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ひどい腹痛、倦怠感…。アラフォーから増える「胆石症」ってどんな病気?

2018.07.21

ひどい腹痛、倦怠感…。アラフォーから増える「胆石症」ってどんな病気?


胆石症は、消化を助ける「胆汁」の成分が体内で石のように固まる病態のこと。実は女性のほうが胆石ができやすいと言われています。今回は「胆石症」について解説します。

記事監修



宮崎郁子 先生


消化器内科医。東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学病院 消化器内科、東京医科大学病院 内視鏡センター助教、牧野記念病院 内科を経て、2015年より東京国際クリニック/医科 副院長を務める。

■「胆石症」ってこんな病気

「胆汁」は肝臓でつくられ、胆嚢(たんのう)にいったん蓄えられて濃縮されます。この胆汁の成分が固まって石のようになることがあります。これが「胆石」です。


胆石は、保管場所である「胆嚢」、胆汁が排出される道である「胆管」、肝臓の中「肝内」にできることがあります。

  • 胆嚢結石症

    ……胆嚢に胆石ができる

  • 総胆管結石症

    ……総胆管に胆石ができる

  • 肝内結石症

    ……肝臓内に胆石ができる

この中で最も多いのは胆嚢内に胆石ができるケースで、そのため胆石症といえば普通は「胆嚢結石症」を指します。


できる胆石はその成分によって分けられるのですが、現在では約7割が「コレステロール胆石」といわれています。コレステロール胆石は、胆汁のコレステロール濃度が高いときや胆嚢の収縮する機能が低下したときにできやすいと考えられています。現代の食生活が欧米化し、脂質の過剰摂取が増えたことがコレステロール胆石を増やしているのではないかと推測されています。


また、戦前は「ビリルビンカルシウム石」が多かったことが知られています。ビリルビンカルシウム石は細菌の感染が関連します。細菌は胆汁の成分であるビリルビンをカルシウム塩に変え、これがだんだん大きくなってビリルビンカルシウム石になるのです。

■胆石症の症状 ひどい腹痛がある?

胆石ができてもすぐに体に悪影響が出るわけではありません。胆石ができた人の2/3は無症状で、残りの1/3には以下のような症状が現れることがあります。

  • みぞおちから右の上腹部の痛み・悪心(おしん)

  • 吐き気、嘔吐(おうと)

  • 腹部の膨満感(膨れた感じ)

  • 倦怠(けんたい)感

このような胆石発作は、食後、特に脂質の多い食事を取った後に起こることが多く、時に身をよじるようなひどい腹痛になることがあります。痛む場所は、「みぞおちから右の上腹部」だけでなく、背中・右肩に及ぶこともあります。痛みの程度は、上記のように我慢できないほどではなく、ずんと重く感じる程度で済むこともあります。また2-3時間ですっと治まることがあるのも胆石発作の特徴といえます。


しかし、胆石症で気を付けなければいけないのは、悪化・進行し、ひどい炎症や黄疸(おうだん)につながるケースがあることです。


胆石発作を起こしているときに、胆嚢内で細菌が増殖し炎症を広げると「胆嚢炎」になることがあります。また、胆石が胆管をふさいで肝臓から胆汁が十分に排出されないと、血中の胆汁濃度が上がって「黄疸」が現れたり、「胆管炎」を引き起こしたりします。胆管炎は重篤になると敗血症やショック、意識障害を起こし、緊急に治療を要する怖い病気なのです。

■胆石症の治療

胆石があっても2/3の人には自覚症状はなく、痛みのない人は基本的には手術を受ける必要はありません。けれども、胆石と胆嚢がんには密接な関係があるとする調査結果もあり、場合によっては危険性について医師と相談し対応を検討する必要があります。

  • 胆石による痛みがある場合

  • 胆石が大きい場合

  • 胆石の数が多い場合

  • 胆石と診断されてからの期間が長い場合

には、胆嚢がんに進行する可能性があるといわれるのです。しかし、一方では胆石のない人が胆嚢がんになる頻度と統計上変わらないという調査結果も多くみられます。ですので、胆石が見つかった場合には医師と相談し、経過をみていく必要があります。治療は、胆石を取り出す「外科的手術」のほかに「内服薬」も使われます。


内服薬は、胆石を溶かして小さくするために飲みます。コレステロール胆石の場合には「ウルソデオキシコール酸」の内服が主に用いられます。これはいわば石鹸のようなもので、体内にもある胆汁酸の成分です。15㎜未満の小さなものや、浮くような小さく軽いものは溶けやすいと考えられています。薬の効果評価には6~12カ月が必要とされていますので、少なくともその期間は薬を飲み続ける必要があります。


また、実際におなかにメスを入れて胆石を取り出す手術を行うのではなく、超音波をおなかに当てて、外から胆石を砕いてしまうという方法(「体外衝撃波結石破砕療法」)もあります。胆嚢の機能が正常で、石灰化のない直径2-3cm、3個までの胆石であればこの破砕療法が検討できます。治療に時間がかかるのがネックですが、外科手術がどうしても嫌なら、医師にこの方法が使えるか相談してみましょう。

■女性に多い理由は?

胆石症は女性に多いといわれています。コレステロール胆石のできやすい人として以下の「5F」が知られています。

  • Forty

    ……40歳代

  • Female

    ……女性

  • Fatty

    ……肥満

  • Fair

    ……白人

  • Fecund

    ……多産婦

「40歳代」「女性」「肥満傾向にある」「多産婦」に該当する皆さんは胆石症に要注意なのです。


胆石症にかかるのはなぜ女性が多いのか?についてはまだよく分かっていません。しかし、更年期に女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減少することが影響しているのではないかと考えられています。


エストロゲンには、中性脂肪の代謝を促し体に付かないようにする働きがあるのです。また、エストロゲンの分泌量が減るとLDLコレステロールが増加することも分かっています。つまり女性は、更年期になると脂肪の代謝機能が落ちるのです。これによって胆石症が増加するのではないか、というわけです。



もしかして?という自覚がある人は、なるべく脂質の多い食事を控える習慣にするといいですね。そうすれば、胆石症だけではなく肥満のリスクも減らすことができますよ。

⇒参考文献・引用元:

『日本消化器病学会』の「患者さんと家族のための胆石症ガイドブック」p.5

http://www.jsge.or.jp/citizen/kouza/pdf/05_tanseki.pdf

(高橋モータース@dcp)