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どうしてもすぐに気が散ってしまう…! 集中力が保てない人の原因とは?

2018.07.30

どうしてもすぐに気が散ってしまう…! 集中力が保てない人の原因とは?


仕事に勉強に掃除……。「今日こそはちゃんとやるぞ!」と意気込むものの、開始10分で飽きてしまったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。しかし、その一方で、気が散ることなく黙々とひとつのことに取り組める人もいます。「あの人はなぜそんなに集中力があるのだろう」とうらやましくなりますよね。


そこで、集中力を持続させやすい人と飽きっぽい人の違いや、どうすれば集中力を養えるのかなどを加藤プラチナクリニック院長で、株式会社「脳の学校」代表を務める加藤俊徳先生に伺いました。


取材協力

加藤俊徳 先生


株式会社「脳の学校」代表加藤プラチナクリニック院長。昭和大学客員教授。


MRI脳画像を用いて診断治療する世界で初めての脳内科医、胎児から超高齢者まで1万人以上の人をMRI脳画像を用いて治療。脳番地トレーニングの提唱者。

発達障害や認知症などの予防脳医療を実践している。

著書に、「脳の強化書」シリーズ(あさ出版)、『めんどくさいがなくなる脳』(SBクリエイティブ)、『発達障害の子どもを伸ばす 脳番地トレーニング』(秀和システム)など。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/291

■集中しているときの脳はどんな状態?


――集中しているときの脳は、どんな働きをしているのでしょうか。


加藤先生:

集中力と一口で言っても、取り組む物事によって使われる脳の分野がそれぞれ違います。例えば、読書をしているときは、活字を追う視覚や文字を理解してイメージをふくらませる思考が必要になりますし、ラジオを聞いているときには、声を聞き取る聴覚や音を文字にして理解する思考が必要です。これらの取り組みに対して、必要な脳の分野をフルで使っていると「集中している」という状態になります。


――すると、「集中力が切れた」という状態は、脳をフルで使えなくなった時に起こるのでしょうか。


加藤先生:

そうですね。集中時の脳は、低酸素状態になるので負担がかかるんです。負担が大きくなると、このストレスから開放されようとして思考をシャットアウトする働きが起こります。これが「集中力が切れた」状態。特に、「面倒だな」「やりたくないな」と感じることに対しては、脳も積極的に思考をシャットアウトしようとします。


――「やりたくない」と思うと脳が拒否してしまうんですね。確かに、面倒なことはなかなか集中できません。こうした場合でも、集中力を高める方法はあるのでしょうか。


加藤先生:

毎日脳をしっかり休ませてあげること。そのためには、睡眠が大きなカギになります。起きているときの脳は、意識していなくても常に働いているので、睡眠で十分に休ませてあげることが大切なんです。また、起きた直後は脳もリフレッシュされた状態なので、午前中は集中しやすい傾向がありますね。


一般的な社会人であれば、一日のタスクの中に「好きなこと」と「面倒・やりたくないこと」があると思いますが、集中しやすい時間帯に「好きなこと」から片付けてしまうと時間効率がいいと思います。始めに「面倒なこと」から片付けようとする人も多いですが、どうしても時間がかかってしまうもの。脳の状態が一番いい時に、好きなことから片付けてしまえば、効率的になりますよ。


■個人差がある集中力 大人になってから鍛える方法は?

