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ストレスが増すと口がにおう? 専門医が教える。漢方で口臭対策する方法

2018.10.24

ストレスが増すと口がにおう? 専門医が教える。漢方で口臭対策する方法


虫歯は治療したばかり、歯周病もないし、原因が思い当たらないのに口臭が気になる……。最近、話しかけると相手がすっと顔をそらす気がする……きっと口臭のせい? などと悩むことはありませんか。


漢方専門医で消化器内視鏡専門医、また臨床内科専門医でもある吉田裕彦医師に尋ねると、「口臭の原因は、口の中だけにあるとは限りません。胃腸など消化器官のトラブルやストレスによることもあります。口内のケアでは防げないと思う場合は、漢方によるとらえ方を知って、漢方薬を使うのも対策の一つです」ということです。詳しいお話を聞いてみましょう。

記事監修



吉田裕彦氏


臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。


医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

■「口臭」は漢方では重要な診断法のひとつ

はじめに吉田医師は、口臭を漢方ではどうとらえるかについてこう話します。


「漢方では、患者さんの症状を診断するにあたってまず、具体的な不調のほかに、これまでかかった病気や生活習慣について聞いたうえで、体型や舌、脈やおなかの状態を診る、舌診(ぜっしん)、脈診、腹診といった方法を行います。


その際に、患者さんの体質を見極める手がかりとして、その人の発するにおいも重視します。『口臭が気になる』ということは、体のどこかに不調があることを示すサインととらえます」


漢方では、診断の一環として口臭や体臭を確認するということです。

■暴飲暴食、残業、疲れ、ストレスをチェック


口臭が気になる患者さんの不調について吉田医師は、「おもに消化器系の調子が悪い場合が多い」と、次の説明を続けます。


「漢方では、消化機能が低下して、五臓六腑(ぷ)の『胃』に余分な熱がたまった状態になると、口臭がきつくなり、不快なにおいを発することがあると考えます。


というのも、漢方でいう『胃』とは、口から肛門までの消化管だととらえ、全体がバランスよく働くことで健康に保たれるとします。その『胃』は、心身のエネルギーを表す『気』の流れが滞ることなく、スムーズに上下することで維持されると考えます。


疲れやストレス、胃腸への負担があると『気』の流れが滞り、『胃』の機能に過不足が生じて『胃』に余分な熱がこもり、さまざまな不調が現れるようになります」


ここで、患者さんに詳しく最近の様子を聞きとった際に、浮かびあがってくる口臭の要因の例について吉田医師に挙げてもらいました。


(1)飲み会が続いて、刺激の強いもの、味の濃いもの、脂っこいもの、お酒の飲み過ぎが気になっている。この場合、暴飲暴食から胃に熱がこもった状態となり、口臭につながります。


(2)残業続きや、家事の忙しさで疲れがたまりやすい。職場の異動や上司が変わるなどで緊張する場面も増えている。この場合は、胃腸の働きが弱まり、熱を冷ます機能が低下して熱が余った状態となり、唾(だ)液が減って口やのどが乾燥してイガイガするなどから口臭を引き起こすことがあります。


(3)わりと神経質で胃腸が弱いタイプ。昇進やいいことがあったけれど、うれしい一方で緊張や責任感が増してイライラやストレスが強まったように感じる。下痢をしやすくておなかがゴロゴロと鳴ることも。胃が痛い、みぞおちがつかえるようでむかつきがあって、口の中が苦い、酸っぱい感じがする。口内炎もできやすい。この場合、胃酸が逆流する症状によって口臭につながります。


具体的なシーンは違っても、どれも思い当たります。

■漢方薬を選ぶには、胃腸の不調の様子と口の渇きがポイント


次に、先ほどの要因の例に沿って、改善が期待できて市販もされている漢方薬を吉田医師に教えてもらいました。


(1)のような場合で

・体力が比較的あり、不眠、めまい、動悸、更年期障害などが気になるときには黄連解毒湯(おうれんげどくとう)


・体力があまりなくて、胃腸が弱い、食欲がない、みぞおちがつかえる、疲れやすい、冷えやすなどが気になるときには六君子湯(りっくんしとう)


(2)のような場合で、体力が低下していて、口が渇く、のどが痛い、声がしわがれる、からぜきが出るなどが気になるときには麦門冬湯(ばくもんどうとう)


(3)のような場合で、体力は普通で、ストレスが胃腸の不調に表れやすいなどが気になるときには半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)


「これらの漢方薬によって、『胃』の不調が改善されると口臭がおさまっていくと期待ができます。ただし、漫然と服用を続けることは避け、2週間程度で改善が見られないようなら漢方専門医や内科を受診してください。


いずれの場合も、口がカラカラだと感じるときは放置しないで、適度な水分の補給をしながら、飴をなめる、ガムをかむなどで唾(だ)液の分泌を促しましょう」


ストレスや疲労が引き金となって元気が減退することから胃腸の不調が起こり、口臭を引き起こすということです。それなら逆に考えて、口臭が気になるときは、胃腸に不調がないか、ストレスはどうかを確認する機会にしたいものです。そのことを重点的に踏まえたうえで、消化機能を改善する漢方薬を選んでみてはいかがでしょうか。


取材・文 ふくいみちこ・藤井 空 / ユンブル