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イライラ、便秘……原因不明の不調に。薬剤師が教える、市販の漢方薬の選びかた

2017.07.19

イライラ、便秘……原因不明の不調に。薬剤師が教える、市販の漢方薬の選びかた


疲労感がとれない、イライラやウツウツ、頭痛や肩こり、めまいがつらい、便秘を繰り返すなど、さまざまな不調に悩む人は多いと言います。これらを改善するために有用な市販薬はあるのでしょうか。大阪府薬剤師会理事で薬剤師の近藤直緒美さんに聞いてみました。

取材協力・監修

近藤直緒美氏


薬剤師。大阪府薬剤師会理事。なのはな薬局本店、真上(まかみ)店、ケアプランセンター(ともに大阪府高槻市)を運営する有限会社スターシップ代表取締役。


なのはな薬局:大阪府高槻市城北町1-4-18

https://www.nanohana-drug.jp/

■生活リズムの乱れやストレスが「不定愁訴」のもと

――まず、これらのさまざまな不調の原因は何なのかが気になります。


近藤さん 検査をしても異常が見られないなど原因が特定できない不調の訴えや症状を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼びます。具体的には、疲労感、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、胃痛、便秘、微熱、冷え、不安感、イライラ、やる気が出ない、食欲がないなどです。


これらは生活リズムの乱れやストレスなどによって起こると考えられ、女性に多い傾向にあります。


――筆者もいくつかの不調に思い当たりますが、不定愁訴に対処する市販薬はありますか。


近藤さん 複数の不調を改善したい場合の選択肢のひとつに、漢方薬があります。


西洋薬はひとつの症状に対してひとつの有効成分が含まれていて、痛みを鎮める、血圧を下げる、感染症の原因菌を殺すなど、ある特定の症状や病気の対処に適しています。


たとえば、「頭痛や歯痛など痛みを抑えたいなら鎮痛剤」といった選択になり、複数の症状が気になる場合は、何種類もの薬を服用する必要があります。また、検査をしても原因が特定できない場合は、内科的には問題がないため経過観察と診断される、心療内科などを紹介されるケースもあります。


一方、東洋医学では、「気(き。目には見えない生命エネルギー)」、「血(けつ。全身の組織や器官に栄養を運ぶもの、主に血液)」、「水(すい。血液以外の体液)」の3つの要素が、体内を巡ることで健康が維持されるととらえ、あらゆる不調はこれらのバランスが乱れているために生じると考えます。漢方薬はそれに基づき、複数の有効成分を含んだ生薬を配合して、体全体の調子を整えるように働きかけます。


実際に漢方薬は不定愁訴のケアをうたうタイプが多く、試す人が増えています。


――漢方薬は、不定愁訴にどのように働きかけるのでしょうか。


近藤さん 生活リズムの乱れやストレスは、「気」や「血」の巡りを滞らせて、不定愁訴の症状をまねくとされています。これらの循環をスムーズにして正常な状態に導き、心身の不調を改善するように働きかけます。

■漢方薬は、症状に加えて体力や血圧、冷えなどの体質ごとに選ぶ

――漢方薬も多くの種類が出ています。何をどう選べばよいのでしょうか。


近藤さん 漢方薬は体全体に働きかける特性があるため、症状だけではなく、個人の体質に合ったタイプを選ぶようにします。自分の体力や血圧、体格、冷え、胃腸の状態などを考えて、外箱の説明書きを読んで参考にする、さらに、気軽に薬局薬店に常駐する薬剤師に相談して自分に合う薬を見つけましょう。


不定愁訴に働きかける漢方薬のうち、女性に多い不調の改善に用いられる代表的なものは、次の3つです。


(1)加味逍遥散(かみしょうようさん)


「気」や「血」の巡りの改善に、よく処方されます。イライラや不安感などの精神面の諸症状や更年期障害に対して用いられます。頭が重い、肩こり、めまい、不眠、手足の冷え、やる気が出ない、いら立ち、不安感、月経異常、顔のほてりなどを和らげるよう働きかけます。柴胡(さいこ)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)などの生薬が配合されています。


体質:体力があまりなくて疲れやすい、イライラしやすい、のぼせることがある、気分が不安定になりやすい、便秘ぎみのタイプに向いています。


(2)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)


「血」の不足を補って巡りを促します。冷え、貧血、激しい疲労感、頭重感、めまい、肩こり、動悸、耳鳴り、貧血、月経異常、更年期障害などの症状を和らげます。当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)・川芎(せんきゅう)などの生薬を含みます。


体質:やせ型で体力があまりない、顔色がよくない、汗をかきにくい、足腰が冷えやすいタイプに向いています。


(3)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)


「血」の滞りを改善するように働きかけます。血液の循環を促進し、頭痛、肩こり、めまい、下半身の冷え、月経異常、更年期障害、湿疹、皮膚炎などに作用します。桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)などの生薬を含みます。


体質:比較的体力がある、のぼせて下半身が冷えやすい、ときに下腹部痛があるタイプに向いています。



最後に近藤さんは、漢方薬を服用する際の注意事項について、こうアドバイスを付け加えます。


「漢方薬には、一緒に服用すると害になる、作用を妨げるなどの組み合わせがあります。市販の漢方薬を個人の判断で組み合わせて服用するのは避け、くり返しになりますが、迷ったら必ず薬剤師に相談してください。


2週間以上服用しても改善されない、あるいは悪化しているように感じる場合は、服用を中止して医療機関を受診しましょう」


筆者も毎日、「なんだか疲れるなあ」、「いつも肩こり」という不調を覚えてもう何年にもなりますが、どうにもならないことだと諦めかけていました。不定愁訴に心当たりがあるときは、漢方薬を選ぶのもひとつの方法ということで、さっそく試してみたいものです。


(取材・文 岩田なつき/ユンブル)