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美容にも健康にもいいって本当?「酒粕」に含まれる成分のパワーとは

2018.11.08

美容にも健康にもいいって本当?「酒粕」に含まれる成分のパワーとは


みなさんは、「酒粕」を口にしたことはありますか?食べたことはなくてもスーパーなどで、板状のものや砕いた木綿豆腐のような形で売られているのを見たことはあるでしょう。


粕漬けや粕汁、石狩鍋、甘酒、かの有名な奈良漬けも、酒粕をさらに熟成発酵させて漬けたものです。

決しておばあちゃん達が食べるためだけに存在しているわけではないのです。

そんな「酒粕」ですが、美容・健康に良い食品だということをご存知でしょうか。

*酒粕とは?


酒粕とは、その名の通り「お酒を作る際に出た粕(カス)」でした。

日本酒の製造工程を見ながら、酒粕ができるまでをたどっていきましょう。

1 玄米の外側部分に、風味が悪くなるたんぱく質や脂肪が含まれるため、25%〜40%以上を削って精米する


2 精米した玄米を蒸して種麹菌と水、酵母を加える。雑菌を抑えるために、乳酸も入れて発酵させる


3 麹菌は、米のでんぷんを餌として食べ、糖分に作り変える


4 酵母は麹菌が作ってくれた3の糖分を餌として食べ、アルコール発酵する


5 アルコール発酵で、米がかためのおかゆのように変わり「もろみ」ができる。(居酒屋などで見かける「もろみきゅうり」があるように、食べられる成分です。)


6 「もろみ」を絞った液体が日本酒になる

そして、6で絞ったときに出た残り粕(カス)が酒粕です。



日本酒そのものは飲んだりお料理に使ったりできますが、残った酒粕は何に使えるのでしょうか。

酒粕に含まれる栄養素を調べてみましょう。

*酒粕の栄養素と配合成分


美容成分としては、


・コウジ酸(チロシナーゼの働きを弱めてメラニンの生成を抑える→シミ予防)

・アルギニン、グルタミン酸といったアミノ酸(保湿成分)

・アルブチン(美白成分)

・フェルラ酸(老化予防)


などが含まれています。

美白、保湿、老化予防と悪いところが見つかりませんが、それぞれどういった効果があるのでしょうか?


●コウジ酸

メラニン生成に関わるチロシナーゼの働きを弱め、シミを予防する成分の「コウジ酸」ですが、チロシナーゼを弱らせるためには、表皮の奥深く基底層の近くまで届かなくてはいけません。

しかし、化粧品が有効に働くといわれるのは、角層と呼ばれる約0.02㎜の厚みまでです。

肌から摂取した酒粕が皮膚の奥深くまで届くとは考えにくいですね…。


このことから、化粧品は「皮膚に穏やかに作用する」もので、何ヶ月か使い続けていたら少しシミが薄くなった、できにくくなったという意味合い程度だといえます。



●アミノ酸

酒粕の最も期待できる効果として、アミノ酸による「保湿効果」があります。

角層部分は0.02㎜の厚みしかないとはいっても、「天然保湿因子」と呼ばれる潤いを捕まえる成分(水分)と、「細胞間脂質」と呼ばれる潤いを抱きかかえる成分(油)が、何層にも重なり合っています。


水分がなくなって肌がカサつくのはこの水と油のバランスが崩れているから。

水だけ多くて油分が少なくても蒸発してしまう。

油だけ多くて水分が少なくても、パサパサで変に脂ぎってしまう。適度な水分と油分が必要なのです。


酒粕に含まれるアルギニンやグルタン酸などの「アミノ酸成分」は、天然保湿因子の主成分です。(天然保湿因子の40%はアミノ酸で形成されています。)

天然保湿因子がたくさん水分を捕まえれば、細胞間脂質が水分を逃がさずプルっとした潤いを与えてくれるでしょう。


●フェルラ酸

フェルラ酸には加齢の原因となるフリーラジカルの発生を抑える強い抗酸化作用があります。肌の酸化を防ぎ、老化防止が期待できるでしょう。


活性酸素であるフリーラジカルは体内に取り込まれた酸素を酸化に向かって活性化させてしまいます。分かりやすくいうと、体をサビつかせてしまうのです。


老化の原因であるフリーラジカルの発生を、いかに抑えるかが老化防止のポイントでもあります。

フェルラ酸は同じく抗酸化作用の高いビタミンCやビタミンEと相性がいいので、あわせて配合されている化粧品での相乗効果にも期待できますね。

*体の内側と外側、どちらから摂取する?


酒粕を食べ物として摂取した時の効能はビタミンB1、B2、B6、糖質、葉酸、食物繊維、たんぱく質、と栄養素が豊富です。

豆腐を作った際にも「おから」というものが出ますが、こちらも優れた栄養素でありながら低カロリーです。日本食の製造工程には無駄がないのですね。


近頃、健康はもちろん美容に気をつかう方は、腸内環境を整えることに気を使うそうですが、腸内環境を整えるために必要なのが善玉菌。食物からとった栄養を吸収するためには欠かせません。酒粕も乳酸菌が豊富に含まれるので、悪玉コレステロール値も下げるそうです。善玉菌を増やして悪玉菌と戦ってくれるのを期待できます。


そのほか、酒粕に含まれるビタミン類は、ビタミンB1、B2、B6と疲れがちで体調が優れない方には嬉しい成分がたくさん含まれています。

このビタミン類の具体的なはたらきを挙げると、

  • 粘膜を正常に保つ

  • たんぱく質の代謝を助ける

  • 脂肪の燃焼を助ける

などの効果があります。口内炎になりやすく、ビタミン剤が欠かせない方には酒粕を食品として摂取することをおすすめします。


ただ酒粕にはアルコールが含まれるので、妊婦の方やお子さんは食べない方がいいですね。


日本が誇る発明品のひとつ、「日本酒」の副産物「酒粕」。

捨てるところがない、というのはまさにこのことですね。

美容と健康のために、今日から取り入れてみてはいかがでしょうか?


爪肌育成マエストロ/RumikoNakaya

参考文献

坂本卓 著/発酵食品の科学