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若いやせ型の女性も「血糖値スパイク」にご用心! 糖尿病専門医に聞く

2018.08.01

若いやせ型の女性も「血糖値スパイク」にご用心! 糖尿病専門医に聞く


糖尿病は中高年以降の肥満男性、いわゆる「メタボなおじさん」の病気と思っていませんか。「『隠れ糖尿病』ともいわれる『血糖値スパイク』という状態は、20代のやせ型の女性の5人に1人にみられるという調査報告があります。若い女性にとっても無視できない問題で、パンやスイーツばかりを食べる習慣には注意が必要です」と、糖尿病専門医で臨床内科専門医でもある福田正博医師は警鐘を鳴らします。そこで、「血糖値スパイク」の実際と対応のポイントについて、福田医師に聞きました。

取材協力・監修



福田正博氏


医学博士。糖尿病専門医。大阪府内科医会会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』 (ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、わかりやすく面白い講演でも定評がある。


▼医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック

http://dmclinic.jp/

■健診では発見できない、血管に大きなダメージ

福田医師はまず、「血糖値スパイク」とは何かについて、次のように説明をします。


「スパイクとは『とがった』とか『急に跳ね上がる』という意味合いです。『血糖値スパイク』とは、食後に血糖値が急上昇(食後高血糖)し、その後急降下して正常に戻る状態で、医学的には『食後過血糖』と言います。このときの血糖値をグラフ化すると、とげのような線を示すことからこう呼ばれています。


糖尿病かどうかを診断する方法はいくつかありますが、一般の健康診断では空腹時に血糖値を調べるため、『血糖値スパイク』をとらえることはできません。つまり、糖尿病ではないとされた人でも血糖値スパイクが起こっている可能性があるわけです」



次に、「血糖値スパイク」が起こる背景と影響について、福田医師はこう続けます。


「通常、誰でも食事の直後には血糖値が上昇しますが、それを感知すると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、すみやかに血液中のブドウ糖が全身の細胞に取り込まれるように働きます。そうして血糖値は徐々に下がっていきます。


ところが、インスリンの分泌量が少ない、また分泌されていてもインスリンの分泌のタイミングがずれていると、血糖値は上昇と下降のカーブが『とげ』のような鋭い角度を示します。これが『血糖値スパイク』です。


毎日の食事で、特にパンやパスタ、ラーメンなど炭水化物ばかりを食べているなどで、血液中のブドウ糖の濃度が急速に上昇すると、血管は大きなダメージを受けて動脈硬化が進む要因となります。


『血糖値スパイク』を放っておくと近い将来に糖尿病になる可能性は高く、さらに、動脈硬化によって引き起こされる心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などの病気、がんや認知症が発生するリスクも大きくなります」


自分で「血糖値スパイク」を計測する方法については、

「市販の尿検査テープを使って手軽にチェックできます。テープが陽性を示した場合は、高血糖の状態である『食後2時間以内に血糖値が180mg/dlを超えている』可能性があるので、かかりつけ医か内科を受診してそう伝えてください」と福田医師。

■スリムな女性でも「血糖値スパイク」の可能性あり

次に、スリムな女性でも、「筋肉の少ないやせ型のタイプは注意が必要」と言う福田医師は、次の指摘を続けます。


「以前から、肥満の体型の人だけではなく、やせ型の人も、糖尿病のリスクがあることがわかっていましたが、最近の研究では、筋肉の量や質が血糖の取り込みに関わることが明らかになっています。


若い女性では、筋肉の量が少ない、運動をしない、ダイエットをしている、やせ型などが、『血糖値スパイク』のリスクとなります。筋肉の状態を無視して、体重を減らすだけでは健康とは言えないわけです」


ここで福田医師に、『血糖値スパイク』のチェックポイントを挙げてもらいました。


・朝食を抜くことがある

・スイーツをよく食べる

・甘いジュースや清涼飲料水をよく飲む

・揚げ物など脂っこい料理をよく食べる

・早食いの傾向がある

・バイキングや食べ放題をよく利用する

・夕食の時間が遅い

・食後は、動かずに休む、寝ることが多い

・更年期障害の症状がある

・お腹のぽっこりが気になる (女性は腹囲が80cm以上ある)

・BMIの値が18.5未満あるいは25以上(BMI=体重㎏÷身長cm÷身長cm)

・血のつながった家族(兄弟、姉妹、父母、祖父母)に糖尿病になった人がいる

・デスクワークがメインで日中、あまり歩かない

・運動は週3日未満

・ダイエット体験がある

・睡眠不足気味である


「ひとつでも思い当たる項目があれば、それを改善しましょう。とくに、食習慣を見直しましょう」と福田医師。

■予防には、「食物繊維をとる」「食べる順番を変える」

福田医師は、「予防にとってもっとも重要な食習慣の影響」について、さらに注意を促します。


「朝食抜き、1日1食、スイーツばかりを食べる、バイキングなどでのドカ食い、飲み会のあとスイーツやラーメンでしめるといった血糖値が上昇する習慣は、『血糖値スパイク』の大敵です。


体内でブドウ糖に変化しやすい砂糖やハチミツを含む飲料や食品、パンやパスタ、ご飯などの炭水化物は血糖値が上昇しやすい食品です。これらを一度にまとめてガツガツと食べるなどは避けてください。


野菜や海草類、キノコなどに多く含まれる食物繊維の摂取は、糖の吸収の速度をゆるやかにするため、血糖値スパイクの予防になります。


そして、食生活のカギは、『食べる順番』です。食物繊維を多く含む野菜や海草類、キノコ類などを先に食べてから、次に魚や肉(タンパク質)、最後にご飯やパン(炭水化物)の順番で食べましょう」



最後に福田医師に、『血糖値スパイク』を防ぐ具体的なポイントをまとめてもらいました。


・食事は抜かず、1日3食とる

・できるだけ毎日同じ時間に食事をとる

・早食いはしない。よく噛み、時間をかけて食べる

・外食では丼ものや、ラーメン・炒飯の炭水化物のセットよりも、定食を選ぶ

・食べる順番は、野菜など食物繊維が豊富な料理→魚や肉→ごはんやパンで

・水分補給は、水やお茶で。スポーツ飲料はカロリーオフを

・スイーツのまとめ食いはしない

・食べ放題、バイキング式での過食はしない



いかがでしょうか。飲み会後はパフェやケーキでしめる、また、特大盛のスイーツなどがブームでもあるこのごろ、今後は「血糖値スパイク」という言葉を思い出し、どの場面でも食べ過ぎないようにして、まずは小鉢やサラダから食べるといった順番を習慣にしたいものです。


(取材・文 ふくいみちこ・藤井 空 / ユンブル)