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洗濯物のにおいには柔軟剤を使うのが正解?「香害」を知って快適に過ごすには

2018.11.06

洗濯物のにおいには柔軟剤を使うのが正解?「香害」を知って快適に過ごすには


  • においが気になる

  • 柔軟剤を使っているけれど、そのにおいは大丈夫?

「自分からいい香りをさせたい時に使うものは?」という質問に、20~30代の女性の約30%が「衣料用柔軟剤」と回答したというアンケート結果があります。「いい香りをさせたい」には、「嫌なにおいを防ぎたい」という思いもあるのかもしれません。一方で、柔軟剤の香りが、「スメハラ」や「香害」を引き起こすともいわれています。そんな最近の「柔軟剤」事情についてお伝えします。

【柔軟剤の役割とは?】


 衣料用柔軟剤は文字通り衣類を柔らかくするものです。ところで、「柔らかい」と感じるには主にふたつの理由があることをご存知ですか? ひとつは、触った時の表面が滑らかであること。もうひとつは力を入れなくても簡単に折れ曲がり、さらに戻る力が弱いことです。柔軟剤は主にひとつ目の「表面を滑らかにすること」によって、触った時に「柔らかい」と感じさせるものです。この表面を滑らかにする働きをしているのが、柔軟剤の主成分である界面活性剤です。界面活性剤には、水になじむ「親水基(しんすいき)」という部分と油になじむ「親油基(しんゆき)」という部分があります。



水になじむ親水基は4種類に分類でき、その違いで界面活性剤も4種類に分類できます。水中でプラス(+)になる陽イオン界面活性剤と、マイナス(-)になる陰イオン界面活性剤、+にも-にもなる両性界面活性剤、+に-にもならない非イオン界面活性剤です。洗濯洗剤に使われ、汚れを落とす働きをするのは主に陰イオン界面活性剤と、非イオン界面活性剤。柔軟剤に使われるのが陽イオン界面活性剤です。


みなさんが使われている柔軟剤を確認してみて下さい。日本の大手洗剤会社3社の柔軟剤には「エステル型ジアルキルアンモニウム塩」という界面活性剤が使われています。これは陽イオン界面活性剤のことです。衣類の素材である繊維は水の中で-の状態になることが多いですから、ここに陽イオン界面活性剤の+が引き付けられて吸着します。磁石のN極とS極が引き合うのと同じです。


その結果、私たちが触れる繊維の表面には親油基が並び、油の膜で覆われたような状態になります。触ったときに滑らかで柔らかいと感じるのはこのためで、ハンドクリームを塗ったあと滑らかになるのも同じ原理です。

【話題のノンカチオンについて】

陽イオン界面活性剤は「カチオン界面活性剤」ともいわれています。「カチオン」は聞き覚えのある方がいらっしゃるかもしれませんね。最近「ノンカチオン」つまりカチオン界面活性剤を使わないヘアトリートメントが話題になりました。トリートメントにもカチオン界面活性剤が使われることが多いのです。手触りを滑らかにする、という点では髪も衣類も同じですからね。


カチオン界面活性剤はほかに比べると刺激の強い界面活性剤です。頭皮への刺激を少なくするためにノンカチオンとし、ほかのもので滑らかさを与えているようです。柔軟剤のなかにも、カチオン界面活性剤をつかわないものもあります。

【スメハラ、香害とは】


 スメハラとはsmell harassment(スメルハラスメント)の略で、「におい」で人に不快な思いをさせることです。「におい」が原因の体調不良、時には「化学物質過敏症」を引き起こすこともあるとして、「香害」ともいわれています。

 国民生活センターのHPには、「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数は2010年頃から特に増加傾向が大きくなっており、商品の購入者と相談者が異なる割合が74%であること(他人に不快感を与えていることを示唆します)などの情報が提供されています。また2013年には、環境省が女性のクールビズに柔軟剤や制汗剤などの香りを利用することを推奨しましたが、このような苦情の問題を受けて、取り消したこともありました。


 また2018年6月には、「シャボン玉石けん」が新聞の全面広告で「香害」を取り上げました。このような状況のなかで、日本石鹸洗剤工業会は「香りのマナー」の大切さを消費者に知らせる取り組みを行っているとしています。柔軟剤のパッケージにもそのような記述が見られます。


ところで、衣類を柔らかくするためのものであった柔軟剤になぜ「香り」がつけられるようになったのでしょう。その理由のひとつは、「部屋干し臭」を抑えるためであるといわれています。働く女性が増え、夜に洗濯したものを部屋に干すことが多くなったことで、生乾き独特のにおいが生じるようになったのです。


「香り」の感じ方は個人差がとても大きいので、スメハラ、香害の判断もとても難しいと思います。しかし、スメハラを含む「ハラスメント」は本人が意図するか否かによらず、誰かが不快と感じたら成立します。香りつき柔軟剤を使用する際には、TPOを考えるよう心がけたいですね。

そして、忘れてはいけないのは、使用量を守ることです。使用量以上を入れても、香りが強調されるだけで柔軟効果は大きく変わりません。場合によっては、吸水性が低下することがあります。

【自分にあったものを】

 筆者は、気になる臭いを防ぐために柔軟剤を使うことは悪いことではないと思います。そうすることで、使った本人が柔らかくていい香りの衣類に包まれて心地よく過ごせるのはいいことです。ただ、香りを不快に思う方、それが原因で体調を崩される方がいることを忘れないようにしたいですね。


 最近の柔軟剤は、香りつき以外にも、無香性のもの、防臭効果のあるもの、吸水性のものなど、さまざまな機能を持った商品があります。機能性を活かしたいと思う方は、自分の使用目的に合ったものを選んでお使いになるといいでしょう。しかし、機能を備えた柔軟剤は、その分多くの化学物質が含まれている可能性が高いともいえます。柔軟剤を販売している会社のHPには、成分情報が掲載されていますから1度ご覧になってみてはいかがでしょう。そしてこのような化学物質を避けたいと思う方、使ってみたら肌に合わなかったという方は、使用を避けた方がいいでしょう。

参考:独立行政法人 国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-201309191.html

   日本石鹸洗剤工業会 http://jsda.org/w/01_katud/jyuunanzai_kaori.htm

(Yukie Karube/テキスタイルアドバイザー)