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粉末、液体、ボール状…。 「洗濯洗剤」の違いって?

2018.12.01

粉末、液体、ボール状…。 「洗濯洗剤」の違いって?


洗濯洗剤には、さまざまな形状があります。粉末、液体のほか、最近では第三の洗剤と言われる、液体を特殊な膜でコーティングしたボール状の洗剤も人気ですね。液性や成分にも数種類あるのですが、どのように使い分けていらっしゃるでしょうか?そもそも特に違いを意識せず使っている、という人もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、洗濯洗剤の違いと特徴について解説します。

【形状による違い】


一番わかりやすい違いが「形状」といえるでしょう。


現在、日本で販売されている洗濯用洗剤の形状は3種類。発売された順に「粉末、液体、その他(ジェルボール)」です。ジェルボールはゼリー状の容器に液体洗剤が入っているタイプの洗剤で、P&Gから販売されています。ゼリー状の容器は水に溶けるので、洗濯がスタートすれば液体洗剤とほぼ同じ。メリットは自身で計量せずにそのまま使えることでしょうか。


ここで少し、洗剤の歴史を書かせていただきます。


現在販売されているものと同様の粉末洗剤が発売されたのが1955年頃。その後1964年に液体洗剤、2008年にコンパクト液体洗剤(濃縮洗剤)、2014年にジェルボールが発売されました。販売数としては、2011年に液体洗剤が粉末洗剤を上回ったそう。2017年には液体洗剤の使用率が75%となっています(ジェルボールの販売数・利用率はデータが少ないため省略します)。

【用途による違い】

洗濯洗剤を用途で分けると2種類になります。「一般用(綿・麻・合成繊維用)」と「おしゃれ着用(毛・絹・綿・麻・合成繊維用)」です。


上記の( )の中の繊維に着目すると、おしゃれ着用には「毛と絹」が書かれていますが、一般用には書かれていませんね。「毛・絹」と「綿・麻」との違いは何でしょう。それは、成分と性質です。綿と麻はそれぞれ綿花、麻の植物から採れる植物繊維で、化学的な成分は「セルロース」です。吸水性が良い、しわになりやすい、乾きにくいなどの特徴があります。


毛は羊の毛、絹は蚕の繭から作られる動物繊維で、化学的な成分は「たんぱく質」です。吸湿性・保温性が良い、アルカリに弱い、日光で変色することがあるなどの特徴があります。毛と絹の「アルカリ性に弱い」という性質が、おしゃれ着用洗剤を使用する理由です。


さて、次はこの「アルカリ性」などの液性による違いについてです。

【液性による違い】

液性には主に弱アルカリ性と中性の2種類があり、汚れ落ちと繊維へのダメージに影響します。汚れ落ちが良いのは弱アルカリ性です。特に皮脂汚れはアルカリ性でよく落ちます。一方、繊維へのダメージが少ないのは中性です。


「用途の違い」でも書いた通り、液性が中性であるおしゃれ着用洗剤の用途にのみ毛・絹と書かれているのは、アルカリ性に弱い毛と絹をできるだけダメージを少なくして洗うためです。

【成分の特徴】

●界面活性剤

洗剤に限らず、成分表示は基本的に通常含有量の多い順に記載されています。いずれの洗剤の場合も、主成分である「界面活性剤」が最初に表示されていて、これが汚れを落とす働きをします。


洗濯はまず洗濯物に水を浸透させることが大切ですが、そのためには水の表面張力を小さくする必要があります。表面張力とは液体の表面積を小さくしようとして内側に引っ張られる力のことです。水をコップ一杯にそそぐと、表面が盛り上がる、雨のしずくが葉っぱの上で丸くなるなどの現象も表面張力の影響です。水は布の上では球状になり、すぐには浸透しません。水だけでは、洗濯物は濡れにくいのです。洗剤を使うことで主成分である界面活性剤が水の表面張力を小さくするため、洗濯物が濡れて浸透しやすくなるということです。


その後、界面活性剤は汚れの表面に吸着してこれを引き離します。引き離された汚れは界面活性剤で囲まれて、界面活性剤でできた球体(これをミセルといいます)の中に入り込んだようになります。洗濯物から引き離された汚れがそのままの状態だと、水となじます水中にふわふわと浮いてほかの洗濯物を汚してしまいますね。しかし、界面活性剤に囲まれると、水になじむ小さな粒の状態になるので、洗濯物を汚しません。


そのほかの成分をみてみましょう。



●酵素

「酵素」には、界面活性剤が洗濯物から引き離した汚れを分解する働きがあります。特定の物質にのみ反応するという性質(基質特異性)があるので、洗濯物の汚れの種類によって異なる酵素が必要になります。たとえばリパーゼという酵素は油汚れを、プロテアーゼはたんぱく質汚れを分解する、という具合です。また、セルラーゼという酵素は汚れではなく、綿繊維のセルロースを分解して、繊維内部に入り込んだ汚れを落とす役割を持っているとされています。


いずれの酵素も、その働きを発揮するにはある程度の時間が必要です。洗濯液にしばらく浸けておいてから洗う「浸け置き洗い」に効果的ですね。また低温よりも40℃程度のほうが汚れを分解しやすいですが、あまり高温になると効果が失わるという特徴もあります。



●漂白剤と蛍光増白剤

「漂白剤」と「蛍光増白剤」には洗濯物をより白くする働きがあります。両者の違いは、「白さを低下させる原因となる色素」を分解するか否かです。漂白剤は化学的に分解します。蛍光増白剤(蛍光剤)は、紫外線を吸収して青白い光に変えるもの。この蛍光によって、衣類がより白く見えるようになるのです。



●アルカリ剤

「アルカリ剤」には、洗濯液をアルカリに保つ働きがあります。「液性」でも書いたように、アルカリ性のほうが汚れは良く落ちます。ただし、衣類につく汚れは酸性のものが多いので、弱アルカリ性の洗剤を使用しても、洗濯が進むにつれて洗濯液は酸性になってしまうのです。これをアルカリ性に戻して洗浄力を維持する働きがあるのが、アルカリ剤です。



●そのほかの成分

直接汚れを落とす働きはしない成分もあります。




「柔軟剤」には洗濯物をやわらかく仕上げる働きがあり、「香料」と「除菌剤」にはにおい防止の働きがあります。香料と除菌剤の違いは、においの原因となる菌類を取り除くか否かです。除菌剤は全ての菌を取り除くわけではありません。とはいえ、除菌試験をして一定の基準をクリアしたもののみが「除菌」と表示されますので、一定の除菌効果は認められているということです。香料は、良い香りで嫌なにおいをカバーする、いわゆるマスキングによってにおいを防いでいます。



このように、洗濯洗剤には形状や成分によって特徴が異なります。これらを上手に使い分けることが、きれいに洗濯するコツといえるかもしれませんね。

参考

日本石鹸洗剤工業会HP

http://jsda.org/w/index.html

(執筆・監修 Yukiekarube/テキスタイルアドバイザー)