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女性の方がなりやすいって本当?「うつ病」の原因とは

2018.09.06

女性の方がなりやすいって本当?「うつ病」の原因とは


日本においてもはや日常語といえるほど知名度が増し、社会病理になりつつある「うつ病」。実は女性の方が男性よりうつ病に罹患しやすいということをご存知ですか?今回は、なぜうつ病にそのような性差が出てくるのか、さまざまな視点から考察していきます。

・そもそもどのくらいの性差があるのか?


女性は男性に比べ、約2倍の確率でうつ病になりやすいといわれています。これは、最近の研究において、12か月有病率と生涯有病率(12か月間、あるいは生涯である病気にかかったことのある人の割合)が、男性と女性の間で約2倍もの開きがあることを根拠としています。一方で、「双極性障害」(躁状態と鬱状態が交互にあらわれる、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた疾患)にはこのような性差はほとんどないそうです。

・うつ病の性差の原因①ホルモンバランス

うつ病における性差の原因としてあげられるもののひとつに、女性特有の「ホルモンバランス」があります。

例えば血糖値が上がりすぎたらそれを下げるホルモンが分泌され、その作用で逆に下がりすぎたら血糖値を上げるようなホルモンが分泌されるように、作用が拮抗しながら人体は分泌量を調整(これを「フィードバック調節」といいます)しています。このため、何らかの理由によりあるホルモン分泌量に変化が起こると、それがからだ全体のホルモン分泌量のバランスに影響を及ぼし、体調不良を起こすことになります。もちろん精神疾患や気分障害も例外ではなく、ホルモンバランスの崩れが引き金となりうつ病を引き起こすことが十分考えられます。


女性において最もホルモンバランスに影響すると考えられるイベントは「生理・妊娠・出産」です。男性にはない、体に大きな変化をもたらすこれらの生物学的イベントが、男女間のうつ病発症率の違いをもたらしていると考えられます。

このほかレアケースながら女性特有の問題として、経口避妊薬(ピル)の副作用によるうつ病、というものもあげられます。

・うつ病の性差の原因②社会的要因


当然ながらうつ病は風邪などの体調不良とは異なり、対人関係などの社会的要因からストレスを受けることで起こります。女性は男性よりそうしたストレスにさらされることが多かったり、また多大な責任感を背負うことがあるために、うつ病発症率の性差があるとも考えられています。


例えば、結婚・子育てに対して焦燥感を持ったり仕事と家庭のバランスに悩んだりと、人生を通して考えたときのストレスは男性より大きくなることが予想されるでしょう。

また、子供を持ったあとでも、母親としての責任感からストレスを感じることもあります。日本では家族制度が崩壊しつつあり、またベビーシッター制度なども充実していないため、育児の悩みを母親ひとりが抱え込む傾向にあります。

・女性特有の「産後うつ」

「産後うつ」という言葉を聞いたことはありませんか?文字通り産後に訪れるうつ病のことです。これは女性特有の、上記のようなホルモンバランスの乱れや社会的要因が絡み合う、うつ病といえるでしょう。

上記の通り出産においては体に大きな変化が起こり、ホルモンバランスにも変化が起きます。また子供がいることによって急に生活リズムが変化したり、人生の選択を迫られたり、何より育児への責任感などによりストレスを感じ、産後にうつ病を発症してしまうケースが頻繁に見られるのです。


産後うつの厄介なところは、「子供に悪影響が出るのではないか」と母親が授乳中の投薬治療を恐れ、受診が遅れてしまうケースが見られるという点です。もっともこうした心配はしごく当然なことですが、幸い医療機関においては、うつ病の投薬治療における妊産婦への影響に関しての知見が蓄積されつつあるため、医師としっかりと話し合えば、妊娠中でも適切な処置が見込めます。


「女性はうつになりやすい」という認識があれば、不安になったときに迅速に専門機関を受診できますよね。また男性の方は、自身の恋人や奥様の精神状態が悪いときにはしっかりと付き添い、場合によっては精神科を視野に入れるということも考えておきましょう。



(執筆・監修 ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社)