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「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品に注意しましょう

2018.09.17

「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品に注意しましょう


バストアップやスタイルアップに効果があるとされ、「プエラリア・ミリフィカ」を成分とする健康食品が注目されています。しかし、実はこの健康食品では健康被害も出ており、安易な摂取は要注意なのです。今回は「プエラリア・ミリフィカ」についてご紹介します。

記事監修



森 智恵子先生


日本産婦人科学会専門医、精神科指定医、麻酔科標榜医、日本医師会認定産業医

世界レーザー医学会認定医、サーマクール認定医


女性婦人科と美容皮膚科で併せて25年、女性と向き合い続けてきた

経験から女性の心身を熟知。

現在は天神レディースクリニック、院長として活躍。

■「プエラリア・ミリフィカ」って何?

「プエラリア・ミリフィカ」は、タイで栽培される植物で、マメ科クズ(葛)の一種です。「昔からタイでも美容に効果があるとされてきた」という話で、これが日本にも持ち込まれたというわけです。


プエラリア・ミリフィカの根には、以下の成分が含まれています。

  • デオキシミロエストロール、ミロエストロール

    (これらが「植物性エストロゲン」と呼ばれます:後述)

  • ダイゼイン、ゲニステイン

    (これらは「イソフラボン類」です)

  • プエラリン

  • クワクリン

デオキシミロエストロール、ミロエストロールは「植物性エストロゲン」と呼ばれ、女性ホルモン「エストロゲン」に似た作用をするといわれます。


デオキシミロエストロール、ミロエストロールにはイソフラボン類よりも約1,000~10,000倍強いエストロゲン活性の作用があるという報告があります。


また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報では、デオキシミロエストロールは強いエストロゲン活性があるとしています(ただ、デオキシミロエストロールが酸化したものであるミロエストロールでは、活性の作用は低下するとしています)。

■「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品の健康被害


つまり、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品の肝は「エストロゲン活性」作用にあるわけです。では、実際に販売されている製品で「エストロゲン活性」は見られるのでしょうか?


『国民生活センター』の調査によれば、販売されているものの中で、配合量が多いと思われる12製品のうち10製品で「エストロゲン活性が見られた」となっています(培養したヒト乳がん細胞を使ってエストロゲン活性が見られるかを調べました)。


ただし、その一方でプエラリア・ミリフィカを含む健康食品による健康被害も以下のように報告されています。


●2012年以降5年間あまりで報告された健康被害は209件

・10代:37件(18%)

・20代:69件(33%)

・30代:41件(20%)

・40代:42件(20%)


●健康被害の内容

・消化器障害:76件

・皮膚障害:59件

・月経不順または不正出血:33件

・頭痛:15件

・乳房の異常:3件

・呼吸器障害:2件

・その他:21件


このような健康被害が出る理由については以下のように考えられます。


1.プエラリア・ミリフィカの成分の有効な摂取量が分からない

(研究によって摂取量の限界なども分かっていない)

2.製品ごとに入っている成分がばらばらである


つまり、有効成分の効き目についてはまだよく分かっておらず、「これ以上摂取したら体に害を及ぼす」といった基本的な情報すらないのです。製品ごとに成分が全くばらばらなのも問題で、『国民生活センター』が12製品を調査した結果によると、上記の「デオキシミロエストロール」が異常に多く含まれた製品も見つかりました。


もし、デオキシミロエストロールが実際に人間にもエストロゲン活性を促すとしたら、これはホルモンバランスを崩す恐れがあります。月経不順や不正出血などの健康被害が報告されているのは、そのためではないかと推測されるのです。


ですから、調査を行った『国民生活センター』では、


プエラリア・ミリフィカを含む健康食品には、強い女性ホルモン様作用を持つとされる成分が多く含まれている銘柄がありました。摂取によりホルモンバランスが崩れるなど、思わぬ健康被害が発生するおそれがあるため 、安易な摂取は控えましょう


プエラリア・ミリフィカを含む健康食品を摂取して体調に異常を感じた場合、直ちに摂取を止め、医療機関を受診しましょう


と消費者に提言を行っています。


ちなみに「バストアップにつながる」という話がありますが、科学的根拠は全くありません。実際、『国民生活センター』の販売元に対する聞き取り調査でも、5社中4社が「特定の部位への作用はない」と回答しているのです(残る1社は「分からない」と回答)。



エストロゲンは女性の体を守るために重要な働きをするホルモンですが、健康食品などで安易にそれを増進させようとするのは健康に良くありません。ホルモンバランスを自分で乱すことになります。ホルモンを補う「HRT(ホルモン補充療法)」を行う際には、専門医の診察、相談が必要です。


また、バストアップなど特定の部位に対する効果は「眉唾」ですから、安易には考えないほうがよいでしょう。

⇒引用元:『消費者庁』「プエラリア・ミリフィカを原材料に含む『健康食品』の取扱いについて」平成29年9月22日

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pdf/consumer_safety_other_170927_0001.pdf


⇒参考文献・引用元:『独立行政法人 国民生活センター』「美容を目的とした『プエラリア・ミリフィカ』を含む健康食品 -若い女性に危害が多発!安易な摂取は控えましょう-」

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170713_1.pdf

(高橋モータース@dcp)