――ずっと同じ物事を続けられる人もいれば、すぐに飽きてしまう人もいます。集中力にはどうして差があるのでしょうか。


加藤先生:

集中力の個人差については、要因のひとつとして育った環境が考えられます。例えば、幼い頃から読書が好きな人は、本を読むことにストレスを感じにくいのですが、そうでない人は脳に負担がかかりやすく、集中力も切れやすいんです。しかし、前述したように、取り組む物事で脳の使い方が変わりますから、読書が得意だからといってすべての物事に集中できるかというと、そうではありません。


――集中力が高い人は幼い頃から自然と鍛えていたわけですね。大人になってからでも集中力を鍛えることは可能なのでしょうか。


加藤先生:

十分可能です。方法としては、筋トレと同じで少しずつ慣らしていくこと。初めはすぐに飽きてしまうかもしれませんが、脳には習慣性が備わっています。毎日の積み重ねで少しずつその行動への集中力が養われていきます。よく、「年をとって物忘れがひどい」なんて言う人もいますが、きちんと鍛えてあげれば80代の方でも脳に変化が見られるんですよ。


――集中力を養うためには、日々の努力が大切なんですね。また、集中したいときには、周囲の環境を整えることも大切だと思うのですが、いかがでしょうか。


加藤先生:

どんな環境が最適なのかは個人差がありますね。長時間にわたって物事に取り組むのが苦手で、すぐに集中力が途切れてしまうという人は、さまざまなことに興味を持ちやすい傾向があります。そういう人は、周辺の情報をシャットアウトすることが大切なので、机には何も置かないほうがよいでしょう。


また、時間で区切って環境を変えることも有効です。「自宅よりもカフェで仕事をするほうが集中できる」という人がいますが、これは脳に入ってくる情報が切り替わることで、自然とリフレッシュできているからなんです。実は、私も集中力が切れやすいタイプなので、ひとつのタスクごとにカフェを変えるなどして、環境を変えながら仕事をしていますよ。


■現代人に多い「スマホ脳」には要注意!


――特にやりたくないことでもダラダラと続けてしまうことがあるのですが、これも一種の集中力といえるのでしょうか。


加藤先生:

最近はこういう人が増えているんです。いわゆる「スマホ脳」と呼ばれるもので、必要がないのにスマートフォンをいじってしまうんです。脳を鍛えるには習慣性が大切ですが、これが惰性で働いてしまうことがあります。スマートフォンは、音楽や動画、その他のあらゆる情報が自動的に流れてきます。画面をただ眺めているだけでも、必要としていない情報がどんどん脳へ送り込まれていく。これは、お腹がいっぱいなのに、延々と食べ続けているようなものです。脳は常に過集中の状態になってしまって、リフレッシュすることができません。これでは、いざ集中したいと思っても脳が疲弊してしまっていますから、うまく集中することができない。


それに、スマートフォンを眺めているときに使う脳の分野はだいたい同じなので、脳の使い方も偏ってしまい、それ以外の脳の分野を使わなくなってしまうんです。何かを記憶することもアウトソースしてしまい、今や、スマートフォンそのものが「第二の脳」として機能してしまっている状態なんですよ。


――スマホのカレンダー機能で、スケジュール管理もできてしまうので、自分で覚えようという気がなくなりますよね。「スマホ脳」を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。


加藤先生:

スマートフォンを使う時間を決めること。電車に乗っているときや眠る前、食事中など、ついつい見てしまう人は多いのではないでしょうか。こうした習慣をやめて、スマートフォン以外の景色から情報を得るようにしましょう。ただ眺めているだけでも、使っている脳の分野や入ってくる情報は大きく異なります。一番変わるのは「脳の判断力」ですね。スマートフォンを眺めているときは、与えられた情報をそのまま取り込んでいるだけの状態ですが、外の世界を見ているときは、入ってくる情報を無意識に自分で判断しているんです。スマホ脳を防ぐことで、脳を鍛えられ、集中力アップに繋がるはずですよ。



加藤先生によれば、これからの毎日の行動で集中力を高めることは十分に可能で、特に20代〜30代はもっとも成長が期待できるそう。大切なことは「脳をコントロールすること」。飽きたら無理をせずに休ませてあげて、脳を切り替えてあげる。そして毎日少しずつ繰り返すことが大切です。常日頃から自分の脳を使うことを心がけていきたいですね。



(取材・文:ヤマウチカズヨ 編集:ノオト)