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吸汗速乾、接触冷感って何?汗かきさんでも「ベタつき」は解消できる!?

2018.08.27

吸汗速乾、接触冷感って何?汗かきさんでも「ベタつき」は解消できる!?


  • 暑いのが苦手

  • 汗かき

暑いのは苦手だし、汗かきだからできるだけ夏は薄着でいたい。でも仕事ではスーツを着ないといけないし、「オフィスであまり肌を露出するのもなぁ」と思って長袖を着る。結果、汗でべたついた洋服が肌にまとわりついてとても不快に…。

そんな時は洋服の「素材」選びにこだわってみてはいかがでしょうか。

今回は、近頃よく見かける「快適素材」について解説します。

【吸汗速乾素材って?】


吸汗速乾素材とは、汗を素早く吸って素早く乾く素材のこと。これなら、汗をかいても肌はべたつかずサラッとした状態が保てて快適です。


発汗には体温を下げる働きがあるので、気温が高いほど、運動をして体温が上がるほどたくさん汗をきます。「滝のような汗」という表現からもわかる通り、汗は液体状です。でも、私たちはこの液体状の汗だけではなく、目には見えない気体状の汗もかいています。これを「不感蒸泄」(フカンジョウセツ)といいます。

「寝ている間にコップ1杯分の汗をかく」というのは主にこの気体状の汗、不感蒸泄のことです。


実は液体状の汗と気体状の汗とでは、布に吸収されるしくみが少し違います。液体の汗を吸う「吸汗」は言いかえれば「吸水」で、気体の汗の場合には「吸湿」となります。流れる汗をぬぐうタオルは「吸水性」が重要ですが、寝ている間にかく気体状の汗を吸収するには「吸湿性」が重要です。


実際には気体状の汗も、吸収されなければやがて液体状の汗となり肌を濡らすことになります。快適に過ごすために、衣服素材は吸湿性と吸水性の両方が優れていると良いですね。


布の吸湿性と吸水性は一致するとは限りません。吸湿性は衣服に使われている布の素材(繊維)が影響します。

布の素材には綿、麻、毛、絹などの「天然繊維」とポリエステル、ナイロン、アクリルなどの「合成繊維」があります。

大まかにいうと、繊維自体が本来持っている吸湿性は天然繊維が優れているので、不感蒸泄の気体状の汗は天然繊維の方がよく吸収するといえるでしょう。そして吸水性には布の表面の状態や糸の織り方などが影響します。


一方の速乾性は合成繊維の方が優れています。理想的な吸汗速乾素材は、天然繊維の「吸湿性」と合成繊維の「速乾性」を持つことが望ましいのです。


【接触冷感素材って?】


接触冷感素材とは、触った時にひんやり冷たく感じる素材のこと。

肌に触れる布が「熱を奪いやすい素材」であると冷たく感じます。熱を奪いやすいかどうかは「熱伝導性」という性質で示されます。


例えば手で木のテーブルに触れた時に比べて、ステンレスなどの金属に触れた時の方がひんやり冷たく感じるのは、金属の熱伝導性が大きく、手の熱を奪いやすいからです。

夏の素材の代表である麻は、着た時にひんやりしますね。衣服素材の中では熱伝導性が大きい繊維なのです。

化学繊維ではレーヨンがそうです。また、レーヨンは吸湿性が大きいことも涼しく感じる要因です。


お伝えしたように、吸湿性とは気体の水すなわち水蒸気を吸収する性質です。液体の水が水蒸気になる(蒸発する)時には熱(気化熱)が奪われます。

水に濡れた手をそのままにすると涼しく感じる、夏に打ち水をすると涼しくなるのは、水分が蒸発する際に熱が奪われるからです。毛も吸湿性は大きいですが、こちらは吸湿すると発熱する性質を持っています。また熱伝導性が小さいので、触った時にはむしろ暖かく感じます。冷感素材に向きません。


【表示はポリエステル?】

実際に吸汗速乾、接触冷感を謳っている衣類の素材をご存知でしょうか?タグに洗濯表示とともに書かれているのでぜひチェックしてみてください。

その多くには「ポリエステル」と書かれていると思います。これまでお伝えした素材の中にはありませんでしたね。


ポリエステルは、原料から人工的に「合成」するので、その過程で使用目的に合わせて性質を変えることができるのです。

ポリエステルは吸湿吸水性はほとんどありません。その分速乾性が優れていて、足りない吸湿性吸水性を補えば吸水速乾素材になるわけです。


吸水性には布を作っている糸の太さや表面状態、糸を布にするときの織り方が影響することはすでに書きました。「毛細管現象」が関係しているからです。


毛細管現象とは細い管の中を水が上がっていく現象のことです。水の表面にストローをつけると水がストローの中を上がっていくのも「毛細管現象」です。

糸を織ったり編んだりして作る布には小さな隙間があり、この隙間を水が上がっていくのです。これが「吸水」です。

この隙間が小さいほど、また布の素材自体が濡れやすいほど吸水されやすくなります。素材自体が濡れにくいポリエステルは合成する時に表面に穴を空ける、細くするなどの方法で吸水性を付与しています。


合成繊維を作る方法のひとつは、原料となる液体を注射器の針の先から出して固めるというイメージです。通常の注射器の針は丸型なので合成繊維の断面は丸ですが、形を変えることで、それ以外の断面(異形断面)の繊維ができます。

これによっても吸水性や冷感を大きくすることができるのです。

注意点


ポリエステルで気をつけたいのが「再汚染」。

洗濯機の中で、一緒に洗った洗濯物から落ちた汚れがついてしまうことです。汚れのひどいものとは別に洗いましょう。


洗濯に関してもうひとつ気をつけたいのは、「速乾」は水分がなくなるだけということです。

汗に含まれる塩分や汚れは残っているので、布が乾いたからといって洗濯を怠ってはいけません。汚れが蓄積し、黄ばみ・黒ずみ、臭いの原因になります。


合成繊維が肌に合わない方もいらっしゃいますから、綿だけを使った商品もあります。すでに書いたように綿は吸湿吸水性には優れていますが、速乾性が劣ります。自然の中にある原料を使う天然繊維ですから合成繊維のように性質を変えて速乾性を持たせることは難しいですが、細い綿を使う、織り方を変えるなどの工夫で速乾性を持たせています。また速乾性の大きいポリエステルと混紡することでカバーしているものもあります。


「ポリウレタン」という表示を目にすることも多いと思います。これは伸び縮みし易い、いわゆるストレッチ性を与えるための素材です。塩素系漂白剤を使うと、漂白剤に含まれる塩素の影響でストレッチ性が弱くなる場合があるので気をつけて下さい。


【おわりに】

暑い夏をより快適に過ごすには、快適素材のお洋服を利用するというのも選択肢のひとつですね。近頃は色やデザインも素敵なアイテムが増えています。ご自分に合ったものを取り入れてみてはいかがでしょうか。


(Yukie Karube/テキスタイルアドバイザー)