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日中ねむい、育児で睡眠不足…。女性特有の「睡眠」の問題と対策

2018.11.02

日中ねむい、育児で睡眠不足…。女性特有の「睡眠」の問題と対策


女性の社会進出の発展と睡眠の問題は切っても切れない問題です。研究では女性の方が男性よりも睡眠時間が短いことが明らかになっています。朝はメイクや服選びといった身支度、食事作り、子どもの学校の準備など。そして夜も、仕事の残業、家事・育児などやることがたくさんあって大変です。なので、女性の方が男性よりも睡眠の問題を抱えやすいとされています。

また、女性の睡眠の問題は社会的な要因だけではありません。女性の身体的な要因からも睡眠の問題が生じやすいことをご存知でしょうか?

女性ホルモンと睡眠


女性ホルモンの変動と睡眠は深い関係にあるといわれています。特に月経です。月経周期はおよそ28日が1つのサイクルで、排卵の準備期間である卵胞期と、排卵後の黄体期に分かれます。黄体期で受精・妊娠に備えて女性ホルモンのプログステロンの分泌が増加します。これは受精した時に受精卵が子宮で育ちやすいように子宮内膜をベッドのように整えるためです。しかし受精がないとプログステロンは分泌されず子宮内膜がはがれ、月経血となり排出されます。このプログステロンには基礎体温が上げる作用があり、黄体期の体温は卵胞期よりも0.5度程度高くなります。


私たちには、脳の視床下部による「体内時計」という機能があります。夜になると脳の松果体からメラトニンというホルモンを分泌します。このメラトニンが体温、脈拍、血圧を低下させ、体が睡眠に入る準備を整えてくれます。しかし、月経前は女性ホルモンの影響で体温の低下が生じにくく、この体内時計が十分に機能しなくなります。これにより、月経前はなかなか眠れないという問題が生じやすくなります


このように女性ホルモンと睡眠は深い関係にあります。次に、妊娠~更年期の段階ごとに取り上げてみましょう。

妊娠と睡眠

妊娠前期は子宮の環境を整えるため、プログステロンの分泌が活発になります。このホルモンは催眠作用と体温上昇作用があるため、一日中眠くなります。したがって、眠くなるのは生理現象で仕方ないことだと割り切るのが重要です。日中無理のない範囲で体を動かすと良いでしょう。

妊娠後期はおなかが大きくなり、おなかの違和感、寝返りのしにくさや腰痛などで今度は睡眠不足になりやすいです。そこで日中15分程度の昼寝が効果的だといわれています。またこの時期、睡眠時無呼吸症候群になりやすいので注意が必要です。特に激しいいびきや起床時で強い喉の渇きがあった場合は要注意だといえます。

育児と睡眠


出産後はホルモンの大きな変動、子どもの夜泣きや授乳、おむつ替えなどで睡眠不足になりやすいです。これらが原因で、産後うつになりやすいといわれています。

この時期は、特に昼寝が効果的です。疲労回復に加え、乳汁分泌に関わるプロラクチンの分泌を促します。乳汁にはメラトニンが含まれているため、それを子どもが飲むことで子どもの寝つきもよくなるといわれています。

更年期と睡眠

閉経に伴い卵巣から分泌されるエストロゲンが減少します。イライラといった気分の変動、のぼせなどから眠くなりにくいといわれ、加えて親の介護、子どもの自立、仕事の責務の増加など環境の変化に伴いストレスを抱えやすい時期です。

一般的に加齢に伴い睡眠時間が短くなりますので、若いころに比べて眠らなくなったことに過度にこだわらない方が良いでしょう。また、若いころに比べて寝室の光、音、温度に敏感になりやすくなります。寝にくいと感じた場合は、寝るときの環境を見直してみると良いでしょう。

ストレスをためない


冒頭で述べましたが、仕事の多忙、両立の難しさでストレスを抱えやすい女性にとって、この「ストレス」が睡眠の最大の敵です。いかに心のゆとりを持つかが重要です。


また、女性ホルモンの変動は睡眠以外にもさまざまな心身の不調をきたす場合があります。例えば、月経前にイライラ、落ち込みといった気分の変動や、だるさや乳房の痛みといった身体の不調がある場合、月経前症候群(PMS)の可能性があります。また、精神的な不調が顕著な場合、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性があります。気になった場合には婦人科を受診すると良いでしょう。

参考文献

永井佳代・遠藤拓郎 女性のための睡眠バイブル 主婦と生活社 2008

(執筆・監修 ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社)