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腰痛の原因は長時間のデスクワーク?「座り過ぎ」が招く健康リスク

2018.08.14

腰痛の原因は長時間のデスクワーク?「座り過ぎ」が招く健康リスク



デスクワークで「勤務時間中はほぼ座ったまま」という人も多いのではないでしょうか? この「座ったまま」の姿勢が健康に良くないと指摘されているのです。座っているほうがラクですし、負担も少ないように感じますが……。今回はデスクワークが引き起こす健康リスクについてご紹介します。

記事監修

眞鍋憲正 先生



スポーツ医学・整形外科・救急科。信州大学医学部卒業、市中病院で臨床をしながら信州大学大学院スポーツ医科学講座にて研究を行う。医師+(いしぷらす)所属。

■長時間のデスクワークは腰痛の原因になることも!

長時間パソコン作業をするなど同じ姿勢でデスクワークを続けると、血流がうっ滞し、血行が悪くなります。血行が悪くなると筋肉が凝りやすく、硬くなりますから、これが腰痛のひとつの原因となりえます。


※基本的には座って作業のほうが立っているより腰痛は少ないです。長時間同じ姿勢で作業をした際に腰痛の原因となりえます。

■「座り過ぎ」の健康リスクとは?


世界中で「座り続けることの健康リスク」についての研究が行われています。それらの研究によれば、1日のうちの長い時間を座って過ごし、しかもそれが継続する場合には以下のような健康リスクがあるとのこと。


座っている時間が長いほど一部のがんになりやすくなるリスクが上昇する可能性が言われている。


1日の座っている時間が4時間未満の人に比べて、8-11時間の人は総死亡リスクが15%増、11時間以上の人は40%増加する※1

(45歳以上の成人)


テレビ視聴に伴う座位時間が1日2時間未満の成人と比較すると、4時間以上座ってテレビを視聴する人は総死亡リスクが46%、心血管疾患による死亡リスクが80%増加する※2

(25歳以上の成人)


テレビを見るのに1時間座るたびに22分間平均余命が短くなると推計される※3

(25歳以上の成人)


立位・歩行が多い仕事に従事する女性は、座り仕事に従事する女性に比べて総死亡リスクが40%、がんにかかるリスクが40%低くなる※4


ほかに、座り過ぎが体力や認知機能の低下にも影響を与えるといった種々の研究もあります。総じて「座り過ぎ」は健康リスクを高める可能性があるという認識が広まってきています。


■日本人は「1日に420分」座っている

日本人がいかに座り過ぎかを調査したデータがあります(Bauman 博士らの研究※5)。それによると、日本は調査した20カ国の中で「1日に座っている時間」が最も長いのです。


  • 座っている時間の長い国 20カ国のランキング


    第1位 日本


    第2位 サウジアラビア


    第3位 台湾


    第4位 ノルウェー


    第5位 リトアニア


    第6位 香港


    第7位 チェコ


    第8位 スウェーデン


    第9位 スペイン


    第10位 カナダ


    第11位 ベルギー


    第12位 アルゼンチン


    第13位 アメリカ


    第14位 ニュージーランド


    第15位 中国


    第16位 オーストラリア


    第17位 インド


    第18位 コロンビア


    第19位 ブラジル


    第20位 ポルトガル

日本人は「1日420分(7時間)座って過ごしている」ことになっています。この研究は「質問票」を用いた結果を基にしたもので、どこまでその国の実情を反映したものかは疑問ですが、この結果を信じるのであれば、日本人は上記で紹介した「座り過ぎ」による健康リスクがあるかもしれない国民、ということになります。



問題なのは、「軽い運動では、長時間の座りすぎの健康リスクは相殺されない」とする研究があることです。つまり、座っている時間を減らすか、適度な運動をしないと健康リスクは減らないというわけです※7



たとえば、イギリスの「Physical activity guidelines」では「全ての成人は、座っている時間を最小限に抑えるべきである」と指摘しています※6。このような指摘があるため、海外では立って働くスペースを設けている企業もあります。しかし、日本企業の場合にはなかなか実施するのが難しいかもしれません。



オフィスで自分だけ立って仕事をするのは難しいでしょうが、一定時間ごとに立つ・歩くという時間を取ることで、腰痛を避け、健康リスクを軽減することができると考えられるのです。ぜひ実践してみてください。


※1

⇒論文:「Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults.」(オーストラリア人成人22万2,497人における座っている時間と全死因死亡リスク)


※2

⇒論文:「Television viewing time and mortality: the Australian Diabetes,Obesity and Lifestyle Study (AusDiab).」(テレビ視聴時間と死亡率:オーストラリア人の糖尿病、肥満および生活習慣調査(AusDiab))

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20065160


※3

⇒論文:「Television viewing time and reduced life expectancy:a life table analysis.」(テレビ視聴時間と期待寿命の短縮:生命表分析)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23007179


※4

⇒論文:「Daily sitting time and all-cause mortality: a meta-analysis.」(毎日の座っている時間と全死亡率:メタ解析)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24236168


※5

⇒論文:「The descriptive epidemiology of sitting. A 20-country comparison using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ).」(座っていることの疫学研究 IPAQを用いた20カ国の比較)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21767731


※6

⇒データ出典:「Physical activity guidelines for ADULTS(19-64YEARS)」(成人(19-64歳)の身体活動ガイドライン)

http://www.ssehsactive.org.uk/userfiles/Documents/factsheetadults.pdf


※7

ただし、日本における「座りすぎの健康リスク」研究の第一人者である岡浩一朗博士によれば、「週35.5メッツ/時(1日60-75分)の中強度以上の身体活動量があれば、総座位時間が少しくらい長くても総死亡のリスクを相殺できる可能性が示唆された」研究が『ランセット』誌に掲載されたそうです。


(高橋モータース@dcp)