なかなか人には言いにくい、聞きにくい尿に関するお悩み。排尿時に痛みがある、生理ではない時期に血尿が出る、そもそもトイレに行く回数が増えた気がする……。もしかしたら、それは「膀胱炎」かもしれません。新橋日比谷通りクリニック院長・吉原秀樹先生に詳しいお話を伺いました。

取材協力・監修

吉原秀樹先生


旭川医科大学医学部卒業。医学博士専門医資格を取得後、大学院で結石と性ホルモン関連の研究を行う。臨床医として、泌尿器科領域の悪性腫瘍、尿路結石症、男性・女性更年期および男性機能障害、排尿障害に関わる前立腺肥大症や尿失禁、女性泌尿器科などあらゆる泌尿器科疾患および人工透析などの治療経験を経て、平成27年4月より新橋日比谷通りクリニック院長に就任。ていねいな説明と安心感の得られる医療を心掛けている。


新橋日比谷通りクリニック

http://shinbashi-hibiya-dori.com/

■膀胱炎の種類を知ろう

吉原先生によると、膀胱炎は大きく分けて下記2種類。

  • 急性膀胱炎

細菌が膀胱に入り、増殖することで膀胱の粘膜が炎症を起こす膀胱炎。症状は、排尿時の痛み、尿の濁り、血尿、1日8回以上の頻尿など。細菌感染のため、尿検査をすることですぐに診断がつく。抗生物質が速やかに効くので、症状は3~4日、長くても1週間以内には完治することがほとんど。


  • 慢性膀胱炎

症状は、急性膀胱炎に同じもしくは、それよりも軽い膀胱の下腹部付近の不快感や残尿感など。細菌検査をしても反応がなく、抗生物質が効かない。原因としては、閉経に伴う女性ホルモンの乱れやなどが考えられる。


来院する20代女性のほとんどが、細菌感染による急性膀胱炎なのだそう。膀胱炎は、多くの女性がかかる可能性がある、決して珍しくない病気なんだとか。

■性交渉後の感染も要注意!

――なぜ、膀胱炎になる女性が多いのでしょうか?


「解剖学的な身体の構造が影響しています。男性は尿道が約20センチ以上あるので、細菌が膀胱に達することはほとんどありません。一方、女性は尿道が約3~4センチしかありません。もともと生殖器辺りには、常在菌という細菌が存在しています。実は普段から細菌は膀胱に少なからず入っていて、排尿の度に流れてしまうものなんです。なので、通常は炎症が成立することがないのです」


――では、どんなときに膀胱炎になりやすいのでしょうか?


「例えば、風邪気味のときや、身体が冷えているときは、抵抗力が弱っているので注意が必要です。当然、尿の我慢も良くありません。尿の中は、細菌が増えるのには非常に良い環境なので、我慢すればするほど細菌が増殖していきます。また、性交渉後に膀胱炎になる若い女性がとても多いです。性交渉後は、尿意を感じていなくてもトイレに行く習慣をつけましょう。膀胱を空にすることでかなり予防できると考えられています」

■頻繁な膀胱炎は、専門医の診断が必要なときも

――膀胱炎を我慢してしまうと、他の病気を誘発することはありますか?


「膀胱内にいる細菌が、なにかの拍子で腎臓のほうにいってしまうことがあるんですね。これは要注意です。腎臓で細菌が増えてしまうと『急性腎盂腎炎』になり、40℃近い発熱や腰に激しい痛みを発症することあります。風邪のような喉痛みや咳などがなく、このような症状が出た場合は膀胱炎の症状を放置していたというケースがあります」


――膀胱炎はクセになりやすいと聞いたのですが、本当ですか?


「生活や職場環境の変化、ストレスの度合いなどによって一時的に抵抗力が落ちているときに膀胱炎になってしまうというのはよくあります。1年に1回程度なら心配はいらないでしょう。しかし、2~3カ月ごとの頻度ならば、一度専門医の診断を受けてください。膀胱の隣には子宮や卵巣があるので、筋腫があって膀胱を圧迫していたなんて、思わぬ婦人科系の病気が見つかる可能性があります。


また、膀胱炎によく似た症状で、尿を我慢できない、トイレに行くまでに漏れてしまいそうになるといった症状がみられるときは、過活動膀胱という畜尿障害である可能性も。膀胱は尿を出すだけではなく、尿を溜めるという機能も非常に大切なんですよ」


――膀胱炎の予防策を教えてください。


「尿量を増やすために、水分を多めに摂ること。あとは、抵抗力を維持するために疲労を溜めず、睡眠不足に注意しましょう。また、身体を温めることも重要です。昔は、冷えの影響から冬に多い病気ともいわれていましたが、今は季節に関係なく誰にでも起こりうる病気です。膀胱炎は、お風呂に入って体を清潔にしているとは全く関係ありません。膀胱に細菌が入っても洗い流す、菌が増えるチャンスを極力減らすことが予防になります。カフェインやアルコール、刺激物は膀胱の粘膜に良くないといわれているので、少し控える心掛けも大切です」


これといった前兆がなく、ある日突然かかる場合もあるという膀胱炎。一人で抱え込んでしまいがちな尿に関する悩みですが、気になることがあったら気軽に医師に相談してみましょう。


(取材・文 関紋加/ノオト)