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汗臭、部屋干し臭…。気になる「におい」を防ぐ洗濯法&細菌を増やさない干し方

2018.11.11

汗臭、部屋干し臭…。気になる「におい」を防ぐ洗濯法&細菌を増やさない干し方


  • 汗かきなのでにおわないか気になる

  • 部屋干しした洗濯物がにおわないか気になる

 「スメハラ」という言葉をご存知ですか?これは「スメルハラスメント(smell harassment)」の略で、「におい」で不快感を与えることだそうです。そんなスメハラの加害者にならないためにも、今回は「気になる衣類のにおいを防ぐ洗濯法」についてお伝えします。

【なぜにおう?どうやって防ぐ?】


 においの原因は「細菌」です。


 気になるにおいのひとつに「汗臭」があるかと思いますが、汗そのものがにおうわけではありません。私たちの皮膚に元々ついている「皮膚常在菌」が、汗に含まれる水分や塩分、身体から出る皮脂などを分解し、栄養源として増殖します。細菌が皮脂などを分解する時や、細菌の排泄物や死骸そのものから発生するアンモニア、酢酸、イソ吉草酸などがにおいの原因となるのです。これに「加齢臭」の原因とされている「ノネナール」を加えた4つは4大悪臭といわれています。


 もうひとつ気になるにおいが「部屋干し臭」です。仕事をしている女性が増え、夜に洗濯をして部屋干しをする人が多くなったことで「部屋干し臭」が注目されるようになったともいわれています。この部屋干し臭の原因は「低脂肪酸4メチル3ヘキセン酸」という物質とされています。常在菌の中の「モラクセラ菌」が、洗濯物に残った皮脂やたんぱく質汚れを分解して「におい」を発生させる細菌です。


 ではどうやってにおいを防げばいいでしょうか。それは、細菌を増殖させないことです。細菌の栄養源となる汗(水分・塩分)や皮脂などが肌表面についている時間を減らせばいいのです。汗をかいたらすぐに拭く、身体と衣類を清潔に保つ。こういったひと手間を日常的にできるといいですね。


さて、筆者は「衣料管理士」の立場から「衣類を清潔に保つ」方法をお伝えします。

【においを防ぐ洗濯法】

●洗剤・漂白剤を使う

 細菌を残さない、増やさない、これがにおいを防ぐ洗濯方法です。まず残さないためには、しっかり洗ってしっかりすすぐことが大切です。洗濯には洗剤を使いますよね。洗剤はその主成分である「界面活性剤」の働きで汚れを落とします。汚れが水に溶けやすい水溶性であれば、洗剤を使わずに水だけで落とすことも可能です。

 しかし、私たちの衣類につく汚れの約70%は皮脂などの水に溶けにくい油性系の汚れなので、水だけでは落ちにくいです。そこで、水と油をなじみやすくする「界面活性剤」が入っている洗剤を使った方が効率よく落とせるでしょう。


 洗剤といっても多種多様です。最近は、「部屋干し用」や「除菌」「消臭」を謳ったものも増えています。これらの洗剤には多くの場合、においの原因となる細菌を残さないための抗菌剤や除菌剤などが配合されています。なかには漂白剤が配合されている場合もあります。漂白剤には除菌効果がありますから、これも細菌を増やさないために役立ちます。もちろん、除菌や消臭を謳っていない洗剤でも、漂白剤を使うことで同様の効果が期待できます。

 ただし、漂白剤には色素を分解するものや繊維を傷めるものもあります。表示を確認し、繊維に合ったものを適切な量でお使い下さい。


●お湯で洗う

多くの細菌は50~60℃程度で死滅するので、お湯で洗うのも除菌には効果的です。しかし、お湯で洗う洗濯機は残念ながら日本にはほとんどありませんので、洗濯機に入れる前か後にお湯で洗う、洗わずともお湯をかけるといいでしょう。温度が高い方が界面活性剤の働きはよくなりますし、皮脂汚れも溶けやすくなるので汚れは落ちやすくなります。しかし、お湯だけでなく洗剤も使う際は、成分表示を見てから使用してください。タンパク質や脂肪分などの汚れに働きかけるために配合された「酵素」入りの洗剤の場合、50℃以上の環境では効果が少なくなるからです。

