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鍼灸師が教える。「腹圧調整」で便秘、胃痛、緊張を軽減しておなかパワーオン

2018.11.29

鍼灸師が教える。「腹圧調整」で便秘、胃痛、緊張を軽減しておなかパワーオン


夏バテの反動でつい食べすぎになる秋には、胃もたれや胃痛、便秘などおなかの不調がひどくなるとの声をよく耳にします。


鍼灸(しんきゅう)師で針灸院・陽田(大阪市北区)の陽田志保子院長は、「そのようなときには、内臓の働きを高めるために、腹圧を調整して高く保って、体のバランスを整えましょう」と話します。「腹圧調整」とはどのような方法なのか、詳しく教えてもらいました。

取材協力・監修


陽田志保子氏。鍼灸(しんきゅう)師。針灸院・陽田院長。40年余のキャリアでつちかったケアの技術により、心身のあらゆる不調の改善に取り組む。

針灸院・陽田:大阪市北区天神橋6-4-11 S&Yビル4F


▼HP

http://sp.raqmo.com/youda/


■腹式呼吸で緊張をほぐし、胃腸の働きを整える


――「腹圧」とは聞きなれない言葉です。具体的にどういったことでしょうか。


陽田さん: 腹圧はおなかの圧力と書きますが、おなかの内部の圧力を指します。骨がないおなかの内部で、内臓が働くようにスペースを作って支えるのが腹圧です。腹圧は背骨をまっすぐに保ち、姿勢を維持します。


腹圧が低下すると、骨盤が前方に傾き、おなかを支えきれずに前かがみになるため、肩や背中、腰の筋肉に余分な負担がかかります。また、内臓が働くためのスペースが十分でなくなり、定位置を維持できなくなって緊張が高まるため、血液の循環が悪化して内臓の機能が低下します。これが便秘や下痢、胃の不快感など、さまざまな不調につながります。


――では、腹圧が低下するのはどうしてでしょうか。


陽田さん: 食べすぎや運動不足、デスクワーク中心で長時間、背中や腰が丸まりがちな姿勢、呼吸が浅いなどが挙げられます。


――そうすると、腹圧を高めるためには、深呼吸をする、またおなかに力を入れるなどするとよいのでしょうか。


陽田さん: いいえ、おなかに力を入れただけでは腹圧は高まりません。腹式呼吸をしておなかの内部の筋肉に負荷をかける必要があります。


腹式呼吸をすると、腹横筋(ふくおうきん)という腹部の最も深い奥側で、筋繊維が横方向にぐるっとある筋肉が収縮します。


空気が詰まったボールを両手で押すと圧力が高まって安定するように、腹式呼吸で腹横筋が収縮しておなかがへこむと、腹部の内部の圧力が高まります。


腹圧が高まると腹横筋がコルセットのような役割になって体幹や腰まわりが安定するため、姿勢がよくなります。すると、内臓が活発になって胃腸の調子が整ってくるでしょう。


――無意識のうちは、胸式呼吸になりがちです。腹式呼吸がポイントになるのでしょうか。


陽田さん:腹式呼吸は横隔膜を上下させる呼吸法なので、太い血管が集まるおなかの奥にある「太陽神経そう」という神経の束を刺激して、血液の循環を促します。


また腹式呼吸は、リラックスするように働いて自律神経のバランスを整えます。胃の消化活動や腸のぜん動運動が活発になるのは、自律神経のひとつの副交感神経が優位のときです。腹式呼吸をすると緊張がほぐれて、胃腸の働きを整えるように作用します。


次に、具体的に実践法をご紹介しますが、おなかのポイントを指で押さえながら腹式呼吸をすると、その作用が高まります。


■おなかの7つのポイントを押さえながら腹式呼吸をする


ではここで陽田さんに、「腹圧調整の方法」を具体的に教えてもらいましょう。



↑腹圧調整のために、おなかのポイントに手を当てながら腹式呼吸をくり返す


<手順>


(1)あお向けに寝て、目を閉じて両方の膝(ひざ)を立てます。


(2)両方の手の指を軽く曲げ、おや指以外の指先を「みぞおち(下の写真の①)」につけます。この状態で、3秒かけて鼻から息を吸い、7秒かけて口から息を吐く腹式呼吸を行います。指先でおなかのふくらみやへこみを感じ取りましょう。


(3)次の位置②から⑦を、数字の順に押しながら、(2)と同様に行います。


(4)「の」の字を描くようにこの7カ所を指圧しながら、腹式呼吸を行います。1周を1セットとし、3~5セットを行いましょう。

<位置>


1 、みぞおち


2、みぞおちとへその間


3、へそから指3本分ほど下にあるツボ「丹田(たんでん)」のあたり


4、③の位置から右にずらして腰骨にあたる部分の内側


5、④の位置から真上にずらした肋骨(ろっこつ)の下端に当たる部分


6、⑤の位置と反対側にある左の肋骨の下端


7、の位置から真下におろして腰骨にあたる部分の内側


ポイント:指をおなかにぐっと無理に押し付けるのではなく、おなかにすっと入っていくイメージで押しましょう。


さらに陽田さんは、腹圧調整を行うタイミングについて、次のようにアドバイスをします。


「夜寝る前に、布団の中で習慣づけて行うといいでしょう。副交感神経が優位になるので緊張がほぐれてリラックスし、寝つきをよくして質の高い睡眠へと導きます」


腹圧調整のための腹式呼吸を試したところ、始めのうちは硬く感じたおなかのまわりが徐々にほぐれ、心地よく感じるようになりました。胃腸の調子が整うだけでなく、リラックスや快眠が得られるのは一石二鳥です。試してみてはいかがでしょうか。



(取材・文 岩田なつき/ユンブル)