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化粧品の使用感を良くする「カルボマー」とはどんな成分?

2018.08.07

化粧品の使用感を良くする「カルボマー」とはどんな成分?


今回は「カルボマー」という名前の化粧品成分についてのお話です。

カルボマーは、化粧下地やクレンジングジェル、日焼け止めクリームなど、私たちの周りにある化粧品類に数多く使われています。


聞きなれないと感じた方も多いと思いますので、意外と身近な存在であるカルボマーの正体、用途、安全性、よくある誤解まで、詳しく説明していきます。

◇カルボマーとは

■白色の粉末が透明なジェルに変わる?

カルボマーは、アクリル酸を主体とする水溶性高分子で、正式名を「カルボキシビニルポリマー」といいます。

白色の粉末状の成分で、水に溶かすとその水溶液は酸性を示します。ところがこれをアルカリで中和すると透明になり、高粘度の溶液へと変化。「透明なジェル」のようになります。

また、水以外の液体も増粘させることができ、アルコール類や多くの高分子原料ともよく混ざり合うため、多くの化粧品に用いられています。


■「カルボマーK」や「カルボマーNa」と表記されていることも

カルボマーは化粧品に配合される際、水に溶かしてさらにアルカリと中和させることで増粘効果を発揮するので、ほとんどの商品において「水酸化K」「水酸化Na」「TEA」などのアルカリ成分と一緒に配合されます。そのため、表示名称としては「カルボマーK」「カルボマーNa」「カルボマーTEA」という中和反応後の成分名で載っていることもあります。

◇カルボマーの配合目的は「増粘」効果

これまで見てきたように、カルボマーは化粧品成分において粘り気を出す「増粘剤」としての役割でよく知られています。


液体にとろみをつけることで、

  • 液だれを防ぎ使いやすくする

  • 乳化した水と油の分離を抑制させる

  • 皮膜を形成して肌に定着させる

といった効果が期待されています。


増粘効果を得られる成分は、カルボマー以外にも存在しています。例えば「キサンタンガム」という天然ガム質がありますが、カルボマーのほうが少量での高い増粘効果、品質の均一性、温度変化に対する粘度の安定性といった面で優れていて、皮膚上でサラッとした感触が得られるという特徴も持っています。

◇カルボマーの安全性は?

■皮膚への刺激のリスクは臨床試験で実証済み

安全性についても高く評価されています。

カルボマーも他の化粧品成分同様に、皮膚への刺激が懸念された歴史があるため、多数の臨床試験を行ってきました。その結果、「皮膚刺激性」「アレルギー」「毒性」など様々な項目において安全性の高さが示されてきました。


■「皮膚呼吸ができなくなる」は誤解

「高分子ポリマーであるカルボマーが肌を覆ってしまうことによって、皮膚呼吸が妨げられてしまう」という情報がネット界隈で出回ったことがあるそうです。しかし、これは完全なウソ情報です。

「高分子」とは分子サイズが大きいことを表しています。分子サイズが大きければ、並んだ分子同士の間にたくさんの隙間ができるので、空気の通行を妨げることはありません。


また、そもそも「人間の生命活動において皮膚呼吸は、皆無ではないがほぼ無視して良い規模である」との見方が定説になっています。どちらの事実をとっても、皮膚呼吸の危険性について考える必要はないといえますね。

◇まとめ

カルボマーをもともと知らなかった方も、実はいつも使っている身近な成分だったことが分かったはずです。

そして、優れた働きと安全性を兼ね備えているということも分かりました。

化学合成された物質と聞くと、イメージ的に抵抗感があるかもしれませんが、ちゃんと知ってみると、カルボマーがとても頼もしい化粧成分のひとつであることがお分かりいただけたと思います。

これからも化粧品成分について正しい知識を身につけて、自分が安心できる化粧品を使っていきましょう。

参考文献

『化粧品成分用語事典2012』中央書院

『化粧品成分ガイド 第6版』宇山侊男/岡部美代治/久光一誠 編著 フレグランスジャーナル社

(爪肌育成マエストロ/高橋信喜)