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更年期障害の症状に効果あり!?「エクオール」っていったい何?

2018.10.05

更年期障害の症状に効果あり!?「エクオール」っていったい何?


更年期障害は、女性ホルモン「エストロゲン」の減少が原因のひとつ。つまりこのエストロゲンの減少にどのように対処するのかが、予防や治療において焦点になるのです。さて、今回は「更年期障害の症状に効果あり!」とされるエクオールという成分をご紹介します。

記事監修



加藤智子先生


産婦人科医。浜松医科大学医学部医学科卒業、社会医療法人財団新和会八千代病院、三河安城クリニック勤務。日本産科婦人科学会(専門医)、日本医師会(認定産業医)、日本抗加齢医学会(専門医)、NPO法人女性と加齢のヘルスケア学会(更年期カウンセラー)、日本産婦人科内視鏡学会、日本女性心身医学会、検診マンモグラフィ読影認定医、日本気象予報士会東海支部(気象予報士)、食生活アドバイザー。女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/111

■「大豆イソフラボン」は更年期障害に効果あり?


更年期障害は、閉経前後の10年間とされる「更年期」に起こる心身の不調です。


以下のようなものが、更年期障害の代表的な症状になります。

  • のぼせ

  • 火照り

  • 発汗

「hot flush(ホット・フラッシュ)」と呼ばれるこれらの不調は、卵巣の機能が衰え、女性ホルモン「エストロゲン」が急減少して自律神経が乱れるために起こると考えられています。


そのため女性ホルモンを補うことが治療のひとつになるのですが(ホルモン補充療法)、リスクもあるため実際に行うには医師の診察・判断が必要です。そこで、何かサプリメントで代替できないか?という考えが出てきます。


読者の皆さんも「大豆イソフラボンが体に良い」という話を聞いたことがあるでしょう。大豆イソフラボンはエストロゲンに似た効果を発揮するので、更年期障害に効くという話もありますね。


しかし、実はそう簡単にはいかないのです。大豆イソフラボンの更年期障害への効果を測定した臨床試験では、結果が一致していません。確かに効果が得られたケースもあるのですが、効果なしという結果も出ています。その理由は「エクオール」にあるのではないかと考えられるのです。

■「エクオール」とは何か?

大豆イソフラボンの研究で、次のようなことが分かりました。


・尿中のエクオールの排せつ量の多い人は更年期障害が軽い

・尿中のエクオールの排せつ量の少ない人は更年期障害が重い


大豆が女性の健康に良いとされるのは、大豆の胚芽に多く含まれる「ゲニステイン」「ダイゼイン」という物質によります。これらはイソフラボンの一種で、エストロゲンに似た作用があるとされます。


しかし、実は重要なのは腸内細菌によってダイゼインからつくられる「エクオール」という物質(難しくいうと活性代謝物)で、これが中心的な働きをするのです。


つまり、大豆イソフラボンを取っても腸内細菌がエクオールをつくってくれないと、エストロゲンに似た作用を発揮できず、更年期障害には効かないというわけです。


実際、


・尿中のゲニステイン、ダイゼインの排せつ量の多い・少ないは更年期障害の重い・軽いに関係がなかった


という報告があります。


このことからも、「大豆イソフラボンが更年期障害に効く」という単純な話ではなく、腸内で大豆イソフラボンから「エクオール」が産出されなければ効果がないことが分かります。


エクオールを腸内でつくれるかどうかには個人差があって、そもそもエクオールをつくれない人もいらっしゃいます。エクオールをつくれる人は、欧米では約30%、日本人では約50%という報告があります。

■「エクオール」の効果エビデンス


この「エクオール」については珍しく多くのエビデンスがあります。


たとえば、大豆胚芽乳酸菌発酵食品(「SE5-OH」)※1は、大豆胚芽を直接発酵させたものですが、これを毎日10mg取る試験を実施した結果、

  • 更年期症状が改善した

  • 骨代謝、骨密度が改善した

  • 心血管系リスクを低下させる可能性がある

といった効果が報告されています。また、1日に30mgを取った試験では、「皮膚老化に対する改善効果」※2が報告されているのです。


というわけで、エクオールは女性医療に貢献することが期待されています。ただし、これらのエビデンスはエクオールを薬剤にして飲んだときに得られた効果ではありません。エクオールを産生する乳酸菌の力を借りて、大豆胚芽を発酵させて食品とし、それを取ったときの効果です。その点については注意が必要です。


※1乳酸菌「ラクトコッカス属」(ラクトコッカス20-92株)を用いて、大豆胚芽を発酵させてエクオールを産生させ、それを人が摂取するわけです


※2閉経後女性の「目尻のしわの面積率」「目尻のしわの最大深さ」が有意に縮小した、というもの


⇒参考文献・データ引用元:日本抗加齢医学会 専門医・指導士認定委員会『アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版』(株式会社メジカルビュー)2017年7月1日第3版第2刷発行,pp275-278


(高橋モータース@dcp)