのです。せっけんで髪の毛を洗ったことのある人は分かるでしょうが、洗った後は毛髪がきしみますね。しかし、シャンプーの場合にはしっとりと指どおりが良くなります。これがシャンプーに含まれているコーティング剤の力です。


コーティング剤として使われる物質がいわゆる「シリコーン」です。シリコーンは、髪の毛の毛小皮(キューティクル)に吸着する性質があり、主に髪をすすいでいるときの摩擦を軽減し、髪の感触・仕上がり感を良くする働きをします。

  • 髪が濡れているとき

    ⇒髪の表面にとどまって摩擦抵抗を下げる

  • 乾いた後

    ⇒髪の表面を滑らかにしてブラシや髪同士の摩擦を抑える

    ⇒髪の流れをそろえやすく、まとまりやすくする

という効果が得られるのです。


気を付けていただきたいのは、シリコーンは皆さんがイメージしやすい「半導体などに使われるシリコンとは違う」という点です。半導体に使われるシリコンはケイ素(元素記号Si 原子番号14)で、電子工学分野で広く使われる物質です。シャンプーなどに使われているコーティング剤のシリコーンは、酸素とケイ素と有機基からなる有機化合物を意味するシリコケトン (silicoketone) が語源の化学的に合成された樹脂です。体には浸透しないので、シャンプーやリンスといったヘアケア製品だけでなく、ファンデーションなどの化粧品や日焼け止めなど体につける身近なものに配合されています。


枝毛防止成分として、また仕上がりのサラサラ感が好評であったため1980年代後半からヘアケア製品に多く使われるようになりました。ジメチルシリコーン(ジメチルポリシロキサン)、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどが、化粧品やシャンプーで使われており、成分表示では、

  • ジメチコン

  • シロキサン

といった単語を含む名称で記載されています。

■シリコーン配合は問題あり!? いいえ眉唾です

上記のような良い効果があるシリコーンですが、最近では「シリコーンが頭皮に良くない」といった意見が聞かれるようになりました。

  • 1.シリコーンが毛穴を詰まらせる

  • 2.シリコーン成分が毛髪や頭皮にダメージを与える

といった件ですが、1についてはシャンプーに配合されているシリコーンは低分子シリコーンですし(非常に細かな粒子)、界面活性剤の作用からも毛穴をふさいでそのままになってしまうなんてことは考えられません。余分なシリコーンはシャンプーとともにすすぎ時に流されますしね。


実際、たとえばヘアケア製品を開発・販売している『花王』ではサイト上で、

花王では、シリコーンを配合している花王のヘアケア製品について、通常の使用方法で、地肌の毛穴のつまりを起こすことはなく、成分の浸透を妨げることがないことを確認しています

(記事末のURLより引用)


と明言しています。また『資生堂』でも、「1」「2」についてサイト上で、

シャンプーに配合しているシリコーンは、非常に細かい粒子のため、毛髪に過剰に付着することはありません。また、コンディショナーの成分として毛髪に残ったシリコーンも、次の洗髪時には洗い流されるため、毛髪に蓄積したり、毛穴に詰まることもありません。よって、シリコーンが地肌や毛髪にダメージを与えるという事実はありません

と明らかにしています。

⇒参考文献・引用元:

・『花王株式会社』「ヘアケア製品の選び方」

http://www.kao.com/jp/haircare/care_02.html

・『株式会社資生堂』「シリコーンについて」

http://www.shiseidogroup.jp/rd/topic/silicone.html


シャンプーに含まれるシリコーン成分が毛穴を詰まらせたり、髪の毛を痛めるといった主張がされますが、これはどうも眉唾のようです。ノンシリコーンといわれるシリコーンを配合していないシャンプーと、シリコーン配合のシャンプーを科学的に比較したデータは残念ながら見当たりませんでした。その効果が科学的に認められるものであれば信用しても良いのですが……。


けっきょくのところ、シリコーンシャンプーとノンシリコーンシャンプーは「お好みで選ぶ」のがいいのかもしれませんね。


(高橋モータース@dcp)