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ずっと疲れがとれない……。もしかして「慢性疲労症候群」かも?

2018.08.24

ずっと疲れがとれない……。もしかして「慢性疲労症候群」かも?


「疲れがたまって体がだるいなぁ」と感じることは誰にでもありますね。しかし、その疲労感がずっと続き、しかも原因が分からない場合は「慢性疲労症候群」かもしれません。この疾患は放置してはいけないものなのです。今回は「慢性疲労症候群」についてご紹介します。

記事監修


福田敬子 先生


精神科医。都内メンタルクリニック勤務。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。カリフォルニア大学バークレー校留学、金融機関勤務ののち、山口大学医学部卒業。東京都立松沢病院、日本医科大学付属病院精神神経科などを経て、現職。

女医+(じょいぷらす)所属。

■「慢性疲労症候群」は体に異常が見つからない

ひと言でいえば、「慢性疲労症候群」は「ずっとひどい疲労感に悩まされる病気」です。それまで健康だった人が、ある日突然ひどい疲労感に襲われ、しかもそれが続きます。

  • ひどいだるさ、倦怠(けんたい)感が全身、または特定の部位に現れる

  • だるさ、倦怠感によって社会生活が困難に陥っている

  • 症状が6カ月以上続いている/再発を繰り返す

  • 検査しても体に異常が見つからない

という場合に「慢性疲労症候群」と診断されます。血液検査、X線検査などによっても体に異常が見つからないため、精神科や内科で治療を受けることになります。しかし、体に異常がないので原因もよく分からず、治療も困難で長い時間がかかるとされます。


『日本医療研究開発機構』「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班によれば(記事末のURL)、


「慢性疲労症候群の患者さんの1/4は長期にわたってほとんど回復が見られず、日中も臥床(がしょう:床に就いて生活すること)して生活し、生活介護も必要であることが多い」


とのことで、非常に厄介な疾患であることが分かります。


また慢性疲労症候群を放置すると、社会的な生活を営むことの難しさから抑うつ的な気分になりがちに。そこから「うつ病/大うつ病性障害」を引き起こしたり、「線維筋痛症」の引き金になる可能性があります。

■「慢性疲労症候群」の治療は?


慢性疲労症候群の治療法はまだ確立されていません。同研究班によれば、

・L-カルニチン※

・漢方薬治療

・認知行動療法

・向精神薬治療

・抗神経炎症薬剤

などについての臨床試験を継続し、治療の有効性を検証するという段階なのです。


※「L-カルニチン」は筋肉細胞に多く含まれ、脂質の代謝に必要不可欠な物質です。

■「慢性疲労症候群」の原因は?


慢性疲労症候群の原因も研究が進められていますが、まだよく分かっていません。ただし同研究班によれば、重症の患者さんには「中脳や視床に神経の炎症が見られる」ことが特殊な検査装置(ポジトロンCTなど)を使った研究で分かっています。


この神経の炎症は、通常のCTやMRIでは見つけることができないのですが、


・通常の検査で異常が見つからない患者さんでも、脳内の神経の炎症を引き起こしている可能性が高い


と考えられ、実際にポジトロン断層法検査(PETと略されます)によって以下のことが判明しています。

・脳の「視床」「中脳」「扁桃体(へんとうたい)」での炎症が強い場合は認知機能障害が強い


・脳の「帯状回(たいじょうかい)」や「視床」の炎症の強さと頭痛や筋肉痛などの痛みの程度に相関がある


・脳の「海馬(かいば)」という組織に炎症が見られるほど抑うつ症状が強くなる

また、免疫機能、自律神経機能、睡眠覚醒リズム、酸化ストレス、内分泌系評価、ウイルス学的検査などでも多くの異常が見られることも分かってきました。


「慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome:CFS)は感染症や環境的ストレス※をきっかけに神経系、免疫系、内分泌系の機能異常が惹起(じゃっき)された(引き起こされた:筆者注)病態」


という仮説も提唱されています(記事末URLより引用)。その実証に向けて研究が進められており、研究の中から有効な治療法が発見されることが期待されています。



かつては、体に異常が見つからないため慢性疲労症候群については理解されない面がありました。しかし現在では、上記のとおり「脳内の神経に炎症が起こることが原因ではないか」と考えられるようになっています。


慢性疲労症候群は誰もが発症する可能性があり、また治療が困難な病気です。もし身近な人が発症したら、そのつらさを理解し、抑うつ状態を進行させないためにも気遣いを忘れないさい。また、すぐに専門医を受診することも重要です。決して放置してはいけません。


※環境的ストレスには、過重労働、精神ストレス、化学物質暴露、紫外線、騒音などが考えられています。

⇒参考文献・データ引用元:『国立研究開発法人 日本医療研究開発機構』「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班

http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/

(高橋モータース@dcp)