暑くなるにつれて、化粧崩れのもとになる汗や皮脂がとても気になります。臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長は、「汗や皮脂は実は、健康な肌を保つためには欠かせないものです。ただし放っておくと、においや湿疹、炎症などトラブルにつながります」と話します。詳しく聞いてみました。 

取材協力・監修

正木初美氏


日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。内科、リハビリテーション科とともに、漢方治療、更年期外来、禁煙外来を行っている。


正木クリニック:大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9

http://masaki-clinic.net/

■放置すると汗はにおいを、皮脂は炎症をまねく

――汗や皮脂は健康な肌のキープに必要ということですが、どのような働きがあるのでしょうか。


正木医師 汗の主な役割は体温を調節することです。気温の上昇時や運動時に体温や皮ふの表面の温度が上がると、自律神経の働きで汗をかきます。その汗が蒸発するときに熱を奪って体温を下げます。


皮脂とは、皮ふの内側にある皮脂腺から分泌される脂質の成分です。ベタベタする、ニキビや吹き出物の原因になるなどとマイナスイメージがあるでしょう。しかし、皮ふから水分が蒸発するのを防ぐ、外部の刺激から皮ふを保護する、乾燥を防いで潤いを維持する、雑菌が繁殖しにくい状態を保つなど、皮ふを健康に保つ役割があります。


――夏は常に汗をかくので、その都度拭くのは面倒です。放置するとどういったトラブルにつながるのでしょうか。


正木医師 汗で湿った皮ふは刺激に弱く、かいたり服がこすれたりしてもダメージを受けます。また、汚れやゴミが付着する、雑菌が繁殖しやくなります。すると、本来は無臭の汗が、においの原因物質に分解されて、においのもとになります。


――では、皮脂をケアしないと皮ふはどうなるのでしょうか。


正木医師 皮脂腺が詰まり、湿疹や炎症、ニキビなどをまねきます。時間が経って酸化すると、皮ふへの刺激を与える物質になります。さらに、皮ふがベタベタしてホコリや雑菌が付着しやすく、皮ふ環境が悪化します。


ただ、過剰に洗顔をして皮脂を取り過ぎるのも皮ふには良くありません。かさつくだけでなく、皮ふの柔軟性がなくなって小じわや肌荒れを引き起こす、外部からの刺激を守る機能も低下します。さらに、皮ふを守ろうとして皮脂が過剰に分泌される悪循環も起こります。

■皮脂のケアには、夏でも十分な保湿を

――皮ふのダメージ抑えるための汗のケアや予防について、適切な方法を教えてください。


正木医師 ポイントは、皮ふを湿ったままにしておかないことです。汗をかいたらできるだけ放置せずに、清潔な濡れたタオルやハンカチでこまめに拭き取りましょう。


また、首の周りやわきなど動脈が皮ふのすぐ近くを通る部位を、濡れたタオルや市販の汗ふきシートで拭き、タオルで包んだ保冷剤で冷やすとよいでしょう。循環する血液や皮ふ表面の温度を下げ、汗の分泌を抑えることができます。この場合、皮ふの表面に残った塩分や雑菌も取り除けるので、においの予防にもつながります。


そして、汗をかいた後は、忘れずに水分補給をしてください。体内の水分が不足すると、皮ふの再生のサイクルが悪くなり、皮脂の分泌量が減少して皮ふが乾燥します。


――皮脂対策はどうすればいいのでしょうか。


正木医師 適度な洗浄で清潔に保ち、夏でも保湿を心がけるのがポイントです。洗顔料をよく泡立てて転がすようなイメージで洗いましょう。ゴシゴシとこすると皮ふにダメージを与えるので、手が皮ふに直接触れないぐらいにそっと洗うようにしてください。


洗顔後は、化粧水や乳液、クリームなどを塗って、水分と油分を補給して保湿しましょう。夏はベタつくからと化粧水だけという人も多いようですが、自分の肌のタイプを見極めて夏用の基礎化粧品を使うなどして、適切に保湿するようにしてください。


――先生は肌のケアとしてどういったことをされていますか。


正木医師 私は顔の保湿のために、ミスト化粧水をこまめに使っています。夏は特に、ミストタイプは心地良くて利用しやすいと思っています。顔に吹きかけたあと、ティッシュで優しく押ささえます。適度に皮脂を取って保湿もすることができます。


――汗や皮脂の分泌量が多いなと感じるときがあります。なにか原因があるのでしょうか。


正木医 紫外線、食事や睡眠、運動といった生活習慣、過度のストレスなどの影響を受けます。紫外線対策をする、栄養のバランスが整った食事を心がける、十分な睡眠を取る、適度に軽い運動を継続する、自分に適したストレス発散をするなど、日ごろの生活習慣を振り返ってみてください。これらの実践は、皮ふを健全に保つことに直結します。



うっとうしいだけと思っていた汗と皮脂ですが、健康な肌をキープするには欠かせず、適切なケアが重要ということが分かりました。汗はこまめに拭く、首やわきを冷やす、水分補給をする、皮脂はほどよい洗浄と保湿を実践し、生活習慣にも目を向けるようにしたいものです。


(取材・文 岩田なつき/ユンブル)