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早い人は40代から始まる! 「聴覚の老化」はどうして起こるの?

2018.10.31

早い人は40代から始まる! 「聴覚の老化」はどうして起こるの?


人間には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五感が備わっていますが、年を取ると感覚機能も老化していきます。「聴覚」は早い人では40代から老化が始まってしまいます。いったいどんな仕組みで老化が起こるのでしょうか?今回は聴覚の衰えについてご紹介します。

記事監修



木村聡子先生


耳鼻咽喉科医。

日本耳鼻咽喉科学会専門医、医学博士。

女医+(じょいぷらす)所属。

■聴覚の老化はどのように起こる?


人間に聞こえるのは周波数が「20-20,000Hz」の音といわれています。周波数というのは「音の波が1秒間に振動する回数」のことです。周波数が小さくなるほど低い音、大きくなるほど高い音になります。


人間に聞こえる音の範囲を「可聴域」といい、この可聴域は年を取ると徐々に狭くなっていきます。有名なのは「モスキート音」というもので、蚊が飛ぶときのあの耳障りな音です。モスキート音はだいたい17kHz(17,000Hz)ほどの周波数とされています。


この周波数の音は20代前半の若者には聞こえますが、それ以上の年齢になると聞こえないといわれています(個人差があります)。なぜかというと、実は人間は年を取ると高い音のほうから聞こえにくくなっていくのです。

■聴覚の老化の仕組み


これは主に蝸牛(かぎゅう)の有毛細胞の機能低下・消失によるものと考えられています。人間の耳には蝸牛という、名前のとおりかたつむりの殻のような形をした器官があって、その中に有毛細胞という音を感じ取るための組織があります。


有毛細胞には「毛」のような突起が付いており、これで空気の振動を感じ取るのです。蝸牛の入り口から奥に向かって、高い音を担当する有毛細胞から低い音を担当する有毛細胞が並んでいます。


蝸牛の入り口に近いほどさまざまな振動にさらされ、そのため時間がたつとともに機能が衰えやすいのです。有毛細胞の機能が衰える、あるいは機能を失ってしまうと音を認知することができなくなります。入り口から奥へと機能の劣化・消失が起こりますから、高い音から順番に聞こえなくなっていくわけです。

■高齢者が「地獄耳」といわれる理由

上記のように、年を取ると高い音は聞こえにくくなりますが、低い音についての知覚はあまり衰えません。そのため、お年寄りに聞こえないようなひそひそ声は、自然と低い音になってしまうため、聞こえていることが多いのです。「地獄耳」は、「よくない話ばかり聞こえる」のではなく、声の高さが原因で聞こえていたのですね。




早い人では40代中盤以降に聴覚の衰えが目立つようになります。聴覚の老化はやがて老人性難聴につながる可能性が高い※のですが、残念ながら、老人性難聴の予防に有効な手段はまだ見つかっていません。


最近ではデジタル技術を用いた補聴器も登場しており、ノイズリダクション機能などが実現され、人の聴覚をよくサポートできるようになっています。さらなる技術の進歩に期待したいですね。

※65歳以上の25-40%、75歳以上の40-66%、85歳以上の80%以上が「老人性難聴」に罹患(りかん)していると考えられています(日本抗加齢医学会 専門医・指導士認定委員会『アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版』(株式会社メジカルビュー)2017年7月1日第3版第2刷発行,p139より)。

(高橋モータース@dcp)