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「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」って何?眠りの深さは関係ないって本当?

2018.11.12

「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」って何?眠りの深さは関係ないって本当?


睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の二種類がある、という事実を知る人はきっと多いことでしょう。また少し詳しい人ならば、レム睡眠のときに人は夢を見る、ということまでもご存知かと思います。今回はこの「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の違いを見ていきましょう。

寝ているときに目が動く

そもそもレム睡眠の「レム(REM)」とは何なのかというと、これは”Rapid Eye Movement”、の略で、日本語に訳すと「急速な眼球運動」を意味します。つまり、レム睡眠とは、眼球があちらこちらに急速に動いているときの眠りの状態を指します。対概念のノンレム睡眠とは、眼球運動がみられない睡眠の状態のことを指します。健康な人は眠りにつくとまず、眼球運動がみられないノンレム睡眠に入り、その後およそ90分の周期でノンレム睡眠とレム睡眠とを繰り返すと言われています。

レム睡眠は「浅い眠り」?

ここで、ノンレム睡眠・レム睡眠という言葉をすでに知っている多くの方の誤解を解いておく必要があります。「レム睡眠は夢を見るような状態だから、眠りとして浅い状態で、ノンレム睡眠は深い眠りだ」と よくいわれていますがそれは誤りです。レム睡眠・ノンレム睡眠の違いについては浅いか深いかの問題ではなく、質的に全く違うものなのです。


実は、レム睡眠時の脳の活動は、覚醒しているときと同等かあるいはそれ以上であることがしばしば観察されているようです。反対にノンレム睡眠時には脳の活動は静かになるため、ノンレム睡眠は脳の休息時間と考えられています。


ノンレム睡眠時とレム睡眠時では脳の活動が全く異なるゆえに、ヒトには「覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠」という3つの状態があるといえるでしょう。

それぞれの役割

●ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は先述の通り脳の休息という側面を持ちます。また近年、脳の周りを取り囲む脳脊髄液という液体に溜まった老廃物の洗浄は、主にノンレム睡眠時に行われることがわかりました。さらには、ノンレム睡眠時には記憶の固定・増強が行われているという考え方が近年では主流です。


このようにノンレム睡眠には様々な役割があるのですが、一方のレム睡眠の存在意義については、いまだ不明な点が多いようです。


●レム睡眠

レム睡眠について、1970年代にスタンフォード大学の学生によってある研究がなされました。研究チームは「ヒトはノンレム睡眠をずっと続けることができない代わりに、レム睡眠によってノンレム睡眠とノンレム睡眠の間を埋めて、一続きの長い睡眠をとるようになっている」と考えました。そして、ノンレム睡眠とレム睡眠が90分周期で入れ替わることを考え、60分覚醒して30分眠ることを繰り返す被験者は、レム睡眠の状態を呈さない、という仮説を立て、被験者をそのような睡眠スケジュールのもとで数日間過ごさせるという実験を行いました。


結果、被験者は実験初日には研究チームの予想通り一切レム睡眠を見せませんでしたが、実験を続けるうちに入眠後2~3分、ときには入眠直後からレム睡眠を呈するようになりました。まるでどうにかしてレム睡眠の時間を確保するように体が順応したかのような現象が起きたのです。このことから、レム睡眠にはノンレム睡眠とノンレム睡眠の間をつなぐ以上の何らかの効果があることが想定されます。

まとめ

レム睡眠とノンレム睡眠は深さの問題ではなく本質的に異なるもので、ノンレム睡眠は老廃物の除去や記憶の保持に関わり、レム睡眠はその役割については不明なものの、人体に必要であることが示唆されています。睡眠についての研究は非常に奥が深く、依然としてその謎には多くの学者が取り組んでいます。

参考文献

櫻井武 睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか 講談社 2017


宮崎総一郎・林光緒 睡眠と健康 放送大学教育振興会 2017

(執筆・監修 ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社)