「お湯で洗う」というと、お風呂の残り湯を使用しようとする人もいるでしょう。もちろん問題ないですが、入浴剤が入っているものは使わない方がいいでしょう。洗剤が溶けにくくなることや洗濯物に色がつくことがあります。また、普通の残り湯でもすすぎには使わないで下さい。残り湯に含まれる皮脂や角質、細菌などが洗濯物に付着して、洗濯を終えた後にまで残ってしまう可能性があります。


以上のようなことに気をつけて、細菌が増殖する原因となる汚れを「残さない」洗濯をしたら、次はわずかに残った細菌を「増やさない」工夫です。それは「干し方」にあります。

【細菌を増やさない干し方】


 できるだけ早く乾くように干す、それが細菌を増やさない干し方です。細菌が増殖するのに必要な栄養源である汚れを洗濯で落とし、お湯洗いをして除菌をしても、乾くのに時間がかかり水分を含んで湿った状態が長く続けば、たとえ残った細菌がわずかだとしても増殖してにおいが発生することになります。  

乾きやすい条件を整え、乾きやすい干し方をすることで細菌の増加を抑え、においを防ぐことができます。「乾く」とは水分が失われること。干すと、洗濯物に含まれる水分が蒸発して失われます。水分が蒸発しやすい状態が洗濯物の乾きやすい条件です。

【洗濯ものが乾きやすい条件】

条件1:低湿度であること

湿度が低いほど水分が蒸発しやすいからです。部屋干しの場合には、除湿機やエアコンのドライ機能を使ってお部屋の湿度を下げるといいでしょう。湿度の低い冬に、肌が乾燥しやすい、洗濯物が乾きやすいなどの現象が起こるのはこのためです。


条件2:風通しのよさ

洗濯物のまわりの水分を早く移動させて乾燥状態を保つと蒸発が進むからです。扇風機などで風を送るといいでしょう。


条件3:高温であること

高温ほど蒸発が進むからです。ドライヤーをかけると高温の風が当たりますからなお効果的ですね。


干し方も工夫しましょう。できるだけ広い範囲が空気に触れるように、洗濯物と洗濯物はできるだけ間隔をあけて干します。タオルは半分に折るよりも、ずらして重ならないように干した方が早く乾きます。広げてピンチハンガーに干せばさらに効果的。靴下やズボンなどは、なかに風が通るようにピンチハンガーなどで筒状に干すといいでしょう。シャツなどをハンガーにかける時は、クリーニング店でいただくような針金ハンガーを広げて使い、シャツの前と後の生地の間に空間ができるよう工夫しましょう。

【その他、こんな工夫も】

洗濯物をためない

汚れがついたまま洗わずにいると細菌を増やすことになります。


・洗濯機に入れすぎない

汚れが落ちにくくなり、細菌を増やすことになります。


・乾燥機を利用する、干す前にアイロンをかける

高温にすることで水分を早く取り除けますので、細菌の増殖を防ぐ効果があります。浴室乾燥機のあるお宅なら、部屋干しよりこちらの方がよりはやく乾燥できますね。


・洗濯槽の清潔と乾燥を保つ

汚れや細菌が残っています。細菌の増殖を防ぐために、お洗濯の後は洗濯機の蓋を開けて乾燥させ、1か月に1度程度のお掃除をしましょう。

【おわりに】

 においの感じ方には個人差があります。気にしすぎるのは窮屈ですが、着ているものを丁寧に洗濯することで防げるのなら、大人のマナーとして心掛けてみてはいかがでしょうか。 

参考:日本化学繊維協会HP(http://www.jcfa.gr.jp/fiber/topics/vol16.html

(Yukie Karube/テキスタイルアドバイザー)